経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

織込済&冗談みたいな話

2007-11-10 | 企業経営と知的財産
 キヤノンのインクカートリッジ特許侵害訴訟の勝訴確定が話題となっています。高収益を生むビジネスモデルを守る上でも重要な訴訟と見られてきましたが、市場はどのように評価したのでしょうか。報道明けの昨日の株価の前日比をみると、
 キヤノン  -1.41%
 日経平均  -1.19%
 TOPIX -1.49%
ということで、殆ど影響はなかったというところです。以前にも、特許に関する事件が報道された翌日の株価をいろいろ調べたことがありますが、どんな知財業界の大事件であっても市場に目に見えるようなインパクトを与えた例は皆無といった感じでした。個々の事件は知財的には大きなトピックであっても企業収益全体から見ると影響は軽微、といった理由が考えられる例がほとんどでした。一方で、今回のキヤノンの場合は、この事件の持つ意味は結構大きいような気がしますが、おそらくこの結論は「織込済」であったという部分が大きいのしょう。

 これとは別に、「特許」で飛躍的に「企業価値が高まった(!?)」企業を見つけました。地理情報システムのドーンという会社ですが、7日の場中に地図データ提供システムに関する新たな特許取得を発表、そこから3日間で株価は約50%上昇、この間の時価総額の増加額は5億円以上です(ということは、この特許の評価額は既に5億円超?)。時価総額の小さい小型株だと、ちょっとした「材料」で投資家がおもちゃにしてしまうことはよくある話ですが、特許公報も発行されていない段階で、まぁ冗談みたいな話ですね。