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『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY 第7章  築砦  1008

2017-04-13 08:26:13 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『そのようなことについては、私は詳しくは知っていませんでした』
 オキテスの語りかけが続く。
 『お前が船を操船するのは昨年から今年にかけての毎日ではあるが、多年ではない。船に関するいろんな事例に接することも多いとは言えない。しかしだ、安全な航海をするということについては知っている。それを実際にやることこそ安全航海の要諦と心得て常に実行する。それを絶対という条件で守って実行することだ。ギアス!』と話し終えて、パリヌルスに話しかけた。
 『パリヌルス、話は終わっていない、続けてくれ』
 『おう、船が波に乗る、船首と船尾が波の山の頂点に乗る、そのつぎは船体の中央が波の山の頂点に乗る、これが繰り返されるわけだ』
 パリヌルスは砂地に棒切れで波の図を描き、船が波に乗っている図を描いて、オキテスら二人に示した。
 『これが繰り返されてみろ、船はたまったもんでない。船体には、この繰り返しに耐えれる構造強度が要求されるのだ。これに耐えられないときに船体は真ん中で二つに折れて船は破砕して大事故となってしまう。解るな!』
 パリヌルスは畳みかけるように話す。
 『解る』とオキテス。
 『解ります』とギアス、二人は深くうなずいた。
 パリヌルスが話を続ける。
 『船首と船尾が波の頂点にあるときは、船体の中央が下方に落ち込む力が働いている、船体の中央が波の山の頂点にあるときは船首と船尾が下方に落ちようとする力が働いている、これが絶えず繰り返される、船体はたまったものでない。そのようなわけで航海中は、嵐が終わったで海に出てはいけないのだ。解ってくれるな。波の状態が落ち着いた時点に海に出るように気を配って、航海を続けてほしい。沿岸近くの海と外洋の深みのある海の波の違いにも気を配って安全第一の航海に努めてほしい。これが今回の試作艇を使っての航海についての俺の心からの航海の安全を願う気持ちだ』
 『パリヌルス、よくわかった。お前の言う理屈を納得した。お前の言う安全航海を心がける。ありがとう!ギアス、納得したな』
 『はい、よく解りました』
 『オキテス、そこで俺の結論だが、建造する戦闘艇2艇は、船首から船尾に到る衝角構造体は連結結合部なしの一本構造とする。それに関する構造体の設計をする。オキテス、理解してくれるな』
 『あ~あ、理解する。設計作業等、俺が帰ってくるまでに仕上げてくれよ。用材の調達を考えなければいかんからな』
 『解った』