経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

知的財産経営(&知的資産経営)

2007-11-05 | 知財発想法
「知的財産経営」
「知的資産経営」
 知財人にとってのキーワードであるはずなのですが、何となくわかったようなわかんないような言葉です。

 私の理解する「知的財産経営」とは、
企業の競争力の源泉となる「知的財産」を「知的財産権」によって適確に保護することによって参入障壁を形成し、価格決定力を強化することによって、高い利益率を確保することを目指す経営
といったところです。アウトサイド・インですね。これが「知的資産経営」ということになると、「知的資産」については「知的財産権」のような具体的な保護手段がないため、どう定義したらいいのかちょっと困ってしまう、といった感じになってしまいます。

 パテントの最新号によると、経産省知的財産政策室前室長のご説明の中では、
知的財産を中心とした企業のもっている価値、こういったものを評価して、企業の経営の中に活かしていく
これが「知的資産経営」あるいは「知的財産経営」である、と説明されています。インサイド・アウトですね。おそらくこのように定義するのが今の通説だと思うのですが、どうも個人的にはストンとこないというか、腑に落ちない部分があります。というのは、それはそれとしてもちろん筋の通った考え方だとは思うのですが、知的財産、さらには知的資産と呼ばれるようなもの、すなわち技術や人材を経営に活かすといわれると、タイガースの岡田監督ではないですが「そらそうよ」と言いたくなってしまいます。多くの会社がそれはあたりまえのこととして考えているように思いますし、逆に「知的資産経営」「知的財産経営」でない経営(こういう概念が持ち出されるということは現状多くの会社はそうなっていないということでしょうから)とは一体どんな経営なのかよくわからない、という印象をどうしても持ってしまいます。

 パテント誌の中では、丸島先生がもう少し具体的な目的として「競争力を保つ」ということ、つまり、
自社の知的財産による競争力を増やして他社の知的財産による攻撃力を減らす
ということが経営戦略上重要だ、と説明されていますが、確かに「自社の知的財産による競争力が不十分で他社の知的財産による攻撃力の脅威に晒されている」という企業は決して少なくないと思われるので、このように具体的な目標設定がされるとストンと腑に落ちてきます。
 結局、知財の仕事としてやるべきことは変わらないはずなので、どのように定義するかということは、さほど本質的な問題ではないのかもしれませんが。