『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第10章  アキレスとヘクトル  13

2008-02-13 08:20:37 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 統領のアガメムノンにつれて、諸将がアキレスの陣営に集まってくる。アガメムノン、オデッセウスは、槍にすがって歩いて来る。ちょっと傷ましい風景であった。諸将が集ってアキレスを中心にぐるりと円陣を組んだ。アキレスは、昨日の件を含めて、開戦以来の経緯を簡単に述べたあと、戦線への復帰を皆に告げた。皆は喜び、その感激には新たなものがあった。
 戦線への復帰を宣言したあと、向こう三日間の戦闘計画を明らかにした上、今日の作戦計画を周到に打ち合わせた。
 オデッセウスの采配で、牛羊を屠り、出陣の儀式を行った。アキレスの軍団をはじめ全軍団の意気がいやがうえにも高められた。意気は高揚していく、そのエスカレートは頂点に達した。将たちは、彼等の戦意を煽り励ました。
 時を見計らって、アガメムノンは、アキレスに声をかけ、戦線復帰への感謝の意を述べたあと、
 『アキレス。あの件は大変に済まなかった。改めて、深く謝る。許せよ。オデッセウスを通じて約束したことを果たす。気持ちよく納めてくれ。それで俺の胸がおさまる。』
 『アガメムノン。そのことについては、貴方の気持ちのおさまるようにしていただけば、私はそれでいい。』
 二人は、快く和解した。二人の心の中のわだかまりは氷解したのである。