右手のテネドス島が遠くない。島の北が白くもやっていた。テネドス島から北のトロイの港クムカレにかけて、乳白の靄<もや>の塊りが船上から見えた。船団は、もやっていない洋上を進んでいた。先頭の船と第二、第三船との間隔は、50メートル余りである。
パリヌルスは、敵船の発見と遭遇地点、そして、敵船との交戦ポイントに、神経を、そして、その思考に集中していた。このポイントが重要であり、敵船の船体の長さを考慮して、1メートルの誤差は許されても、それ以上の誤差は許されないのである。衝突のタイミングと衝突する角度、この三位一体の状態に狂いがあっては、敵船を破壊し、沈没させることが難しいのである。作戦思考と戦闘技術、そして、運とのバランスの上で勝利が約束されている、失敗は、決して許されないのである。
パリヌルスは、敵船の発見と遭遇地点、そして、敵船との交戦ポイントに、神経を、そして、その思考に集中していた。このポイントが重要であり、敵船の船体の長さを考慮して、1メートルの誤差は許されても、それ以上の誤差は許されないのである。衝突のタイミングと衝突する角度、この三位一体の状態に狂いがあっては、敵船を破壊し、沈没させることが難しいのである。作戦思考と戦闘技術、そして、運とのバランスの上で勝利が約束されている、失敗は、決して許されないのである。