経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

利益・効率性の追求が企業をダメにする?

2009-07-03 | その他
 昨年よい刺激になったので、IT Japan2009を聴講してきました(といっても初日の午前中だけですが)。

 今年の基調講演は田原総一郎氏で、キーメッセージはこんな感じでした。

「利益を追求すること」「効率性を高めること」、企業にとって当たりまえと思われるこれらの目的の追求が、実は企業をダメにしてしまうことがある。最も利益を得やすい大型車に注力し、効率性の観点から研究開発を抑制したGMがその好例で、企業は短期的な利益の追求にばかり走らず、研究開発で競争力を磨くことが肝要である。
 但し、競争力を磨くとはいっても、競争環境や事業の決定要因は時代によってシフトする。例えば、これからの自動車産業では、市場の重心は新興国=安い小型車にシフトするし、その先に電気自動車の時代が来ると、エンジンの競争力は役に立たず、モーターや電池が新たな決定要因に変化する。ITの世界でも、ソフトバンクの孫氏は、2018年にコンピュータが人間の頭脳を超え、考える存在になると予言している。そこで重要になるのが、未来を読んだ戦略性(特に標準化戦略)だ。

 まぁよく言われる種類の話ではありますが、日頃知財の世界に嵌り込んでいると、こういうテーマを考える人達の思考回路・考えるアプローチが全く異なることに気付かされます。知財の仕事の多くは、与えられた課題をルールを当てはめながら解いていくというものですが、自ら問題を設定して、関連のありそうな情報を集めて「それってどういうこと?」「これからどうなるの?」と思考を展開させていく。経営、事業を戦略的に考えるためには、そういう頭の使い方が必要になるはずですが、知財という位置にいるとその機会が少なくなりがちなので、同じセミナーの聴講に時間を使うなら、知財を離れて有識者の話を聞きにいくというのも悪くないものです。


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