ギアスは、島の西側へと舟艇を向かわせた。浜で探索をしている間に海の様相は変わっていた。穏やかさが消え、波頭が風に散っていた。強めの西風である。舟艇の操作は、櫂と操舵が頼りである。クレタ島までの長い船旅で、ギアスの舟艇操作には慣れがあるようになっていた。ギアスは風と海の状況を読み取り、未知の海域を進む心配りを忘れてはいなかった。彼は岩礁の危険を避けて北上した。
この小島は、逆三角形状でクレタ島に面している外周3.7キロ余りの小島である。この時代、この島に名前があったかなかったか、それは定かではない。彼らが探索を行った浜は現在のNEA KYDONIAと呼ばれている地区であり、島は現在THEODOROI島と呼ばれている。
ギアスは操艇に懸命であった。島の北側の方向転換点までには時間がかからなかった。ためらわずに舳先を東に向けた。島の北側通過もあっという間であった。舟艇は島の岸に沿って南下した。船上の者たちは島の東南側の浜を丹念に眺めた。西側、北側の浜に比べて浜としての使い勝手がよさそうに見えた。舫っている船の数が多い。彼らはその舫っている船から、ただならぬ不穏な臭いを嗅ぎ取っていた。
『ギアス、もういいだろう。船首を東へ向けろ。帰途につこう』
イリオネスが声をかけた。
舟艇は進行方向を変えた。ギアスは風を読みとって帆を上げた。
この小島は、逆三角形状でクレタ島に面している外周3.7キロ余りの小島である。この時代、この島に名前があったかなかったか、それは定かではない。彼らが探索を行った浜は現在のNEA KYDONIAと呼ばれている地区であり、島は現在THEODOROI島と呼ばれている。
ギアスは操艇に懸命であった。島の北側の方向転換点までには時間がかからなかった。ためらわずに舳先を東に向けた。島の北側通過もあっという間であった。舟艇は島の岸に沿って南下した。船上の者たちは島の東南側の浜を丹念に眺めた。西側、北側の浜に比べて浜としての使い勝手がよさそうに見えた。舫っている船の数が多い。彼らはその舫っている船から、ただならぬ不穏な臭いを嗅ぎ取っていた。
『ギアス、もういいだろう。船首を東へ向けろ。帰途につこう』
イリオネスが声をかけた。
舟艇は進行方向を変えた。ギアスは風を読みとって帆を上げた。