西へ進む舟艇には、そよっとした向かい風であった。スダヌスら浜頭連が舟艇に乗り込んで感じたことは、船足の早いことであった。
スダヌス浜頭が大声を発した。
『パリヌルス殿、これは何と!』驚きの声であった。
『この船足の速さは。速いっ!また、あの船尾の三角帆は?あれは何ですか、向かい風であるのにかかわらず、邪魔になってはいない』
『今のところ、あの三角帆の効果効用はつかめていません。まあ~、かっこづけといったところでないですかね』
ハニタスがパリヌルスに声をかけてきた。
『パリヌルス殿、向こうに小島が見えますな。あの島の対岸に船をつけてください』
『判りました』と答えて、ギアスに指示を出した。
『ギアス、あの小島の対岸に艇をつけてくれ。あの小島はどうだ。舫っている船は五隻ぐらいか、気にすることはない』
パリヌルスは、『今日の小島』と言いかけて、はっとした。舟艇は浜を離れて、目指した浜に到着するのにさほど時間を要しなかった。まさに、あっという間の船旅といったところであった。
『パリヌルス殿、速かったですな。これだけの距離を、この時間で、それも向かい風だというのに、俺は感心したぜ。こんな船がギリシアにあるのかね』
『いやいや、この船は、ギリシアにはない。ここだけだ。しかしだな、ないことはない、あっても四、五隻だな』
パリヌルスは言いよどんだ。
『そのうえ、浜へもこの上がり方だ。いったい何なのだ』
『それはギアスから聞いてもらいたい、あいつの操船の腕だとも思える』
『パリヌルス殿、そうかな?それは少々違う、と俺は思うが。如何かな』
『浜頭には、すっかり読まれましたな。船の構造がそのように作られていることは間違いありません。この話は、また、のちほどゆっくりとしましょうや』
『判った。先ず候補地の問題を片づけよう』
船上の者たちは浜に降り立った。ハニタス浜頭が、じいっと、小島の様子に目を凝らしている姿を、パリヌルスは見逃してはいなかった。
スダヌス浜頭が大声を発した。
『パリヌルス殿、これは何と!』驚きの声であった。
『この船足の速さは。速いっ!また、あの船尾の三角帆は?あれは何ですか、向かい風であるのにかかわらず、邪魔になってはいない』
『今のところ、あの三角帆の効果効用はつかめていません。まあ~、かっこづけといったところでないですかね』
ハニタスがパリヌルスに声をかけてきた。
『パリヌルス殿、向こうに小島が見えますな。あの島の対岸に船をつけてください』
『判りました』と答えて、ギアスに指示を出した。
『ギアス、あの小島の対岸に艇をつけてくれ。あの小島はどうだ。舫っている船は五隻ぐらいか、気にすることはない』
パリヌルスは、『今日の小島』と言いかけて、はっとした。舟艇は浜を離れて、目指した浜に到着するのにさほど時間を要しなかった。まさに、あっという間の船旅といったところであった。
『パリヌルス殿、速かったですな。これだけの距離を、この時間で、それも向かい風だというのに、俺は感心したぜ。こんな船がギリシアにあるのかね』
『いやいや、この船は、ギリシアにはない。ここだけだ。しかしだな、ないことはない、あっても四、五隻だな』
パリヌルスは言いよどんだ。
『そのうえ、浜へもこの上がり方だ。いったい何なのだ』
『それはギアスから聞いてもらいたい、あいつの操船の腕だとも思える』
『パリヌルス殿、そうかな?それは少々違う、と俺は思うが。如何かな』
『浜頭には、すっかり読まれましたな。船の構造がそのように作られていることは間違いありません。この話は、また、のちほどゆっくりとしましょうや』
『判った。先ず候補地の問題を片づけよう』
船上の者たちは浜に降り立った。ハニタス浜頭が、じいっと、小島の様子に目を凝らしている姿を、パリヌルスは見逃してはいなかった。
