食卓には、この季節にクレタの山野に自生している山野草でにぎわっている。火であぶった羊肉、大きさが不揃いながら、土鍋で炒り焼かれた淡水魚が山と盛られていた。
腹を空かせた五人は、酒を酌み交わし、日常、口にしない卓上の食材を口に運んだ。この地方独自の調理法でしつらえられている山野草、それらの独特の味を味わった。
彼らの口をひきつけたのは、淡水魚の炒り焼きである。薄めの塩味が心地いい。彼らは自分たちの非日常を味わった。
アヱネアスが一同に話しかける。
『つれづれに想い、考えるのだが、食べ物を調理する、新しい味わいを創る。これも文化文明のうちかなという想いがする。遠い未来かもしれないが、調理、調味が文明だと言うような時が来るのかと考える』
『そうですな、長~い長~い時を経て、その様な時が来るかもしれませんな。食べ物の味が舌に慣れ親しんでくる。変化を望む、味に変化をもたらす、新しい味わいを創りだす。すると、そういえるかも、あくまでも<かも>ですよ。オロンテスの焼いているパン、あれは文化だという誇りは持っていますが』
イリオネスが、相槌を打った。
彼らは山の味を堪能した。気分は満ち足りていた。
アヱネアスが一同に声をかけた。
『諸君、今日はご苦労であった。この山行の目的の一つは為し終えた。神殿の神官が私に話した言葉、いい言葉だ。それを皆に伝えておく。<今日ありて、未来が扉を開く、そして、時代が連なる>だ。感動したな。我々の命脈が途切れることなく連なり、事を為していく。神官が話を締めくくった言葉だ。いい言葉だ、俺は感動した。それともう一つ。祈りだ。神官が言う。<祈りだ。祈りは力を持っている。それは願望であるからだ>俺は、祈りが願望達成のメカであり、システムであると理解した。これが私が君たちに贈る言葉だ。受け取ってくれたまえ』
『統領、ありがとうございます』
力いっぱいの拍手が食堂内にこだました。
宿坊の主人が、とぎれとぎれに聞こえてくる言葉に心がゆすぶられた。夕食の座がはねた。彼らが寝場所に案内されていく、宿坊の主人がクリテスを戸外にひっぱていく。クリテスに問いただした。
『クリテス殿、どういうことだ、説明してくれ。あの人たちは、いったい誰なんだ?え~っ!』
『あの方ね。ご主人気になさることはありませんよ。仕事を取り締まっている頭です。船造り集団の頭領です』
『そうですか。気になったものですから』
『そんな、気にすることはありません。ところで、明朝、山頂で昇る太陽を迎えたい、空模様はどうだろうね?』
腹を空かせた五人は、酒を酌み交わし、日常、口にしない卓上の食材を口に運んだ。この地方独自の調理法でしつらえられている山野草、それらの独特の味を味わった。
彼らの口をひきつけたのは、淡水魚の炒り焼きである。薄めの塩味が心地いい。彼らは自分たちの非日常を味わった。
アヱネアスが一同に話しかける。
『つれづれに想い、考えるのだが、食べ物を調理する、新しい味わいを創る。これも文化文明のうちかなという想いがする。遠い未来かもしれないが、調理、調味が文明だと言うような時が来るのかと考える』
『そうですな、長~い長~い時を経て、その様な時が来るかもしれませんな。食べ物の味が舌に慣れ親しんでくる。変化を望む、味に変化をもたらす、新しい味わいを創りだす。すると、そういえるかも、あくまでも<かも>ですよ。オロンテスの焼いているパン、あれは文化だという誇りは持っていますが』
イリオネスが、相槌を打った。
彼らは山の味を堪能した。気分は満ち足りていた。
アヱネアスが一同に声をかけた。
『諸君、今日はご苦労であった。この山行の目的の一つは為し終えた。神殿の神官が私に話した言葉、いい言葉だ。それを皆に伝えておく。<今日ありて、未来が扉を開く、そして、時代が連なる>だ。感動したな。我々の命脈が途切れることなく連なり、事を為していく。神官が話を締めくくった言葉だ。いい言葉だ、俺は感動した。それともう一つ。祈りだ。神官が言う。<祈りだ。祈りは力を持っている。それは願望であるからだ>俺は、祈りが願望達成のメカであり、システムであると理解した。これが私が君たちに贈る言葉だ。受け取ってくれたまえ』
『統領、ありがとうございます』
力いっぱいの拍手が食堂内にこだました。
宿坊の主人が、とぎれとぎれに聞こえてくる言葉に心がゆすぶられた。夕食の座がはねた。彼らが寝場所に案内されていく、宿坊の主人がクリテスを戸外にひっぱていく。クリテスに問いただした。
『クリテス殿、どういうことだ、説明してくれ。あの人たちは、いったい誰なんだ?え~っ!』
『あの方ね。ご主人気になさることはありませんよ。仕事を取り締まっている頭です。船造り集団の頭領です』
『そうですか。気になったものですから』
『そんな、気にすることはありません。ところで、明朝、山頂で昇る太陽を迎えたい、空模様はどうだろうね?』