インドネシア大統領にジョコ氏(53)が (2014-07.23.)
インドネシア大統領選挙で、今月の22日に庶民派を全面的に押し出した、ジャカルタ特別州知事のジョコウイドド(53)=闘争民主党が当選を果たした。
対抗馬は、元陸軍戦略予備軍司令官のプラボウォ・スビアント(62)=グリンドラ党で、下馬評では、両者の接戦が予想されたが、ジョコ氏は現職閣僚らが摘発されている深刻な汚職の根絶や、経済発展に欠かせないインフラ整備に最優先課題として取り組む方針を示しており、彼のクリーンな政治姿勢と、住民との直接対話姿勢が、住民から国民的人気を集めた様である。
一方のプラボウォ氏は「選挙で大規模な不正があった」様で憲法裁判所に異議申し立てを主張している様である。
インドネシア政治に詳しい、専門家の言では、今回の大統領選挙は1998年のスハルト独裁政治崩壊に次ぐ歴史的な意味を持つ選挙で、軍人でも富裕層でもない、庶民出身の大統領が初めて誕生する。ジョコ氏は直接首長選が始まった2005年にソロ市長に選ばれ、いわば民主化の申し子で、市民感覚を反映させた政策で人気が沸騰している。対抗馬だったプラボウォ氏はスハルト体制のエリート将軍で、英雄主義を前面に出し、ナショナリズムを煽っている。
昨年まで、支持率に大きな開きがあったが、選挙戦でジョコ氏はネガティブキャンペーンに防戦一方だったが、最後の一週間で撥ね返した。鍵を握ったのはボランティアで。庶民の中から生まれた新しい時代のリーダーを草の根運動が支えた。国の方向性が大きく変わる分水嶺に有ったが、民主主義が深化する選択をしたと言える。世論調査を分析すると、この10年で増えた中産階級の支持は大きくぶれたが、女性票は一貫してジョコ氏だった。女性の力が政治を動かした事も注目に値する事である。
日本とインドネシアの関係は、今迄は良好であったが、今後も良好な関係を維持するように努力を続けるひつようあると思う。
(えびなたろう)