はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

村山慈明五段

2007年12月30日 | しょうぎ
 村山慈明(むらやま やすあき)五段、23歳、東京都出身、桜井昇門下。

 今期の成績は、27勝7敗、すばらしい成績です。村山さんは、渡辺ブログにも、渡辺明竜王の友人としてよく登場しているようです。
 村山五段は今年新人王戦で優勝しました。これは25歳以下の若手の中で(竜王である渡辺明を除いて)頂点に立ったことを意味しています。
 ただ、その割には目立たなかったのは、新人王戦の決勝戦がネット中継されなかったこともあるでしょう。この棋戦の主催は赤旗ですが、日本共産党は昔から将棋・囲碁に理解のある党です。なのですが…思想とともに組織が老化してきているのでしょうか。(いや、失礼。)

 昨日の記事では、村山慈明-大内延介戦の結果を書いていませんでしたね。
 「真部の4二角」を指した大内九段。それに対し、先手の村山五段は困りました。どうやっても先手が不利になってしまいます。考えた末、いちばん粘れる手を指しました。
 大内優勢。苦しい村山。
 村山さんにとって重要な対局でした。4勝1敗。ここで2敗目を喫すると今期の昇級は難しくなります。
 僕はネットでリアルタイムで観ていました。大内さんが勝つだろう、と思いました。そういう流れでした。真部さんのこともありましたしね。
 ところが、大内さんは気合良く指しすぎました。一瞬で逆転、村山五段が勝ったのです! 勝った村山、5勝1敗。(次の対局も勝って現在6勝1敗)
 僕は「真部の4二角」を升田幸三みたいだ、と書きました。升田さんは、まだこれからという将棋の序盤で「あとはどうやってもこっちの勝ち」という局面を素早く作り出すことに全力をあげる人でした。そこまでが天才の本当の「仕事」で、その後の闘いは「遊び」のようなところがありました。それで終盤に気がゆるみ、逆転負けということも多かったのです。そういう場合の勝者はだいたい大山康晴名人でした。そういうところも含めて、この村山-大内戦の後手は、まさに升田さんの将棋のようでした。
 そうすると結局勝利を手にする「大山役」を、村山慈明五段が演じたことになりますね。

 僕のブログでは、村山慈明さんは他にももう1箇所出てもらっています。4月26日上野裕和五段の順位戦昇段の記事ですが、トップを走っていた村田智弘五段が敗れて上野さんが昇段したという内容です。その村田五段に土をつけた男が、彼、村山慈明五段なのです! この時の将棋も、村山さんは不利でほとんど負けの状態でした。それを、自分は昇段には関係ないのに、がんばって指し、逆転勝ちしたのです。
 この村田戦といい、大内戦といい、重要な印象深い対局で村山さんは主役ではないのにこっそりと登場し、苦しい勝負を勝っている。渋いヤツです。じつはスター棋士の「輝き」をかくし持っている男なのかもしれません。

 さあ、そんなふうに今期のC級2組順位戦を見てみますと、これからが面白そうですよ。昇級レースは7局目を終え、次のようになっています。

  全勝 佐々木慎 五段 ←11月28日記事
  1敗 阪口 悟 五段
     村山慈明 五段 ←今日の主役
     横山泰明 五段
     遠山雄亮 四段
     豊島将之 四段 ←昨日も登場
  2敗 村田智弘 五段 ←9月10日記事、4月26日記事
     川上 猛 六段
     佐藤和俊 五段 ←12月14日記事
     高野秀行 五段
     藤原直哉 六段
     矢倉規広 六段
     田村康介 六段 ←9月10日記事

 残り3局、上位3名が昇級です。村山五段は3番手、3戦全勝ならば昇級です。2敗の村田、佐藤は届くのか? 17歳新人豊島の一気の「まくり」はあるのか?
コメント (2)
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