経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

ビクター売却と知的財産

2006-12-23 | 新聞・雑誌記事を読む
 今朝の日経1面トップには松下がビクターを売却する記事が掲載されていましたが、5面の記事にはちょっと知財的な切り口から、
① 「VHSで蓄えた莫大な特許料収入をヒット商品の開発につなげられなかった。」
② 「再建『ブランド力』頼み」
と解説されています。
 ①については、特許の存続期間は会社の存続期間より短いものであり、持続的な企業価値の向上ということを考えると、知的財産権を有していることよりも、新たな知的財産を生み出すことが重要であることを端的に示した例であると思います(日本ビクターの企業価値を示す株価にも、ジリ貧の状況がよく表れています)。
 ②については、
 日本ビクターの時価総額≒株主持分(PBRがほぼ1倍)
という状況なので、その「ブランド価値」は市場では評価されていないとも考えられそうです。尤も、これからの譲渡交渉で現在の株価に対するプレミアムとして、このあたりが織り込まれることになるのかもしれません。
 この例からは、持続的な企業価値の向上という視点から、新しい知的財産を生み出す力と、法律上の寿命がないブランドの価値を守ること、の重要性が読み取れるのではないでしょうか。