6日に迫っている建国の地探索の海旅の出航に関しての諸事の打ち合わせを終えたイリオネスは、アエネアスと二人だけの打ち合わせ事項があることをアエネアスに伝える。
『統領、私が預かっている業務である財務の件について話し合いたいのですが。明日、午前中の時間に私の宿舎でやりたいと考えています。統領の都合は、いかがですか?』
『おう、財務のことか、明日、午前中だな、了解した。お前の宿舎でだな、解った』
一拍の間をとって、アエネアスがイリオネスに声をかける。
『なあ~、イリオネス、人間、大事を控えていると心がゆれる。今度の大事は、トラキアを去った時とは、全く違った感じがしている。あの時に比べていろんな要素が入り組んでいるだけに、あらゆる事態に心を配っているが、何か忘れものをしていないかと気にかかる。俺の配慮に抜けがあれば言ってほしい』
『現時点ではそれはないですな。統領がチエックされるべき事柄について、私も気を配っています。安心していてください。何かがあれば言います』
『おう、よろしく頼む』
『解りました。明日の財務の件よろしく願います』
『おう、了解、了解!』
アエネアスの返事が明るく返る、その口調のニューアンスにイリオネスは不安のかけらも感じない、安堵する。
終業の頃合いまでにはまだ間がある、イリオネスは、次のワークに移る。
パリヌルスとオキテスを会所に呼ぶ。
まず、オキテスに声をかける。
『おう、オキテスごくろう。キドニアで新々艇を引き渡して、どうだった?お前が担当している業務も終盤にさしかかったな。キドニアでスダヌス浜頭に会ったか?』
『いや~、新々艇を注文主に引き渡した時、ジイ~ンと胸に来ましたね。俺のこの地における業務がこれが最終かなと思ったとき感無量でした。集散所のハニタス担当もトミタスもいる、それに加えて、キドニス、スダヌスの浜頭も同席している。胸にこみあげてくるものがありました』
『そうだろうな。解る、解る。お前も結構、情味があるな』
『それから、スダヌス浜頭がエドモン浜頭が浜に来訪する日にこちらへ来ると言っていました』
『ほう、そうか。最終の打ち合わせかな、了解した。エドモン浜頭の来訪日は明後日だな』
『はい、そうです』
オキテスとの会話が終わる、パリヌルスとの話し合いを始める。
『おう、パリヌルス、軍船の改造だが、進捗はどこまできている?』
『はい、今日、帆柱の造作を終えました。帆の出来あがりに手間どっています。寸法の調製に難儀しています。大判の帆を16枚、調整しなければならないものですから、17日午前中に帆張りを終えれば、それで完了です。午後には、改造造作に携わった者らを乗船させて試験試走をやります。以上です』
『苦労させたな。パリヌルス』
『いえ、我らが不明の海洋を航走するのです。対応を充分に考慮して船を整備する。当然であると認識しています』
アエネアスは、イリオネスら三人が交わす話し合いをゆれる気ごころを抑えて静かに聞いていた。
『統領、私が預かっている業務である財務の件について話し合いたいのですが。明日、午前中の時間に私の宿舎でやりたいと考えています。統領の都合は、いかがですか?』
『おう、財務のことか、明日、午前中だな、了解した。お前の宿舎でだな、解った』
一拍の間をとって、アエネアスがイリオネスに声をかける。
『なあ~、イリオネス、人間、大事を控えていると心がゆれる。今度の大事は、トラキアを去った時とは、全く違った感じがしている。あの時に比べていろんな要素が入り組んでいるだけに、あらゆる事態に心を配っているが、何か忘れものをしていないかと気にかかる。俺の配慮に抜けがあれば言ってほしい』
『現時点ではそれはないですな。統領がチエックされるべき事柄について、私も気を配っています。安心していてください。何かがあれば言います』
『おう、よろしく頼む』
『解りました。明日の財務の件よろしく願います』
『おう、了解、了解!』
アエネアスの返事が明るく返る、その口調のニューアンスにイリオネスは不安のかけらも感じない、安堵する。
終業の頃合いまでにはまだ間がある、イリオネスは、次のワークに移る。
パリヌルスとオキテスを会所に呼ぶ。
まず、オキテスに声をかける。
『おう、オキテスごくろう。キドニアで新々艇を引き渡して、どうだった?お前が担当している業務も終盤にさしかかったな。キドニアでスダヌス浜頭に会ったか?』
『いや~、新々艇を注文主に引き渡した時、ジイ~ンと胸に来ましたね。俺のこの地における業務がこれが最終かなと思ったとき感無量でした。集散所のハニタス担当もトミタスもいる、それに加えて、キドニス、スダヌスの浜頭も同席している。胸にこみあげてくるものがありました』
『そうだろうな。解る、解る。お前も結構、情味があるな』
『それから、スダヌス浜頭がエドモン浜頭が浜に来訪する日にこちらへ来ると言っていました』
『ほう、そうか。最終の打ち合わせかな、了解した。エドモン浜頭の来訪日は明後日だな』
『はい、そうです』
オキテスとの会話が終わる、パリヌルスとの話し合いを始める。
『おう、パリヌルス、軍船の改造だが、進捗はどこまできている?』
『はい、今日、帆柱の造作を終えました。帆の出来あがりに手間どっています。寸法の調製に難儀しています。大判の帆を16枚、調整しなければならないものですから、17日午前中に帆張りを終えれば、それで完了です。午後には、改造造作に携わった者らを乗船させて試験試走をやります。以上です』
『苦労させたな。パリヌルス』
『いえ、我らが不明の海洋を航走するのです。対応を充分に考慮して船を整備する。当然であると認識しています』
アエネアスは、イリオネスら三人が交わす話し合いをゆれる気ごころを抑えて静かに聞いていた。
