彼は、『統領!』 と呼びかけ、二言三言、言葉を交わして、従者を呼び、主だった者たちを集めるよう指示した。
『軍団長、どちらに集めましょうか』
『そうだな、二番船のそばあたりがいい』
『判りました』 従者は急いで指示されたように一同の招集を終えた。
『集まれだと、判った』
怪訝だと思ったが、胸に抱いている不安に気がついた。軍団長と同様の不安を感じていたのである。一同は揚陸した二番船の船陰に集まった。統領とイリオネスはクリテスを伴なって、一同のところへ姿を見せた。イリオネスが皆に声をかける。
『おうっ!諸君ご苦労であった。よくぞ長途の波濤を乗り切ってくれた。我々は、いま、目指したクレタの地にいる。全く知らない土地である。君たちも不安であろうと察している。しかし、我々にとって幸いなることは、このクレタ生まれのクリテスがいることである。彼から話を聞いて、二、三、打ち合わせてておこうと思っている、いいな。立っていては話もできない、腰を下ろそう』
一同は円く座を取って腰を下ろした。アエネアスが一同を見渡した。月の光では一同の表情がかすかにうかがえるだけである。彼はおもむろに話し始めた。
『一同、よくぞがんばってくれた、ありがとう。心から礼を言うぞ。エノスを船出して、今日、陽が落ちていたとはいえ、このクレタ島に着いた。エノスをあとにした者たちがひとりも欠けることなく、全員、無事にこの地に上陸した。本当にご苦労であった』
彼は、ひとりひとりの手をとって、感謝の気持ちを伝えた。
『軍団長、どちらに集めましょうか』
『そうだな、二番船のそばあたりがいい』
『判りました』 従者は急いで指示されたように一同の招集を終えた。
『集まれだと、判った』
怪訝だと思ったが、胸に抱いている不安に気がついた。軍団長と同様の不安を感じていたのである。一同は揚陸した二番船の船陰に集まった。統領とイリオネスはクリテスを伴なって、一同のところへ姿を見せた。イリオネスが皆に声をかける。
『おうっ!諸君ご苦労であった。よくぞ長途の波濤を乗り切ってくれた。我々は、いま、目指したクレタの地にいる。全く知らない土地である。君たちも不安であろうと察している。しかし、我々にとって幸いなることは、このクレタ生まれのクリテスがいることである。彼から話を聞いて、二、三、打ち合わせてておこうと思っている、いいな。立っていては話もできない、腰を下ろそう』
一同は円く座を取って腰を下ろした。アエネアスが一同を見渡した。月の光では一同の表情がかすかにうかがえるだけである。彼はおもむろに話し始めた。
『一同、よくぞがんばってくれた、ありがとう。心から礼を言うぞ。エノスを船出して、今日、陽が落ちていたとはいえ、このクレタ島に着いた。エノスをあとにした者たちがひとりも欠けることなく、全員、無事にこの地に上陸した。本当にご苦労であった』
彼は、ひとりひとりの手をとって、感謝の気持ちを伝えた。