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つれづれの記

日々の生活での印象

廃炉処理の現況は問題無い?

2013年03月05日 23時54分07秒 | 日記

2013年3月05日(火)  廃炉処理の現況は問題無い?

 

 

 先日、当ブログに

     放射性廃棄物の処分を巡って (2013/3/2)

 

と題して記事を載せたところだ。 その記事作成途中で、記事中のA1に当たる、事故原発での廃炉処理に伴う廃棄物(特に汚染水)が、大変な状態にある事が報道され、かなり驚いた。 凡そが分かったので、取り急ぎ、取り上げることとした。

 本稿を纏めるに当たり、当初はかなり深刻な事態と受け止めていたのだが、調べて行くにつれて、だんだん、トーンダウンし、タイトルも変わって来ている。

 

 つい先日の3月1日に、東京電力が、事故原発の廃炉処理作業等の状況を、報道陣に対して、現地で公開したようで、その時に取材した様子を、TV朝日が同夜のニュースステーションで報道したのである。 それは、以下の様な状況だったのだが、ネット等の他の情報でも、再確認しながら、内容を補強してある。

 

○ 汚染水の貯蔵タンク群

 テレビ朝日のTV番組では、福島第一原発での、汚染水を保管している、大量のタンクが写し出された。約400トンの水が入る小学校のプールの、2.5杯分に相当する量の汚染水を入れることができる、かなり大きな1000トンタンクなど、敷地内には、既に、大小900本以上ものタンクがあるという。

遠目には、一瞬、低層アパートが立ち並んでいるように見えた位で、広大な敷地内が、汚染水のタンク群で占められている。

 貯蔵タンク(公開当日のYahooニュース 

 番組では、原発敷地全体の遠景として、事故前と事故後とで対比した画像が示されたが、緑豊かだった後背地の山林が、事故後切り倒され、そこが、無味乾燥で金属的なタンク群に変わっている様子は、極めて印象的で、異様な雰囲気が漂うものであった。

 景観が大きく変化したことも、やや、驚きだが、後述するように、多い時は、小学校のプール一杯分の、400トンもの汚染水が、日毎に増えている、と言うのは信じられないことであった。

 

 敷地内に設備済のタンクの総容量は、32万トン分と言うことで、既に現在、汚染水の貯蔵量は、約26万トンになっており、今後の余裕は6万トン程という。この分では、遠からず行き詰ってしまうようで、単純計算では、あと

     60000/400=150日

で、満杯となってしまうのだ。

 

 東電としては、今後に備えて

    2014年 前半までに  +8万トン

増設し、更に、敷地の造成を行って、現有容量の倍以上となる

    2015年度までに  合計70万トン

の容量を確保する計画と言う。でも、後者の実現には、地震での安全性等から、地盤調査が必要となるようだ。(河北新報 東北のニュース/福島第1原発 汚染水「背水」の処理 タンク増設もう限界

 仮に、70万トンの設備が出来たとして、現在のように、汚染水が増える状態が続くとすると、同じ様に単純計算だが

    (70-26)×10000/400=1100日

となり、後、約3年は持つ計算となるが、まあ、安心できる数字といえるだろうか。 これらが完成すれば、全体では、大変な数の巨大タンクが、敷地内に林立することとなる。

 

 下図は、東電の発表資料中にある滞留水の貯蔵状況(H25/1/31)で、上記にある、タンクの現状と今後の計画なども示されているようだ。(東京電力ホームページ) 

                           

 事故原発で、漏れ出た冷却水を循環して再利用するという、「循環注水冷却システム」により、変則的ながら、冷温停止状態を実現した、とされたのは、2011年秋で、あれから、1年半近くになる。当ブログでも、

     冷温停止状態実現   (2011/10/20)

     事故原発はもう安心! (2011/11/22)

の記事にあるように、ひと区切りとしてホットした所であった。

 

 これらの記事中で、冷温停止状態が実現した、と関係者が判断した条件の一つとして、タービン建屋周辺に滞留する汚染水の監視水位が、或る期間、一定レベル以下に保たれている事が確認されていること、があり、資料にも

   “残留滞留水の全体量は、豪雨や処理施設の長期停止にも耐えられるレベル”

とされていたものである。 当時の汚染水の水位は下図のようになっていた。

この時点での、循環注水している水の量や、必要により新たに加えている水の量は、把握はしていない。さらに、水位を保つために、必要により汲み上げ、汚染水として、タンクに貯蔵していたか否か、やその量は、不明である。

            

                           2、3号機の汚染水の水位(2011/6~11)

 

 

一方、東電の先日の資料によれば、2013/1/31現在で、汚染水の水位は、下図の右目盛りのようになっていて、上記とは、ほぼ、同レベルの3000mm前後である。 

 

            2,3号機建屋の汚染水の水位(2013/1中下~2上)    

 

 現在の、循環注水している水の量や、新たに加えている水の量は把握していないが、先述の様に、汚染水が溢れる事がないよう、監視水位を越える汚染水を回収し、タンクに貯蔵する量が、多い日で、400トンにもなると言うのが、自分には、想定外なのである。

元々、東電としては、時間的な経過とともに、貯蔵する汚染水の量は、どの様に想定していたのだろうか。又、必要となるタンクの建設いついては、当初はどのように読んでいたのだろうか。

 循環注水冷却システム全体でみると、

   システム内を循環する水の量       :通常の循環冷却

   システムに新たに加わって来る水の量 :外部からの注水冷却 

                             :地下水経由での浸入

   システムから出て行く水の量       :蒸発 除染処理に伴うロス 

   強制的にシステムから出す水の量   :建屋地下からの汲出し

                             :循環途中での貯蔵

などの関係が、極めて複雑である。 

 

○ 冷却で出る汚染水/増える汚染水

 重大事故になった1~3号機の、原子炉の冷却は、事故後現在まで続いている訳だが、今も、原子炉や配管等の破損個所の修理迄には、全く、手が届いていない実態のようだ。

汚染水の漏れが止まらず、増えているような状況では、当然、建屋の地下には入れないという悪循環になり、破損個所の修理などは、頭低、出来る状況ではないだろう。

 システム自身で、絶え間なく、汚染水を作り出しては、それをせっせと自分で処理しているという、苦行にも似た構図は、全く変わっていない。破損個所の修理が出来れば、汚染水も出なくなり、作業の安全性も大幅に向上するという、良循環に向かうだろうにーー。

 

 それどころか、汚染水を安全な水位に押さえるため、汚染水として回収する量が、かなり増えている、というのが問題だ。その原因は、降った雨水等が原子炉建屋の外部から地下水として建屋に入って来て、そこから、建物の基礎部分などを経て、建屋内部に浸み込んで来て、建屋地下などの汚染水が増える結果となる、と考えられているようだ。

あの時点でも、台風の豪雨など、周囲からの地下水を経由して入ってくる水も、それなりに考慮には入れていた訳なのだが。その後、余震等で、建屋周辺の地質構成や、地下水の流れ等が変化し、侵入量が増えたのだろうか。

 循環注水冷却システムは、部分的に破損している個所がある、原子炉や配管や建屋等の「人工物」を、仮に組み合わせて、危うい一つのシステムにしている訳だが、期待していない、地下水や地盤などの「自然物」が途中に組み込まれてしまう結果になっていて、一段と厄介なシステムになっている訳だ。人知を越える自然の奥深さを見せつけられる思いだ。 

 

 汚染水の増加を抑える対策として、外部からの雨水が、地下水として建屋に入りこまないように、地下水の上流で、12本もの井戸を掘って汲み上げる案も検討されているようだが、この方法では、汚染水の減少量は100~200トン/日程度にしかならないと言う。

事故後間もなく、地盤を固めて地下水を押さえるために、建屋周辺の地下に、凝固材等を注入したことがあったが、あのようなことは出来ないのだろうか。いずれにしても、未だに終わりが見えない、水との闘いが続いている。 

 

○汚染水の浄化とトリチウム

 使用済みの冷却水を循環させ再利用する過程で、危険な放射性物質であるセシウム137と、水中の塩分は、当初から除去して来たが、ストロンチウム、プルトニウム などは、除去されずそのままで、タンクに保存して来たようだ。

これらの、ストロンチウム、プルトニウムなど、62種もの放射性物質を、汚染水から除去するという、汚染水浄化の切り札と期待されている、多核種除去設備ALPSの設置が進められてきているようだ。12年秋には稼働を始める予定だったが、廃棄物容器の強度不足の問題が判明するなどしたため、現在も稼働には至っていないようだ。1日約500トンの処理能力があるという。

 この新兵器ALPSが稼働しても、水素の放射性同位体と言われる、トリチウム(三重水素)だけは、除去することが不可能のようで、浄化処理した水の中に残ると言う。 

 

 このトリチウムなるもの、これまで殆ど聞いたことは無いが、どんな物質なのだろうか。

半減期が、約13年で、原発の通常運転で生成される放射性物質の様だが、自然界にも一定の濃度で存在するという。

トリチウムは、水素爆弾の基になるとか、将来の核融合発電で重要になるなどとも言われていて、大して危険なものではないという意見と、いや極めて危険だという意見もあるようだ。

 

 先日のTV朝日のキャスターは、最後にトリチウムが残ることについて、深刻な問題と言った。一方、3/1の公開自体について、NHKでは報道されなかったようだし、上述の東電の資料ではトリチウムに触れられていない所を見ると、意外に大した問題ではないのかもしれない。

 トリチウムの安全性について、以前、NHKでも取り上げて、話題を提供したことがあったようだが(【NHK】「原発は、放射性トリチウムを通常運転中にも放出」と報道 - 100%完全燃焼宣言)、NHKは、安全だから、問題は無いと言う立場なのだろうか。安全性に問題は無いなら無いと、改めて、はっきりとそう言ってほしいものだ。

 原理的に除去できないものであれば、自然界に存在するレベルまで希釈する等して放出し、トリチウムとは、仲良くしていけばいいのだろうか。

でも、これを含んだタンクの水を海中に放出するとしたら、周辺の漁業関係者等は黙ってはいないのだろうか。

 

 廃炉処理に関しては、4号炉の燃料棒の取り出しなど、部分的には進展している面もあるようだ。でも、自分の理解では、変則的なシステムながら、一旦確立したと思った、冷温停止状態と言う最も基本となる状態が、いまだに、安定していない、ということではないのか。環境への放射性物質の放出を抑える、という最も基本的な事項が、揺らいでいるようにも思える。

 

 ここまで触れた汚染水処理の現状

   ・林立する汚染水の貯蔵タンク

   ・増え続ける汚染水と容量不足

   ・汚染水浄化装置(ALPS)の不稼働

   ・トリチウムの残留

などを、当事者である東電は、どう見ているのだろうか。そう深刻な状況とは見ていない様にも思えるがーー。

 

 現在の、このような状況に対して、人心の無用な不安を払拭するために、東電は勿論だが、関係する専門家や、国や原子力規制委員会として、その安全性について、どのように判断するのか明確にして欲しい。

そして問題があれば、どのような見通しのもと、どの様な対策を行うのか、明らかにする必要があるし、その責務もあろう。

 そして、全てのタンクがトリチウム汚染水で一杯になれば、良し悪しは兎も角、それを周囲環境に、放出せざるを得なくなる、という事態も想定される。

 

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サラリーマン川柳

2013年03月03日 23時28分43秒 | 日記

2013年3月3日(日) サラリーマン川柳

 

 

 先日、第一生命保険会社が、恒例の、今回で26回目となる、サラ川こと、サラリーマン川柳の、入選作100句を発表した。全国から募集した、3万を越えるものの中から、選出委員会で、100句を選んだようだ。

この100句が、当社のHPに載っており、いずれも、ユニークな、味のある句ばかりだが、その中から、3月19日までのネットでの投票で、ベスト10が選ばれることになっている。

 自分は、この方面の趣味は無いので、句作に応募はしたことは無いが、気に入った句を見つけて投票するのは、ネットで簡単に出来る事から、一句を選んで、先月末に投票したところだ。 選んだ句は、 

         父の日は むかしネクタイ いまエプロン

 である。 以前、ワイフKから貰ったエプロン、今や手放せない存在である。

 

 つい先日の3月1日(金)に、たまたま見た、NHK番組“こんにちはいっと6けん”の中の、「きらり☆川柳」に、ゲストとしてタレントの松尾貴史さんが出演していた。 

 氏の作品 

    手の内を 見せて見せない 腹の内 

も、人同士の心の駆け引きを、見事に言い表した句である。 手―腹、内と内、見せてー見せない という、言葉の対比や繰り返しも面白い。

 番組で、話題が先のサラ川の中の100句になり、その中の例句として、なんと、自分が投票した句が出てきたのには驚いたが、やはり嬉しかった。 

 

 

 このことより数日前のことだが、良く利用している、地下鉄千代田線の中の電車広告で、面白いものを見つけた。 ある女子大の、3つの学科の学生募集の広告に、サラ川風の句が書かれていたのである。手持ちのデジカメで写真に撮り、早速、帰宅後、その学校についてネットで調べて見た。

  社内の生徒募集広告 

 この学校は、私学の聖徳大学で、千葉県松戸市に本部があり、地下鉄千代田線(JR常磐線)松戸駅周辺にキャンパスがある様で、松戸は、自分の駅より、少し先になる。学生募集をしていたのは、同大学通信教育部の以下の3つの学科で、写真にある、それぞれに付いていた川柳を、以下に引用させて貰う。*は、小生のコメントで、→は駄作である。

 

心理学科   心理学 駆使して妻の 機嫌取り

         *立場の弱い夫の姿がいじらしいが、駆使してが、ややストレート過ぎ

         →心理学 通りには妻 微笑まず  

 

児童学科   わたしより 女子力高い 園児たち

         *先生のわたしも、女子力は高いのに、園児たちはその上を! 世は全般に女高男低の、女子力の時代。日本の植民地支   配から独立した韓国が、女性大統領を選んだ姿勢は、日本よりも、大分先を歩んでいて見習いたいところ。

         →我が国も 女性天皇 夢でなく

         →我が妻に 園児の様に 宥められ

 

社会福祉学科 転職の ためだと言えず 「親のため」

         *不安定な今の職場事情から、手に職を身につけたいと。けど、周囲に

           は言えず、親が病気で、などと。

          でも、親のため は、立派な目的ですよ!

         →老老の 2人で今日も 長生きし 

 

広告にあるどの句も、時代をよく写していて、ウイットがあり、風刺も利いていて、素晴らしい!

 

 ここで、上記に触発されて、自分も、一句、 

    聖徳(Seitoku)は  聖徳(しょうとく)よりも  良く知られ 

当該校の校名は、聖徳太子の教えと徳を慕って名付けられたようだが、「しょうとく」は畏れ多いので憚られ、「せいとく」にしたと言う。聖は、通常は、「せい」と読み、「しょう」と読むのは、自分の知る限りでは、

    聖徳太子 高僧(親鸞聖人 日蓮聖人 法然聖人) 聖武天皇 など

に限られている。

 

当該校の名前について、電車内等で見掛ける度、当初は、何と読むのか、大いに当惑したのだが、良く見ると、隅に小さく

    Seitoku

と出ているので、助かった。

 聖徳太子は、一万円札からも姿を消していて、今や、Seitokuの出番かな?

 

 ネット辞書では、聖徳(せいとく)と読んで、 最も優れた知恵 最上の知徳 という、大変な意味があることを、同校の名誉のために、付け加えておきたい。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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放射性廃棄物の処分を巡って  b

2013年03月03日 10時36分50秒 | 日記

2013年3月02日(土)  放射性廃棄物の処分を巡って b

 

 

 

④ 処分場の性格/位置づけ

ここで、福島県と他の都県との、処分場の性格や位置づけの違いについて触れたい。 

 

○福島県の指定廃棄物の量は、前述のように、別格で多いとともに、事故原発に近いことから、回収される放射性物質の濃度も高いもので、他の都県とは、同じには扱えないだろう。このことから、処理施設の性格についても、相違があるようだ。

 福島県に作る処理施設は、30年間だけ、暫定的に使い、その後、保管されている廃棄物を、他県に作る最終処分場に移す、となっている。 これらについては、以下の記事

   中間貯蔵施設  (2012/8/22)

で触れているが、福島に作るのは、あくまでも、中間貯蔵施設なのである。

 昨年7に福島県に示された案では、県内に複数の候補地が挙がっているが、その中から特定の場所が選定されるのか、全てに建設されるのか、その後、どのように論議されているのだろうか。

 

 福島の場合、永久貯蔵施設を作る、と言ってしまえば、地元は納得しないだろうとの思惑もあり、「中間」という言葉を冠して、謂わば、受け入れやすくしている訳だろう。

 原発、特に、事故原発に伴う負担については、沖縄の基地問題と同じような側面もあろう。電力の供給ということで、広く便益を受けている原発であるが、事故に伴う諸問題を、福島と言う特定の地域だけが負担するという構図は望ましくなく、出来るだけ多くの地域で分担するのが良い訳で、主旨は尤もなのだが、現実には、そう簡単に出来ることではないだろう。

 

 最終処分場として、特定の場所に集中し大型の施設を作るのでなく、分散型で安全で、小規模な処分場を、例えば、公園や古墳の様に、全国各地に作ることは出来ないものだろうか。

今後、30年も経てば、廃棄物の処理技術が進み、廃棄物の大幅な減量化も可能になり、Aのカテゴリーで必要となる最終処分場は、小規模で、安全なものになる事も十分に想定できることで、そうなれば、占めたものである。

 

 

○自分のこれまでの理解では、昨年夏に、建設地として、矢板市と、高萩市に白羽の矢が立った施設は、福島の場合と同様、中間貯蔵施設と思っていて、建設して30年後に、最終的な施設を作って、そちらに移すような話とも、漠然と思っていた。

 この時のブログ記事 

       指定廃棄物―負の遺産 (2012/10/7)

でも、そのように理解していたのだが、これらの記事に関連する、当時の、環境省の資料を、改めてよく見ると、処分場の性格は、

       最終処分場

となっていて、自分で記事中に引用した図も、最終処分場となっている!

 福島以外は、最初から、最終処分場を作ることになっていたのではなく、途中で方針が変わったようだが、この辺りの事情は、よくは分らない。

  (汚染廃棄物 中間貯蔵施設 福島に14年度設置 政府が工程表 7都県は新設撤回 - 東京23区のごみ問題を考える

いずれにしても、候補地の選定から見直そうとしている最近のニュースでも、「最終処分場」の建設となっている。   

 

○放射性廃棄物の処分場に関しては、これまで、当ブログでも、一昨年は、

     300年も長い間?  (2011/10/4)

     人工バリア型処分場  (2011/10/10)

で、触れて来たが、これらは、冒頭のカテゴリーでは、Aに入るもので、事故に伴って排出され、除染等で回収された低レベル放射性廃棄物の保管法に関するものであり、施設の性格は、最終的な、永久的なものである。

今回の指定廃棄物に多く残存しているセシウム137などが、安全と言える迄には、300年位はかかる、ということになる。

 

○一方、フィンランドで建設が進んでいる、処分場については、下記ブログ記事

     オンカロ建設の驚き  (2012/7/15)

で触れたのだが、これは、冒頭のカテゴリーでは、Bに入るもので、原発の通常運転に伴って出て来る、高レベル放射性廃棄物の最終処分場なのである。こちらは、数万年オーダーの時間軸だ。

 日本でも、六ヶ所村での再処理の後に来る、この種の最終処分場の建設は、勿論、必須なのだが、何ら具体化していない。福島に建設する中間貯蔵施設の後に来る、最終的な処分施設も、ほぼ同様のものと言えるのであろうか。

 

○呼称によって、事の本質をぼかしたり、曖昧にすることも、時には有効だが、今般の問題では、事案に正面から向き合い、施設の性格や位置づけを明確にし、関係者の理解と協力を得る事が肝要であろう。

 放射性廃棄物と言う、未経験の、時間のかかる怖いゴミを処分する場合、廃棄物の、高レベル、低レベルに関わらず、「最終」という言い方には慎重でなければならないが、最終と言わずに、「中間」などの、曖昧な言い方をして、後になって地域や住民を欺くようなやり方は、厳禁である。 

最終なら最終と、明確に言い切った上で、コンセンサスを得ることが重要であろう。

 

 いずれにしても、当面は、A2のカテゴリーの放射性廃棄物を処分するため、福島と、福島以外に建設される処分場が、これからどのように進展していくのかを、注視していくこととなろう。

 やや大げさに言えば、原発事故の処理を通して、日本の民主主義や自治のあり方が試される、試金石になるように思える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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放射性廃棄物の処分を巡って  a

2013年03月02日 23時42分12秒 | 日記

2013年3月02日(土)  放射性廃棄物の処分を巡って a

 

 

 我が国は、長年に亘って原発を運転し、発電を行って来ている中で、一昨年、深刻な原発事故を経験し、現在は、放射性廃棄物の処分を巡って、大きく言って、以下の、2つの難題を抱えていると言える。  

     A 原発事故に関連する問題

     B 原発の通常運転に関連する問題

この中で、今回は、Aの原発事故に関連する問題、を取り上げることとしたい。

 Bの原発の通常運転に関連する問題については、大量の使用済み核燃料棒の扱い、核燃料サイクルの今後の方向づけ、など、原発事故以前からの難問が山積している。 これらについては、今後、整理できた段階で、稿を改めて、取り上げることとしたい。 

 

A 原発事故に関連する問題 

今回の原発事故によって、大量の放射性廃棄物が出た訳だが、この中には、大きく分けて、以下の、2種類の廃棄物があろう。

  A1 事故原発の廃炉処理に伴う廃棄物

  A2 除染等で回収された廃棄物

 

 

A1 事故原発の廃炉処理に伴う廃棄物

 

 最も厄介なのは、事故原発を廃炉にする処理に伴って出て来る、危険性が最高レベルに高い、大量の放射性廃棄物である。 廃炉処理や廃棄物の処理が完了するまでには、今後、約40年はかかると言われるが、これらの廃棄物や残骸等を、どう処理するかは、超重要課題だ。

 これについては、専門家や、東電関係者などが奮闘している訳だが、スリーマイル島や、チェルノブイリ原発事故の例から類推すると、放射能が減少し、落ち着くまでの長期間、敷地にある建物はそのまま残し、必要により、上に、防護用の被いを造る等をし、時間の経過を待つことになるのだろう。

 原発の敷地内は勿論だが、その地下や原発敷地の周辺などにも、廃棄物の保管施設等を作ることもあるのだろうか。 事故原発の至近の周辺は、人間が住まない/住めない地域にするしかない、かもしれない。

 

 重大事故を起こした福島第一原発だけでなく、今後は、

    ・老朽化して使えなくなった原子炉  

    ・活断層の危険があり再稼働が難しくなった原子炉

などでも、廃炉にする作業が必要となるが、これらの場合は、メルトダウンを起こした事故原発よりは、やや、危険性の少ない措置になるだろうが、やはり、時間をかけた、大変な作業工程となることが予想される。

 

 この、A1のカテゴリーに関連した問題は、素人が云々できるようなものではなく、専門家や当事者に任せるしかないのだが、今後の廃炉処理の進展に応じて、その時点、時点での進捗状況と、その後の方向についてのイメージ、周辺に対する安全性の確保等について、国民に情報発信していく必要があろう。 

 昨1日夜のTV朝日の番組ニュースステーションで、福島第一原発で、高濃度汚染水を保管する大量のタンク群が、広大な敷地内を占拠している映像を見て、大変なショックを受けた。これについては、一両日中に記事にする予定である。

 

 

A2 除染等で回収された廃棄物

 

 今回の原発事故で大気中に放出された大量の放射性物質は、東日本各地に飛散し、周囲環境に広がって、半減期が長く、未だ、毒性が殆ど下がっていないセシウム137などは、除染作業等によって回収されつつある。ゴミの焼却や汚泥から検出されるものも同様だ。

 8000ベクレル/kgを超える指定廃棄物として、現在保管されている量は、後述の通り、膨大なものだが、これらは、分類としては、低レベル放射性廃棄物となるだろう。これらを処理するための処分場の建設が、焦眉の急となっている訳だ。

 

 処分場建設の候補地として、昨年9月に、国から、栃木県矢板市と茨城県高萩市に、具体的に提案されたのだが、地元の猛烈な反対で宙に浮いたまま、年を越した。この辺については、以下のブログで触れている。

    指定廃棄物―負の遺産 (2012/10/7)

その後、処分場の建設については、これまで、殆ど進展していないと言えよう。でも、昨年暮れに政権が変わって、この所、漸く、変化が出てきたようだ。以下に、最近の動きについて触れることとしたい。 

 

① 処分場建設地の選定方法

 国の責任で建設することとなっている指定廃棄物の処分場だが、環境省は、昨年の処分場候補地の選定方法は望ましくなかったと反省し、今までのやり方を改め、建設候補地の選定をやり直す、こととしたようだ。つい先日の、2/25の記者会見で、環境省は、候補地の選定を、一旦、白紙に戻すことを、公式に表明した。

 従って、矢板市、高萩市は、一旦白紙に戻り、県内の他の市町村と同格となる訳だが、勿論、結果として、再度選ばれる可能性もある。

 

 何処を選ぶか、が最終的な目的だが、その前に、候地を挙げて絞り込み、建設地を選んでいく方法(手続き ルール)が問題で、まず、これを決めなければならないのだ。いっそのこと、籤引きで選ぶとすれば、何も決めなくていいのだがーーー。

 新たにどのような方法で選定するのか、は、まだ、公表されてはいない。施設の安全性等の技術的な事項については、これまでも、かなり詰められていると思われるが、選定手続きの中で、当事者の一人である、地域や地域住民の意見や意向が、十分には反映されていなかった、と言うことだろう。

 選定手続きをオープンでガラス張りのものにし、地域や地域住民が十分に参加し、そこで出される意見や要求を尊重した方法にすることは、民主主義の重要な要件だろう。そして、最後には、住民の意見の一致が見られない時は、住民の多数決で決めることとなり、それに従うこととなる。

 

 自分が無関係なら兎も角、かなり関係がある事柄なのに、予め相談が無く決まったことについては、人間誰しも、無視され、蚊帳の外だったことを不愉快に思い、内容の良し悪しとは無関係に、結果には、異議を唱えたくなるものだろう。

 昨年の選定時も、全く無視された訳ではなく、公表前に、事前の打診や説明はあったようだが、地元としては、内容に反対だったのだが、手続きが悪いとして、寝耳に水だ、と反発したのだろう。

 

○環境省の副大臣が、処分場建設の対象となる県を訪問し、選定をやり直すという旨を伝えて廻るようで、既に2月25日に栃木県、26日に宮城県を訪問済のようで、茨城県も28日にも実現すると言われている。残る、千葉県、群馬県についても、近いうちに訪問することとなるのだろう。

 何度でも足を運ぶなど、丁寧に進めることで事が進むなら良いことで、さらに、実務者だけでなく、環境大臣自身など、トップが訪問することは、我が国の場合は、特に有効だろう。

 副大臣の訪問では、白紙撤回を伝えるだけではなく、選定のやり方についても、自治体や住民などの、当事者の意見を聴取するとともに、環境省としての手続きの改善案も打診して廻るのだろう。

 

 然らば、地元としては、白紙撤回後、どのような手順や方法で候補地を挙げ、絞って行けばいいのだろうか。 自分達も選ばれる可能性があると言う、逃げられない状況下の中で、自分達から見て望ましい選定法の具体案を示さなければならない、と考える。

 地元にして見れば、原発事故は降って湧いた災難で、放射性廃棄物というゴミは自分たちが出したものではなく、自分達にはいい迷惑だ。処分場は、他所に作るべきで、何処にするかは、事故を起こした責任をとって、東電や国が考えろ、と言うことなのだろうか。

 

 確かに、原発事故は、各種調査報告書にあるように、国や東電等の、人災的な要因も否定はできないが、言うまでもなく、基本的には、巨大地震と大津波による天災なのである。それに伴う事故の負担は、電力を利用している受益者である国民皆で、分担すべき性格のものであろう。

 自分達には何の提案も無く、役所の持ってきた案に注文を付けているだけでは、敢えて言えば、「自治」の入り口にも立てないお粗末さ、要求一遍倒の、子供の感覚と言うべきだろうか。

 

 企業や、大学など、地元に来て欲しい施設については、積極的な誘致活動等が行われるのが通例だが、ゴミや廃棄物の処分などの、できれば来て欲しくない施設もあるのだ。(この種施設を、積極的に誘致したいという自治体があれば、しめたものだがーー。)

 このような、ネガティブな課題に、どのように向き合い、解決していくか、によってこそ、自治や民主主義の精神が試されるのだろう。

 

 どうしても必要となる、この放射性廃棄物の処分場は、結局、自己完結型で整備することとし、目の前にあるゴミは、兎も角、自分で処分することから始めるしかないのだ。

廃棄物の集積状況や、施設建設の技術的な可能性を考えれば、現状では、「県ごとに建設する」という基本原則しかない、と思う。

 

 

② 指定廃棄物の量

 ここで、対象となる廃棄物の量だが、前記のブログでは、2012/8/3現在のデータであったが、今回は、NHK報道では、2012/12/28 現在の数量が示されている。これら、2時点での量は、以下の様である(上段前回 下段今回 単位万トン)

 

     福島     栃木     茨城    宮城    千葉

前回 31993   4445   1709    591  1018

今回 78113   9291   3024   3250  1999

 

    東京     新潟     群馬      岩手    静岡   山形

前回 982     798    724     315

今回 982    1018    749     358      9    3 

 

 原発事故の現地である福島では、除染が進んだことで、他とはケタ違いに多く、大幅に増えている。

その他の都県では、栃木、茨城、千葉では、廃棄物が、かなり増えているが、中でも、宮城が大幅に増えたのが目立つが、特に理由があるのだろうか。

 また、新潟では、やや増えているが、東京、群馬、岩手では、殆ど変化はないようだ。群馬が、比較的少なく又殆ど変化していないのは、なぜだろうか。榛名湖周辺など、山地に集積した放射性物質が、まだかなり残っているようにも考えられるのだがーー。

 

 

③ 処分場の具体的な建設

 処分場の実際の建設に当たっては、以下の様な事項について、これまで公表されている情報や、今後示される情報に従って作業が進められることとなろう。(以下 項目のみ)

・建設単位

 県ごとに整備するのが基本

・処分場のイメージーこれまでに公表されている

 集中型/分散型

   集中型

   一般ごみの様に、県内の自治体ごとの分散型は出来ないのか

 安全性の技術的な根拠

   建設時の安全性

    建設後の安全性(地震 劣化 火災等)

 ・具体的な選定方法―選定方法案は未公表  

   住民参加 

   意見のヒアリングや集約方法

   住民投票

・受け入れの条件

   健康管理

   事故時の対応(漏えい 崩壊)

   リスクに対する慰労・補償 

・候補地の絞り込み

   最後は籤引きも

・スケジュール

  当初の計画/今回の計画

    選定まで

    建設と稼働まで    

    運用管理・定期メンテ(監視期間)

 

 今後、建設地が絞り込まれた後、処分場の詳細が、より具体的に取り上げられると思われるので、今回は扱わないこととする。

 

 

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