『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第10章  アキレスとヘクトル  8

2008-02-06 08:09:14 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 アキレスは、鎧と楯について、へパトスと事こまかに打ち合わせた。
 『アキレス様。明朝一番に貴方様の陣に、私が持参いたしましょう。』
 『では、へパトス。頼む。』 彼は工房を辞し、プリセイスの待つ陣営に帰った。
 プリセイスは、愁傷のアキレスを、明日から命を賭けて闘うアキレスを、心を尽くして愛した。アガメムノンは、プリセイスには手をつけてはいなかったのである。
 床についたアキレスは、プリセイスを引き寄せた。彼女を初めて抱いたときのときめき、指先に感じた肌の滑らかさ、下腹部の茂みの感触、そして、更に指先を秘所にすすめた。暖かさと潤い、彼は、自分に似せない優しさで彼女の秘所を愛撫した。彼女は、アガメムノンのもとで、一日千秋の思いで過ごしたアキレスとの空白の日々、その気持ちをこめて、アキレスの陽のものを心をこめて愛おしんだ。二人は、結ばれた。愛合は濃密を極めた。
 へパトスの工房では、ふいごが火を噴き、職工たちはアキレスの軍装の製作に精を尽くしている。へパトスは、精巧堅剛の武具の仕上げに精魂を打ち込んで仕上げていった。それはアキレスに勝利を約束するものづくりであった。
 戦野の真ん中に野営の陣を張ったヘクトルは、明日はアキレスが来ることを予想していた。陣構えを考えている。トロイ軍と援軍の焚き火が各所で焚かれていた。
 来るなら来てみろアキレス!トロイは我が城市、平和で人情豊かなこの城市、この城市は俺が護る!
 我が友パトロクロスの仇敵ヘクトル!必ず倒す。倒して友に報いる。
 アキレスとヘクトル、互いの心は燃えていた。