◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「事実が明らかとなって」って?

2007-03-10 10:28:46 | 気になる言葉、具体例
                明らかにでぶりん
 これは、格助詞「と」の誤用ではないでしょうか。格助詞は、体言や準体言に付き、前後の文節の関係を示すものです。体言は、名詞のほかに、「粘り強い走り」の「走り」や「元気さ」なども該当します。準体言というのは、「遊ぶのと勉強するのとどっちを先にするか」の「遊ぶの」「勉強するの」のように、「の」が付いて体言のようになったものや、動詞・形容詞・形容動詞の連体形が文中で体言と同じ働きをしているもの、例えば「新しきを知る」の「新しき」などです。
 形容動詞「明らかだ」の連体形は「明らかな」です。「健康な体」の「健康な」は形容動詞で、「健康」は名詞ですが、「明らか」という名詞はありません。「健康が大切だ」「健康を喜ぶ」とは言えますが、「明らかが大切だ」「明らかを喜ぶ」とは言えませんね。「明らか」は形容動詞「明らかだ」の語幹であり、体言でも準体言でもないのです。語幹を体言であるとする説もあるようですが、以前は「明らかになる」と言っていたことは間違いない事実です。
 それに、「にぎやかだ」「静かだ」も同じ種類の形容動詞ですが、「にぎやかとなる」「静かとなる」などというのは聞いたことがありませんよね。形容動詞の語幹に格助詞「と」は付かないのです。「明らかとなって」ではなく、「明らかになって」が正しい表現なのです。「明らかに」は「明らかだ」の連用形で、「明らかになる」「明らかにする」としか言いようがなく、同様に、「にぎやかになる」「静かになる」です。
 では、なぜ「明らかとなる」だけが最近しょっちゅう聞こえてくるようになったのでしょうか。最初に聞いたときはものすごく変だと感じたのですが、あまりに何度も聞くので少し慣れてきてしまいました。考えられる理由はただ一つ、「明らかとなる!」のほうが何となく力が入っているような感じがするので、大げさに強調したいときにはぴったり! これですね、いかにもテレビのナレーション用の表現として好まれそうです。うーん、納得ぅ・・・って、納得なんかしてはいけませんよ。

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