薄明は、日の出前、日没後の空が薄明るい状態である。この薄明のことであるが、太陽の位置によって分類され、三種類の薄明がある。この薄明の時間の太陽の位置が、地平線下6度以内にある場合は『常用薄明』。12度以内にある場合は『航海薄明』。これが18度以内である場合は『天文薄明』と言うそうである。
洋上においての一時停船から進発した、このときは、天文薄明の頃であった。この薄明の中、進むその先に、ぼう~っと、島影が見えた。斜め右手にテネドス島、左手遠くに見えるのはレムノス島である。この両島の間は、約50キロ余りである。船団は、両島の真ん中辺りから、やや大陸よりを北上していた。
薄明の海上をくぐもった木板を打つ緊張感のある打音が渡っていく。
夜は明けていく、東の遠くに見える山の稜線から、6月7日の朝陽の第一射が来た。
洋上においての一時停船から進発した、このときは、天文薄明の頃であった。この薄明の中、進むその先に、ぼう~っと、島影が見えた。斜め右手にテネドス島、左手遠くに見えるのはレムノス島である。この両島の間は、約50キロ余りである。船団は、両島の真ん中辺りから、やや大陸よりを北上していた。
薄明の海上をくぐもった木板を打つ緊張感のある打音が渡っていく。
夜は明けていく、東の遠くに見える山の稜線から、6月7日の朝陽の第一射が来た。