アエネアスにとって肯ける内容の話であったが、彼は父の知るところは、それくらいであろうと推し量って話をきりあげた。
彼は、自分を含めてトロイ人が、諸国の人民、近隣の土着の者たちに比べて、卓越した資質を有していることを理解した。しかし、文化文明の進歩については、いまひとつ優位なポジションにないことも判った。
この時代にあって、文化文明の進歩が、国土の広さと、その広い国土に住んでいる住民の数のなせる技でもあると、単純に結論を下して、己のみの思考とした。
彼が次に知りたいことは、トロイ戦役後のトロイは、今どうなっているか、そして、近隣諸国は、北部エーゲ海、エーゲ海の多島部、エーゲ海沿岸諸国、エーゲ海南部等の現況であった。
その中で父の話に出てきたクレタ島のこと、エスパニアのことについて深く知りたかった。エスパ二アについてはあとでもよく、とりあえず、クレタ島について知ろうと心を砕いた。
それは、父の話の中にあった、マユツバものではないかと思われる神託のことであった。デルフオイ島、アポロンの神託であった。神託とは、極めてあいまいなものであり、意味の解釈によって、正しくもあり、不確かでもあり、信ずるに足るものであるわけがなかった。神託というあいまいこの上もないものがもつ、あやしげな誘導の代物であったことはいうまでもない。所詮、この時代の社会の中で、この業をなす者の思考が少ない情報ソースでもってだす答えが確かであるわけがなかった。
アエネアスは、慎重に思考を進捗させた。
彼は、自分を含めてトロイ人が、諸国の人民、近隣の土着の者たちに比べて、卓越した資質を有していることを理解した。しかし、文化文明の進歩については、いまひとつ優位なポジションにないことも判った。
この時代にあって、文化文明の進歩が、国土の広さと、その広い国土に住んでいる住民の数のなせる技でもあると、単純に結論を下して、己のみの思考とした。
彼が次に知りたいことは、トロイ戦役後のトロイは、今どうなっているか、そして、近隣諸国は、北部エーゲ海、エーゲ海の多島部、エーゲ海沿岸諸国、エーゲ海南部等の現況であった。
その中で父の話に出てきたクレタ島のこと、エスパニアのことについて深く知りたかった。エスパ二アについてはあとでもよく、とりあえず、クレタ島について知ろうと心を砕いた。
それは、父の話の中にあった、マユツバものではないかと思われる神託のことであった。デルフオイ島、アポロンの神託であった。神託とは、極めてあいまいなものであり、意味の解釈によって、正しくもあり、不確かでもあり、信ずるに足るものであるわけがなかった。神託というあいまいこの上もないものがもつ、あやしげな誘導の代物であったことはいうまでもない。所詮、この時代の社会の中で、この業をなす者の思考が少ない情報ソースでもってだす答えが確かであるわけがなかった。
アエネアスは、慎重に思考を進捗させた。
