ランサーに乗ってるくせに、他の型のモデルは全く興味ないのですが(笑)、4代目ランサーのカタログが安価だったので入手しました。左が前期型用、右が後期型用です。
3代目ミラージュの1バリエーションにすぎなかった4代目ランサーですが、今でこそセダンは6ライトのクーペルックが流行になっているものの、この当時は6ライトのセダン(特にハッチバックになっている「5ドア」タイプ)は不人気であり、この型のランサーも単にミラージュの5ドア仕様だったことから、とても人気があったとは思えません。旧車趣味でも、全く取り上げられません。挙句、当時デビューを報じたCG誌に、ヨーロッパフォードが売っていたスコーピオに似すぎだ!と酷評される始末。ランサーとしても、ほとんど無かったことにされているモデルです。ランサーでは5ドアモデルは、(ステーションワゴンタイプを除き)本モデルにしか存在しないことからも、いかに人気がなかったかが伺えます※。
メーカーとしては、従来のセダンではできない5ドアハッチバックによる多用途性を強調したかったようですが、残念ながら成功はしませんでした。
※ギャランフォルティス・スポーツバックは、海外ではランサーとして販売されていたので、全く無かったわけではない。
上が前期型、下が後期型です。後期型では、いわゆる「ランチアグリル」に改変されている程度で、大きくイメージは変わりません。
SXサルーンは、後期型ではフロントスポイラが装着され、ドアノブがカラーキー対応となっています。
SZやエトランジュは、特にドアノブがカラーキーになった程度で、大きく変わりません。
本モデルにも、GSRタイプが用意されています。DOHC4バルブがSR、DOHC4バルブインタークーラ―ターボがGSRです。GSRはビスカスフルタイム4WDでSRはFFですが、後期型ではSRにもビスカス4駆が追加されています。
走りのランサーをイメージするグレードですが、メカニズムそのものはミラージュと共通であり、特にランサーだから高性能、というわけではないです。
しかし、後期型に用意されているGSR-RSは、レースベースに使えるスパルタンなスペシャルグレード。基本は最廉価グレードのSタイプをベースにしていますが、リアディフにリミティッドスリップディフを標準装備するなど、GSRとは差別化が図られています。
GSRを中心に、なんとか走りのランサーを思わせる雰囲気のある車であったとは思いますが、いかんせん当時の5ドアセダン不人気を考えずに出した感もあり、ランサーとして魅力のある車だったのか?と言われると、とても微妙な車です。ランサーは、やはり4ドアセダンであるべきですし、それを物語るように5代目モデルはとても保守的な4ドアセダンに回帰しました。ところが、今の三菱は、信じられないことにランサーの商標を、将来的に出そうと考えている新型SUVに生かそうと検討しているようですが、笑止千万です。適材適所という言葉を、三菱は知らないのでしょうか?このランサーは、そういうことを考えさせてくれる一台です。