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「事業の実態を把握していない」と答えられる経営者ーZOZOTOWN「ツケ払い」

2017-04-28 21:48:48 | ビジネス

Yahoo!のトピックスにも取り上げられている「ZOZOTOWNのツケ払い」に関するニュースを見て、ビックリした。
ITMediaビジネスオンライン:ZOZOTOWN「ツケ払い」、未払い率「把握していない」

この見出しだけを見ても、驚かれる方のほうが多いと思う。
何故ならこの言葉の主が、ZOZOTOWNを運営しているスタートトゥデイの社長だからだ。
しかも「決算会見」という場での発言であったことに、驚きを通り越して唖然としている。

「ツケ払い」の決済代行を違う会社に委託をしているとしても、商品を販売しているのはZOZTOWNというECサイトだ。
決済代行を委託しているとすれば、当然収益の中から「代行手数料」などを支払っているはずだと思うのだ。
支払っていなくても、回収した代金から「手数料分」が引かれて、スタートトゥデイ側に支払われているのでは?
他社に「決済代行」を委託しているからと言って、事業収入を把握していない経営者はいないと思う。
理由は説明しなくても、ご理解いただけると思う。
本当は把握しているのかもしれないが、であれば、回答する言葉が違うと思う。
「未払い率」ではなく、売り上げ全体に対する未払いの割合など、違う言い方もあるのではないだろうか?
もし、本当に把握していないのだとしたら、随分どんぶり勘定の企業という印象がある。

「未払い率」を把握していないにもかかわらず、「『ツケ払い』をテレビCMなどで積極的に訴求したことで、認知度、利用者が増え、4月以降の業績に好影響を与えている」という話にも違和感を感じる。
確かに「ツケ払い」という支払い方法によって、新規顧客が増えたかもしれないが、そのうちの何パーセントかは「ブラックリストに名前が挙がる=未払い者」ような顧客を作ってしまっているのでは?
そのような顧客は、本当の顧客と呼べるのだろうか?
何より、「ツケ払い」というサービスは、利用者にとって「本当のメリット」があるサービス、と言えるのだろうか?

確かに、ECビジネスの市場で占有率を高める、ということは重要なことだ。
小売業の中でも、成長しているのもECビジネスだということを考えれば、市場の拡大を目指すことも当然だろう。
ただ、ZOZOTOWNの前澤社長の言葉には、「ビジネスのビジョンや未来図」のようなモノが感じられないのだ。
「自社のECサイトで買い物をしてくれれば、それで良い。後のことは知らない。「決済代行」を行っているGMO側が、必死に代金回収をしてくれるだろう。」と、言っているようにも聞こえるのだ。
それは、商売としてあるべき姿なのだろうか?
何より、経営者としてどうなのだろう?
これらの言葉には「儲けが先で、後のことは(お客さんが)どうなっても知らない」と、言っているようにも聞こえるのは、私だけだろうか?