経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

知財のセンス

2007-11-21 | 知財発想法
 一昨日、発明協会さんの知的財産管理コンサルタント研修で「金融の視点から見た知的財産経営」と題してお話をさせていただきました。その中で、企業の資金需要と調達の関係の基本的な考え方を図のように解説したのですが、ファイナンス関係の仕事をやっていると、「急速に売上が増えてきて生産を拡大している」とか「新工場を建設して事業規模を拡大する」とか「IPOで集めた資金で積極的にM&Aを進めている」とかいった話を聞くと、図のような構造の中で左側のどこが膨らんでその分を右側でどういうふうにバランスさせて(あるいは左側を証券化してスリム化して)みたいなことが、頭の中にザックリ描けるようになってきます。これが「財務のセンス」とか「金融のセンス」とかいうもので、金融人に限らず、経営者や事業部門の責任者などもこうしたセンスが自然に身についていき、共通言語で話せるようになってきます。また、このセンスが身についていると、NOVAのバランスシート(教室開校の必要資金を受講者の前払金で調達している)を見れば破綻しそうなことはすぐにわかりますし、ニイウス・コーが実は赤字が累積して(開発費が資産計上して先送りされていた)危ない状態だったということも読み取れるわけです。
 一方、知財の世界はどうか。知財業務についても、各々の仕事の全体での位置づけやその意義を、ザックリとイメージできるようなモデルがあって、それが「知財のセンス」として共通言語となっていくならば、経営者や事業部門とのコミュニケーションが円滑になると思うのですが。私の中では、ちょっとアバウトなモデルではありますが「知的財産=城知的財産権=濠や石垣」(「知的財産のしくみ」p.18~19etc.)というのが「知財のセンス」をわかりやすく表現するイメージです。