『その想いか、イリオネス。ひと言で言える短い想いだ。だが、その実現には、長~い時間、いや、長い歳月がかかる、果たして、それの実現の場に立てるかどうか、そして、果たせるかどうかだ。しかし、想いは必ず実現する。これは確信の前置きだ』
『統領、その一言で言える短い想いとはなんです。毎日数回も想い起すこととは?』
『それは、こういうことだ』
アヱネアスは、きっとイリオネスの目を見つめて口を開いた。
『人をつくって人づくりだ。それがこのクレタでは実現できないのではないかと考えている』
『そうですか、それについては、この私も心の片隅でですが考えています。統領の気持ちが解ります』
『俺たちが想う、建国のはじめの第一歩だ。我々が処を得て、始めにやる仕事だ。建国はここから始まる。そして、十幾年後、彼らが国を建てていく。その想いが湧いてはおさまり、おさまってはまた湧きあがってくる。『想いは実現する!想わざるは実現せず』だ。その想いが、湧く、おさまるの繰り返しだ』
『統領、よく解ります。それを決断するときが訪れる。必ず訪れます。それも遠い未来ではないように思われます』
『イリオネス、お前、本当にそう思うか。俺が父と話し合う日がもうそろそろだと感じている。決断の時が熟してきている、そのように感じている。この話は俺とお前二人だけだぞ、誰にも言ってはならん』
『判りました。胸に秘めておきます』
『よし!イリオネス、支度をしろ!』
『やりましょう。この前の借りを返さないと、、、』
『俺がお前に打ち込まれると、、、そんなことはありえん。手加減なしだ』
二人は支度して、訓練の場の草地の真ん中で正眼で見合った。二人の打ち合いは激しい。ユールスは幼いながらも感じている風情であった。
裂ぱくの打ち合いが続く、木剣といえどもその刃の下に生死がある、命のやり取りである。対手を倒すか、倒されるか。剣の打ち合いの駈け引き、虚をつくり、誘い込む、智力、体力、技倆、そして、剣速こそ対手を制する真髄であることは、この時代も今と変わらない極意である。己の生き残りになくてはならないものであるとアヱネアスもイリオネスも心中に持していた。一族の統率にも、惹起してくることの処理にも、必要欠くべからざるものであると、それを心に抱いて物事に対峙する、そして、対処していた。
『統領、その一言で言える短い想いとはなんです。毎日数回も想い起すこととは?』
『それは、こういうことだ』
アヱネアスは、きっとイリオネスの目を見つめて口を開いた。
『人をつくって人づくりだ。それがこのクレタでは実現できないのではないかと考えている』
『そうですか、それについては、この私も心の片隅でですが考えています。統領の気持ちが解ります』
『俺たちが想う、建国のはじめの第一歩だ。我々が処を得て、始めにやる仕事だ。建国はここから始まる。そして、十幾年後、彼らが国を建てていく。その想いが湧いてはおさまり、おさまってはまた湧きあがってくる。『想いは実現する!想わざるは実現せず』だ。その想いが、湧く、おさまるの繰り返しだ』
『統領、よく解ります。それを決断するときが訪れる。必ず訪れます。それも遠い未来ではないように思われます』
『イリオネス、お前、本当にそう思うか。俺が父と話し合う日がもうそろそろだと感じている。決断の時が熟してきている、そのように感じている。この話は俺とお前二人だけだぞ、誰にも言ってはならん』
『判りました。胸に秘めておきます』
『よし!イリオネス、支度をしろ!』
『やりましょう。この前の借りを返さないと、、、』
『俺がお前に打ち込まれると、、、そんなことはありえん。手加減なしだ』
二人は支度して、訓練の場の草地の真ん中で正眼で見合った。二人の打ち合いは激しい。ユールスは幼いながらも感じている風情であった。
裂ぱくの打ち合いが続く、木剣といえどもその刃の下に生死がある、命のやり取りである。対手を倒すか、倒されるか。剣の打ち合いの駈け引き、虚をつくり、誘い込む、智力、体力、技倆、そして、剣速こそ対手を制する真髄であることは、この時代も今と変わらない極意である。己の生き残りになくてはならないものであるとアヱネアスもイリオネスも心中に持していた。一族の統率にも、惹起してくることの処理にも、必要欠くべからざるものであると、それを心に抱いて物事に対峙する、そして、対処していた。