スダヌスがゴッカスに声をかける。
『おう、ゴッカス!操船を担当しているお前に伝えておく、俺がこの艇に乗った地点から、レテムノンの港までは、1000スタジオン弱(18キロ)だ。この艇速で、この航路を往くとレテムノンへの到着予定時間は一刻余りと考えられる。昼を過ぎて半刻くらいといったところだ。オキテス隊長にも伝えるが、昼は着港してからということになる。解ってくれるな』
『解りました。一同に航海予定をそのように伝えてよろしいですね』
『それについては、オキテス隊長の許可を得てくれ。隊長に話す』
航海予定伝達の件は、オキテス隊長の許可を得て、ゴッカスから一同に伝えられた。
オキテスの率いる二艇は順調に航走してレテムノンの港に着いた。
レテムノンの港湾事情に詳しいスダヌスは、注文主であるテムノスが占有している浜に二艇をガイドしていく、迷うことなく浜に二艇をつけた。
スダヌスは、オキテスと引き渡し次第を打ち合わせる。
『我々として、新艇引き渡しの準備をしなければならない。浜頭、半刻くらいの時間がかかると考えられる。そのうえで手順に基づいて引き渡すということで、テムノス殿と打ち合わせてほしい。それからだが、子羊のことだが、祝い品として送るのか?』
『そうだが、俺からではなく統領からとして渡してほしい』
『解った。それで引き渡しの準備を整える』
スダヌスは、オキテスとの話しを終えて、テムノスの屋敷に向けて歩き出す。
オキテスハこの期に及んであるまじきことに迷った。
『新艇を洋上に浮かべた状態で引き渡すか、揚陸して引き渡すか。ギアス、どちらがいいと考える?』
『そうですね』と思案するギアス。
『私には解りかねますが、揚陸しての引き渡しがいいのではないかと考えます。隊長!』
ギアスの意見を聞いたオキテスは、浜の状態を見回した。
『ギアス、お前の言うように新艇を揚陸して引き渡す。全員を招集してくれ』
『解りました』
ギアスが漕ぎかた一同に指示を告げる、全員が新艇に取り付く。
揚陸作業は、艇尾を海の方に向けて、浜の条件のいい場所を選んで定め置いた。
オキテスが新艇引き渡しの体裁を整える、艇には持参した幕を張り、艇首の前に、受注していた予備の帆、贈呈品の櫂一式および櫂舵、ぶどう酒の入った壺、堅パンを詰めたケース5個、そして、子羊一頭を重石に結び、陳列して準備を整えた。
オキテスは、注文主のテムノスを新艇引き渡しに迎える要領を一同に伝えてテムノスの来駕を待った。
複数の者が言葉を交わす声が聞こえてくる。テムノスが水夫らを連れて姿を見せる。
オキテス、ギアスが艇首前に立つ、漕ぎかたの者ら36人が新艇を囲んで、円陣形に整列している、テムノス一行の姿を認める、36人が力を込めて手をたたく、一行歓迎の大拍手である、一行は何が起きたかと驚く、感動の一瞬の演出である。
テムノスもスダヌスも考えもしていなかった新艇の納入風景である。テムノスと水夫たちは、この光景に肝をつぶして驚いた。スダヌスは舌を巻いている。
その場にいる者らが体験したことのない『艇』という大型商品の納入風景であった。
『おう、ゴッカス!操船を担当しているお前に伝えておく、俺がこの艇に乗った地点から、レテムノンの港までは、1000スタジオン弱(18キロ)だ。この艇速で、この航路を往くとレテムノンへの到着予定時間は一刻余りと考えられる。昼を過ぎて半刻くらいといったところだ。オキテス隊長にも伝えるが、昼は着港してからということになる。解ってくれるな』
『解りました。一同に航海予定をそのように伝えてよろしいですね』
『それについては、オキテス隊長の許可を得てくれ。隊長に話す』
航海予定伝達の件は、オキテス隊長の許可を得て、ゴッカスから一同に伝えられた。
オキテスの率いる二艇は順調に航走してレテムノンの港に着いた。
レテムノンの港湾事情に詳しいスダヌスは、注文主であるテムノスが占有している浜に二艇をガイドしていく、迷うことなく浜に二艇をつけた。
スダヌスは、オキテスと引き渡し次第を打ち合わせる。
『我々として、新艇引き渡しの準備をしなければならない。浜頭、半刻くらいの時間がかかると考えられる。そのうえで手順に基づいて引き渡すということで、テムノス殿と打ち合わせてほしい。それからだが、子羊のことだが、祝い品として送るのか?』
『そうだが、俺からではなく統領からとして渡してほしい』
『解った。それで引き渡しの準備を整える』
スダヌスは、オキテスとの話しを終えて、テムノスの屋敷に向けて歩き出す。
オキテスハこの期に及んであるまじきことに迷った。
『新艇を洋上に浮かべた状態で引き渡すか、揚陸して引き渡すか。ギアス、どちらがいいと考える?』
『そうですね』と思案するギアス。
『私には解りかねますが、揚陸しての引き渡しがいいのではないかと考えます。隊長!』
ギアスの意見を聞いたオキテスは、浜の状態を見回した。
『ギアス、お前の言うように新艇を揚陸して引き渡す。全員を招集してくれ』
『解りました』
ギアスが漕ぎかた一同に指示を告げる、全員が新艇に取り付く。
揚陸作業は、艇尾を海の方に向けて、浜の条件のいい場所を選んで定め置いた。
オキテスが新艇引き渡しの体裁を整える、艇には持参した幕を張り、艇首の前に、受注していた予備の帆、贈呈品の櫂一式および櫂舵、ぶどう酒の入った壺、堅パンを詰めたケース5個、そして、子羊一頭を重石に結び、陳列して準備を整えた。
オキテスは、注文主のテムノスを新艇引き渡しに迎える要領を一同に伝えてテムノスの来駕を待った。
複数の者が言葉を交わす声が聞こえてくる。テムノスが水夫らを連れて姿を見せる。
オキテス、ギアスが艇首前に立つ、漕ぎかたの者ら36人が新艇を囲んで、円陣形に整列している、テムノス一行の姿を認める、36人が力を込めて手をたたく、一行歓迎の大拍手である、一行は何が起きたかと驚く、感動の一瞬の演出である。
テムノスもスダヌスも考えもしていなかった新艇の納入風景である。テムノスと水夫たちは、この光景に肝をつぶして驚いた。スダヌスは舌を巻いている。
その場にいる者らが体験したことのない『艇』という大型商品の納入風景であった。