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エルモの嘆きと子ども保険

2017-04-04 20:49:03 | 徒然

3月下旬、Huffington Post「エルモが・・・クビになっちゃうの?」という、記事が掲載されていた。
Huffington Post:エルモが・・・クビになっちゃうの?トランプ政権に翻弄される悲しみの声を聞いてみよう

ご存じの通り、エルモは米国の幼児教育番組「セサミストリート」の人気キャラクターの一つだ。
その「セサミストリート」から、エルモが解雇される・・・?というのが、記事の内容になっている。
エルモだけではなく、クッキーモンスターなどの人気キャラクターも解雇されてしまい、エルモが将来に不安を抱え、嘆いている、という内容だ。

「セサミストリート」を制作をしているのは「Children workshop」という、非営利の団体で米国の大手ケーブルテレビ局と提携しているのだが、ここで問題にしているのはトランプ氏が打ち出した、貧困層の子供向けの教育プログラムなどに対する予算削減について。
そもそも「セサミストリート」という番組が作られるようになった背景には、1960年代、米国の貧困家庭に本は無くてもテレビがある、という点に注目したコトに始まる、と言われている。
当時の米国内には、黒人の貧困家庭を中心に満足な幼児教育を受けられない子供たちが、沢山いた。
人種差別などにより、教育機会を得られないまま思春期に犯罪に手を染めるような若者たちも、数多くおり(この点は、今でも変わっていないような気がするが)「家庭環境、特に経済的問題による教育機会を失うことがないように」という考えから始まり、時代の変化と共にヒスパニック系やアジア系の子どもたちも番組に登場するようになってきた。
「セサミストリート」という番組は、「教育機会の格差をなくす」のではなく「様々な偏見などにより子供たちの教育機会を得やすい環境をつくる」という、目的で制作された番組なのだ。

何故「教育機会を得る不公平を無くす」必要があるのか?と言えば、それは資本主義と民主主義の基本だからだろう。
一見相反する「資本主義」と「民主主義」だが、教育という視点では共通する点がある。
「教育」がきちんとされないと、優秀な労働力(という表現は好きではないが)として経済活動の一員になれないだけではなく、社会の様々な問題を考え・行動できる人になれないからだ。

その視点で考えた時、トランプ政権ほどではないにしても日本でも同様の問題を抱えているのでは?と、感じるコトがある。
例えばOECDの中で、日本は国が教育にお金をかけない国の一つとして挙げられる。
OECD:2016年教育データ日本
高等教育という点だけに注目すると、どうしても「給付型奨学金の創設」などが考えられるのだが、今問題になっている「ひとり親家庭」などにおける「子どもの貧困」という視点で考えると、「セサミストリート」のような「早期教育」も注目する必要があると思う。
そこに着目した(?)のが、小泉進一郎氏などが提案した「子ども保険」ということになるのだろう。

確かに、これまでの政策は「高齢者偏重」と言われる傾向が強かった。
ただここ2,3年の政策は「高齢者にも相応の負担」という考えに変わってきている。
財政的安定を考えれば、出産後も女性に働いてもらいたい!が、その環境が整っていない・・・という現実がある。
その解消策としての「こども保険」という発想は、社会保障として「子育てを支える」という明確な政策だと思う。
それが公的な教育費として使われるのであれば、検討される余地はあるのではないだろうか?