浜小屋の中はまだ何も見えない真っ暗闇である。スダヌスは、隣に寝ているイリオネスに声をかけてみた。
『イリオネス、目が覚めているのか?』
『おう、目は覚めている』
『起きるか』
『おう、いいだろう』
ギアスは、二人のささやきを耳にした。暗い小屋の中、戸口近くに寝ていたギアスは起き上がった。手探りで戸口の戸を開けて外へ出た。足をヘルメス艇のほうへと運ぶ、ヘルメスの張り番の二人に声をかけて、異常のなかったことを確かめた。
『よし!交替しろ。お前らも少々眠るか、それとも起きるか勝手にしていい』
『判りました』
『替わりが来るまで俺がここにいる』
間をおかずに交替の者が姿を見せる。彼は朝行事に海辺へ歩を運んだ。海に身を浸している者たちを目にする、イリオネスが声をかけてくる。
『おう、ギアス、おはよう』
『あ!おはようございます。軍団長も早い目覚めですね』
『おう、お前も早いではないか、身を浸せ。朝行事やりながら打ち合わせだ。ほどなく空と海の境界が見えてくる。星が消えるころには出発する。出発のメンバーは統領と俺、スダヌス、クリテス、イデオスの5人だ。朝食は道中で食べる。山行の荷はスダヌスが準備している。お前に頼みたいのは、今日の朝食から、都合4日分のパンを日にち別に袋に詰めてくれ。これを統領以下の4人が持つ。いいな』
『判りました』
二人は話しながら東の方を眺めた。空と海を分ける水平線が見えてきている、薄明のおとずれを見た。一同が朝行事を終えて円陣を組む、円陣の真ん中にイリオネスが立っている。彼は一同に山行の行動予定を話す、浜に残る者たちはギアスの指示に従うようにと告げて話を結んだ。一同からは『おう!』のひと声があがった。
山行の一行は足ごしらえを終えている。ギアスが荷を整えて一向に手渡す、陽が水平線から顔を出す、一行は一歩を踏み出す、浜に残る者らが彼らを見送った。
スダヌスが先頭を行く、アヱネアス、イリオネスと続く、しんがりはクリテス、イデオスは、クリテスの前を歩いた。
彼らは言葉を交わさない、無言で粛々とした足運びで浜から遠ざかって行った。
『イリオネス、目が覚めているのか?』
『おう、目は覚めている』
『起きるか』
『おう、いいだろう』
ギアスは、二人のささやきを耳にした。暗い小屋の中、戸口近くに寝ていたギアスは起き上がった。手探りで戸口の戸を開けて外へ出た。足をヘルメス艇のほうへと運ぶ、ヘルメスの張り番の二人に声をかけて、異常のなかったことを確かめた。
『よし!交替しろ。お前らも少々眠るか、それとも起きるか勝手にしていい』
『判りました』
『替わりが来るまで俺がここにいる』
間をおかずに交替の者が姿を見せる。彼は朝行事に海辺へ歩を運んだ。海に身を浸している者たちを目にする、イリオネスが声をかけてくる。
『おう、ギアス、おはよう』
『あ!おはようございます。軍団長も早い目覚めですね』
『おう、お前も早いではないか、身を浸せ。朝行事やりながら打ち合わせだ。ほどなく空と海の境界が見えてくる。星が消えるころには出発する。出発のメンバーは統領と俺、スダヌス、クリテス、イデオスの5人だ。朝食は道中で食べる。山行の荷はスダヌスが準備している。お前に頼みたいのは、今日の朝食から、都合4日分のパンを日にち別に袋に詰めてくれ。これを統領以下の4人が持つ。いいな』
『判りました』
二人は話しながら東の方を眺めた。空と海を分ける水平線が見えてきている、薄明のおとずれを見た。一同が朝行事を終えて円陣を組む、円陣の真ん中にイリオネスが立っている。彼は一同に山行の行動予定を話す、浜に残る者たちはギアスの指示に従うようにと告げて話を結んだ。一同からは『おう!』のひと声があがった。
山行の一行は足ごしらえを終えている。ギアスが荷を整えて一向に手渡す、陽が水平線から顔を出す、一行は一歩を踏み出す、浜に残る者らが彼らを見送った。
スダヌスが先頭を行く、アヱネアス、イリオネスと続く、しんがりはクリテス、イデオスは、クリテスの前を歩いた。
彼らは言葉を交わさない、無言で粛々とした足運びで浜から遠ざかって行った。