ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

森の鬼退治・せん、という名の女

2012-01-12 | 森の鬼退治
本多は家康の今川義元に人質時代から仕える重臣だった。
家康には今川の姪 瀬名姫(築山殿)との間に信康(信長の娘 徳姫と結婚)がいたが、その正妻が信長のライバル関係にある武田勝頼と内通しているという疑惑から、
信長「よきに計らえ」と、家康は瀬名姫と長兄に切腹を命じた(築山事件)。
その年に生まれたのが、三男 竹千代(後の二代将軍 秀忠)で、本多はその教育係だ。
父が兄に切腹を命じた、その真相を知って幼心に傷を残したのだろう。父が許せぬ、と。
本多「心開かぬ子で困っております」
そういえば、長可も幼き頃、心開かぬ子だった。
“…人質、なのか?”
そう言って、私を見た。その鋭くも哀しい目が焼き付いている。
池田「若君は、おいくつになられた?」
本多「四つ…、もう五つになります」
池田「一番、多感な時だな」
本多「一番、伸びる時です」
池田「という事は、」その伸びる時期に、本多に任せたという事は「家康殿は若君を、」
本多「さぁ、それは…」言葉を濁した。
(次男は長久手の戦いの後、秀吉との和睦に養子(人質)出された)
池田「そうだな」彼は思慮深く、沈着で言葉を選ぶ男だった。
そこへ、追加の酒を運んで来た泉「父上、お持ちしました。どうぞ…」本多様に酒を注いだ。
本多「お初にお目にかかります」女鉄砲部隊長の「噂は兼々伺っております」頭を下げた。
泉「噂…は、その…」気恥ずかしくなり、深々と頭を下げ「あ…ありがとうございます」
池田「くッ」と笑って「噂など、信じるに値せず」
本多「は?」
泉「父上ッ」シーッと人差し指で合図して「言わないで下さい」とお頼みしたのに…、
池田「裏で、ベソかいておりました」チビッと酒飲み、娘を酒の肴にした。
本多「はぁ…」噂では、男たちの度肝を抜き玉無しにして撤退させたとか、
泉「…怖かった…戦は、」訓練と、実戦の違いに相当応えたらしく…「もう嫌にございます」
本多「よく、頑張られました」
泉「弟たちは、」森家の末っ子 千丸も「まだ幼く、戦となれば女も城を守らねばなりません」
本多「それは心強い」武将の妻に相応しい、泉殿を見て「…美しい響きの名ですね」


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