きまぐれ発言

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「鞆の浦」裁判で埋め立て待った!

2009-10-02 11:41:56 | Weblog
「鞆の浦」裁判で埋め立て待った!       (009.10.02.)

瀬戸内海の景勝地広島県福山市の「鞆の浦」を一部埋め立て、交通混雑を解消する目的で道路を作る計画が、地元の反対派住民が、「住民の財産である古い歴史的遺産を破壊するものだ」として、訴えていたもので、昨日広島地裁での判決が出され、「景観利益保護」を理由に公共工事の着工を差し止める判決を出した。

この様な判決は、珍しく、今まで、公共工事は「動き出したらとまらない」と言われ、開発行政の在り方は強引とも言われる方法で進められて来たが「景観保護」の立場から埋め立て許可を出さない判決は、今後の公共工事に転換を求める、慣例を作る画期的な判決であると思う。

「鞆の浦」の文化的景観価値は、シンボルとも言われる「常夜灯」、「雁木(がんぎ)」と呼ばれる階段状の船着場、波止、船を修理した焚場(たでば)、船番所、と言った港を特徴づける五つの要素を備えた日本に残る唯一の港である。
そして、周囲の情景も瀬戸内海、特有の島々が素晴らしく、古くから「潮待ちの港」として栄え、江戸時代に、朝鮮通信使がその美しさに激賞したと言われている。

宮城道夫の「春の海」のモチーフとして、また、最近では宮崎監督のアニメ映画「崖の上のポニョ」の舞台になったところでもあり、世界遺産の選定に訪れたユネスコの諮問機関が「国際的な文化遺産の宝庫」と折り紙付の所となっている。

今まで、日本はこの様な文化的な遺産や、自然の景勝地をこの地に住む国民の財産として、大事にする事をせず、「地域開発だ!」とか「交通渋滞の緩和のためだ!」とかで、いとも、簡単に破壊されてきたのである。

「五木の子守唄」で有名な球磨川渓谷を「川辺側ダム」で、「関東の耶馬溪」とも言われた吾妻川渓谷を「八っ場ダム」で無残に破壊されたのも、単なる国土交通省の官僚と、その膨大な工事費に目が眩んだ、ゼネコンと自治体、本当にその地域に住む住民にすれば、祖先から受け継いだ地域の景観が、破壊される事に決して快く思っていない事に間違いはありません。

外国旅行をしても、ヨーロッパには、地域、地域で昔からの歴史的遺産は大切にされ、代々受け継がれて、その地の文化を形成している。

今回の政権交代により、官僚とゼネコン優遇の政治から、国民(生活者)主体の政治に変わって行くことで、歴史的、文化的景観価値を高め、公共工事に対する考えを、地方自治体自信が、中央省庁の言われるままになるのではなく、地域住民の側に立った生活重視の街造りを考えるべきであると思います。
(えびなたろう)