『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1002

2017-04-04 08:37:11 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 ギアスは、漕ぎかたの連中を集めて人選をやっている。 
 『おう、やっているな。漕ぎかたの面々を決めたのか』
 『はい、決まりました。毎日、ヘルメスでキドニア通いをしている20名のうち、14名をレテムノンへの航海につれていきます。キドニアでの毎日の作業に慣れている者を残しておかないといけませんから』
 『そうだな。お前のその配慮は正しい。一刻ののちだが、試作艇の試走をやる、漕ぎかたを連れて建造の浜へ来てくれ。艇尾に新構造の舵を取り付けた。操舵担当に操作を教える』
 『解りました』
 それだけを伝えるとパリヌルスは、急ぎ建造の場に戻った。
 建造の場には、アエネアスとイリオネスの姿がある、彼は二人に声をかけた。
 『あ!統領に軍団長、新構造の舵の構想ができました。あと半刻ぐらいで作業が終わります。出来あがり次第、試走します。乗られますか?』
 『おう、そうか、いま、ドックスが取り組んでいるのがそれか。試走には俺たち二人も乗る』
 『解りました。ゆっくりしていてください』
 パリヌルスが試作艇の艇尾の近くに立つ、出来あがりつつある舵構造に目をやる、ドックスの構想による大きさが試作艇の規模に適合している、軸棒のサイズ等も最適といえる。
 ドックスは操舵操作をする腕木の長さ決めに苦慮している、舵座を右往左往している、舵座について腕木を操作している、短くてもいけない、長すぎてもよくない、ほどいい長さを決めかねている。
 パリヌルスと目が合う、ドックスの問いかけの目である、そばによるパリヌルス、ドックスが言葉をかけて来た。
 『隊長、どれくらいがいいとおもわれます?』
 『おう、そうだな、ドックス、そのあたりに立ってみろ!』
 パリヌルスが見つめる、艇上での操舵をイメージする、言葉をかける。
 『そうだ、そこで切れ!腕木の太さだがチョッピリ太めだがいい太さだ』
 『チョッピリ太め、とにかく頑丈でなければいけません!ここを握って操舵する、波の抵抗に負けてはならないのです』
 『解った。いい主張だな』
 『あと少々で出来上がりです』
 『おう!そうか。ギアスらがもうそろそろ来ると思う。出来あがり次第、海へだ』
 大勢の話し合う声が聞こえてくる、ギアスらの一行が姿を見せた。
 パリヌルスがギアスを呼ぶ。
 『ギアス、操舵担当の者を連れてきてくれ』
 『解りました』
 間をおくことなく、操舵担当を連れてギアスが来る、ドックスが作業の完了を伝えてくる、パリヌルスがギアスに指示をする。
 『ギアス、漕ぎかた全員を読んでくれ。試作艇を海に出す。それから操舵担当の者の名は?』
 『はい、ホタスルです』
 『ホタスル、来い。舵の構造について説明しておく』
 二人が艇尾の傍らに立つ。
 『これまでの櫂舵とは違う。見ての通りの構造だ。これを動かすと水中でこれが動いて水を切る。解るな』
 『はい、解ります』