『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1305

2018-06-08 08:23:09 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 キドニス浜頭ら一行を見送ったオキテスがギアスに声をかける。
 『おう、ギアス、ごくろう。ところでだな、キドニス方の新艇の新舵造作の件だが、新艇の引き取り、引き渡しの件、お前が担当してくれ。三日後の朝、船だまりで新艇を引き取って浜へ帰り、新舵構造を取り付ける。船だまりへとってかえし新艇をキドニス方に引き渡す、やってくれるな。新舵の造作については、俺からドックスに指示をする。以上だ』
 『了解しました。任せてください。当日はキドニア向けて、朝は早めに出航するように段取りします。その旨、オロンテス隊長と打ち合わせておいてください』
 『解った。新舵取り付けについては、俺が段取りする。そういうことだ』
 『解りました』
 三日後の件についての打ち合わせが終わる。
 オキテスは、ヘルメス艇上において、しばし休憩をとってくつろぐ、ふと考える。
 新舵の操作効果を考えて評価する。これを考え出したパリヌルスの頭脳について思いをはせる。
 それを的確に効果たらしめる形に造りあげたドックスの技術についても考える。
 彼は、おぼろげに世の進化を感覚的に認識の中にとらえた。
 オキテスがオロンテスらの声を耳にする、彼らの今日が終わったらしい。
 ギアスが彼らを艇上に向かえる。
 『おう、オキテス、ご苦労。キドニス浜頭をヘルメスに載せて試乗航走をやったそうだな。スダヌス浜頭から耳にした』
 『おう、納入した第一号新艇に新舵を取り付けることになった。あの新舵の操作具合、操作効果を知ったら新舵を取り付けるという。あの新舵は、そのように、いい具合に働くのかと感心の至りだ』
 『そうだな、ハッキリ言って、櫂舵とは全然違う、俺には深くは解らんが、我々が創り出した画期的な船の構造であると、俺は認識している』
 『そうか、お前の新舵の評価のほうが、俺より一歩先を見ているな』とオキテスが話しを結んだ。
 『おう、オキテス、帰途に就こうぜ!』
 『おう、ギアス、帰るぞ!出航だ』
 『了解!』
 ヘルメス艇が船だまりの岸壁を離れていく、向かい風の強さを避けるように航路を取って帰途航海をして浜に帰り着く。
 帰り着いたオキテスは、アエネアスらと顔を合わせた席で、キドニアの集散所における受発注、受注戦闘艇の納入、売り出し等に関する打ち合わせの結果報告を終える。
 話を継いで、今日のキドニアにおいての出来事を話す。
 新舵構造の取り付けを1ドラクマで引き受けたサービスについて語り合う。
 その引き受けの賛否ではなく、その是非について一同と語り合う。
 アエネアスは、オキテスの新舵取り付けの決断を当然と喜んでくれていた。


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