経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

高すぎる参入障壁の罠

2007-11-26 | 知財一般
 世間の関心は吉兆のほうに移ってしまっていますが、赤福の事件から思い出したことがあります。かなり前になりますが、三重県下のある研究開発型企業の方とお会いしていたときに、「赤福さんはいいよなぁ、新製品の開発に苦労しなくても十分やっていけるのだから」という話が出ました。知名度・ブランド力、流通網など参入障壁は万全ですから、競合のことを意識する必要のない状態がおそらく数十年(もっと長い?)にわたって続いていたのだと思います。
 同じ全国的に有名な土産物でも対象的なのが生八ツ橋です。「おたべ」「聖護院八ツ橋」「夕子」の他にも多くのメーカーの商品が入り乱れて競争は激ししようで、京都に行くたびにカラフルな新製品が登場しています。手作り体験など、サービス向上にも余念がありません。赤福の報道の際には、もみじ饅頭は大丈夫か?とも思ったのですが、もみじ饅頭も赤福的ではなく生八ツ橋的な乱立型の競争環境にあるようで、テレビでみたところでは賞味期限が近づいた商品は店頭で半額で販売するなど(実は数日間置かれた特売品のほうが美味しいらしいですが)、緊張感をもって品質管理が行われているようです。一方、不祥事を起こした「白い恋人」は1メーカーのブランドで、同種の商品間で競争が生じているような状況にはありません。
 こうやって考えてみると、複数のメーカーが競合する地域ブランドでは新製品開発が活発であるとともに、偽装などの不祥事も起こりにくく、圧倒的に強い特定のメーカーのブランドは緊張感が失われやすいためか、問題が発生しやすい傾向があるといえるのかもしれません。
 高い参入障壁によるブルーオーシャン化が知財戦略の目指すところではありますが、高すぎる参入障壁にも罠があるので要注意、ということでしょうか。