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『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  24

2013-05-28 07:33:38 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『いずれ打ち合わせはやる。その時に決めることになるが』
 『同時実行、時差的先攻だ。それが俺の考えだ』
 『それはいい。2日ぐらいの日時が必要と思う』
 『よしっ!判った。オキテスも考えておいてくれ。その線で俺も作戦計画を考えておく』二人の話は終わった。
 アヱネアスもイリオネスも聞くべきことを抜け落とすことなく、浜頭らから聞き取った。ふうっと、イリオネスの頭中を通り抜けた懸念があった、アレテスの事である。
 『イリオネス、どうだ、もういいだろう。引き上げるとしよう』
 『スダヌス浜頭、ハニタス浜頭、いろいろとありがとう。何かつけ足すことでもあるかな』
 『いえ、全てをお伝えしたのではないかと思っていますが』
 『イリオネス、よしっ、帰ろう』
 一同は、浜へと道を歩んだ。
 『ギアス、帰る。風は西から吹いているな、帰りは追い風か』 
 『ハニタス浜頭、この季節、このあたりに吹く風は西風が多いのかな?』
 『そうですな、何とも言えませんが、そのようでもあります。長い年月、この島で暮らしてはいますが、あまり気にかけたことがありません。言われてみれば頷けますな』
 一同は帰途についた。帰りは、帆に風をはらみ、舟艇は快調に波を割って進んだ。
 浜には、出迎えの者たちが立っている。アレテスの顔もその中にあった。
 『軍団長、ご苦労様です』
 『おっ!ご苦労。アレテス、何だその顔は?』
 『軍団長、昼過ぎて、ちょっと目を離したすきに、奴に逃げられました』