◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

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「写生と想像力を組み合わせ」って?

2018-07-15 09:02:35 | 気になる言葉、具体例
                                  ちょっと違うにゃ

 4月15日放送の「日曜美術館 アートシーン」で、円山応挙の猛虎図について「写生と想像力を組み合わせ」と言い、現代美術の展覧会について「旅をするように想像力を巡らせ鑑賞する展覧会」と言い、「想像」と「想像力」を全く区別しない日美スタッフ( ̄д ̄)! ナレーターは髙橋美鈴アナ( ̄д ̄)! どちらも「想像」でしょ!
 日美スタッフは、ずぅ~っと前から何でもかんでも「想像力」です。「何でもないモチーフが想像力をかき立てます」というナレーション、このときのナレーターは森田美由紀アナ。「どうやら園さんの想像力をかき立てているようです」は伊東敏恵アナ。園さんは映画監督だから、わざわざかき立てなくても「想像力」を発揮できますよ( ̄" ̄)。
 ナレーターが髙橋美鈴アナになってからも、「想像力をかき立てられ」「自分なりの想像力をかき立てて描く」「絵師たちの想像力をかき立てました」と、「想像力をかき立てる」ばかり ┐( ̄д ̄)г。NHKにはこの誤りに気づく人はいないようで、日美担当のアナウンサーたちも何も疑問を感じないようです。
 さらに、「美の壺」のナレーターである木村多江も「影には人の想像力をかき立てる力があるといいます」と言いますし、「グレーテルのかまど」や「地球ドラマチック」のナレーションでも出てきます。ナレーターの渡辺徹なんて何度も「想像力をかき立てる」と言っていますからね、完全に「想像力をかき立てる」だと思っているようです。
 ほかにも、「読む人の想像力をかき立てたのです」は「100分de名著 ノートル=ダム・ド・パリ」のナレーションで、ナレーターは加藤有生子。「想像力を膨らませるのじゃ」と言ったのは「京も一日陽だまり屋」のコノハ。「デザイン トークス+」のナレーションも「想像力をかき立てる」で、ナレーターは秀島史香。NHKオンラインの放送内容を紹介する文章には「可変性のあるデザインは、使う人の想像力を掻き立て、また、新たな表現方法を生み出します」と書いてありました <( ̄д ̄)>。
 「私の好きな民藝」という番組、これもNHKが放送したものですが、その中で「想像をかき立てられるような」と言ったのは作家の平松洋子さんです。NHK側が用意した原稿(台本)を読んだのではなく、平松さん自身の言葉です。「想像をかき立てる」を聞いたのは本当に久しぶりですよ、やはりこうでなくっちゃ d(⌒・⌒)good。
 ところで、7月1日放送の「日曜美術館 アートシーン」でちょっとした異変が・・・。北川健次の作品について「意味も時代も異なるオブジェを組み合わせ、見る人の想像力を呼び起こします」と言ったのですが、これは誤りとは言い切れないかなぁ、「呼び起こす」って新しい? まず、眠っている想像力を呼び起こすのか? もしかして、「想像力をかき立てる」に飽きてきた?
 さらに、7月8日の「日曜美術館 アートシーン」でエッシャーの作品について話していたとき、「自由に想像を巡らせていきます」というナレーションが流れました。「かき立てる」ではなく「巡らせて」だから、ひょいっと「想像」になったのか? 4月15日の放送では「旅をするように想像力を巡らせ」と言っていたけれど。
 でも、驚きましたよ、続いて中村忠二の「野の女」という版画について話したのですが、「顔の中心が描かれていません。何を考えているのか、想像をかき立てます」というナレーションが流れました。NHKなのに、なんてこった、「想像をかき立てます」だっ! どうしたんだ? 一体、何があったんだ?

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