『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第10章  アキレスとヘクトル  9

2008-02-07 08:26:01 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 2月29日 朝の光がトロイの戦野を明け染めていく。春は風が強い、イデーの山から吹き降ろしてくる風と陸風があいまって、戦野に砂塵を舞わせていた。
 両軍は、陣立てに取り組んでいる。各将は迷いながらの陣立てである。想定した戦場に予定の作戦計画で挑むのだが、両軍ともに、今日の戦いの流れが見えていない。昨日の激戦の疲れが、今日の厭戦気分をかもし出していた。ヘクトルといえども疲労を感じていたのである。
 アキレスは、心に傷を受けたとはいえ、肉体的な疲労は少ないといえた。彼の率いる疲れ知らずの軍団の動きが両軍の注目のかなめであった。
 アキレスの陣営には、出来上がったアキレスの使う楯と軍装をたずさえて、ヘパトスが戸口に立って、衛兵に案内を乞うていた。