『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  749

2016-03-31 05:33:25 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、アレテス、ではなーーー。俺は浜に戻る。馳走になった。ありがとう』
 イリオネスは、トロイ時代の感慨を込めて告げ、小島をあとにした。

 キドニアにおけるパリヌルスは、大量の木札を運び終えた。
 一同が船だまりに帰ってくる、彼は一同とともに昼めしを終え、みんなに声をかけた。
 『おう、諸君、ご苦労であった。今日の業務をこれにて終了とする。ところで今日ののこれからだが、お前たちを集散所の見学に連れていく。十分な時間を過ごすことはできないかもしれないが、まあ~、集散所とは、このようなところかと思えると考えている。オロンテス隊長のやっているパン売り場、お前らが知っているスダヌス浜頭の魚の売り場もここにある。もちろん、小島でとれた獲れたての魚も売り場に並んでいる。まあ~、見て楽しんでくることだ。そういうことだ』
 彼らはパリヌルスの言葉に耳を傾けていた。
 『おう、一同、出かけるぞ!リュウクス、留守役を残して出発するぞ!』
 リュウクスは、留守役担当の者たちに声をかける。
 『お前ら留守を頼む。この俺が土産話をたっぷりもってきてやる。いいな』
 『お願いいたします』
 一行は、集散所に向けて歩みだす、喜々として、隊伍を組んで歩を運ぶ、集散所に着く、一行を五つのグループに分け責任担当を決めて声をかけた。
 『よしっ!いいだろう!さあ~、行って来い!時間は半刻くらいだ。迷子にならないようにして楽しんで来い。俺は、お前らの帰りをここで待っている』
 彼らは集散所の中へと入っていく、初めて目にする集散所の中に展開する風景を見て廻った。売り場にはいろんな品物が並んでいる、売られている、スダヌス浜頭の魚売り場も見た、我らがパン売り場も見た、彼らは『へえ~っ!』『ほお~っ!』と感嘆の声を上げながら売り場を見て廻った。
 引きあげる時が迫ってくる、集散所が彼らのウシロ髪を引っ張る、それを断ち切って、戻らなければならない、心が残る、名残惜しそうにして戻ってきた。
 彼らは、待っているパリヌルスを真ん中にまるく囲む、リュウクスが音頭をとって声をあげる。
 『おう、一同、そろったか?隊長に礼を言おう』
 彼らを見まわして、リュウクスがパリヌルスの前に立つ。
 『一同、礼っ!隊長!ありがとうございました』
 全員が唱和する、そして頭を下げた。
 『心行くまでとはいかなかったと思うが、見て楽しんできたか。では、帰る』
 一行は集散所をあとにした。


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