2012年1月1日(日)日本語での数表現―助数詞 その2c
Ⅱ 簡単な考察
①最近の傾向として、以下の様な事が言えるようだ。
・最近は、大きく捉えると、助数詞は、単純化の方向にあると言えるようだ。
その代表的な例が、以下の様なものを、従来の単位を使わずに、○○個と数えるものだ。
物の名 従来の単位
斧 挺ちょう
鏡 面めん
銃 挺ちょう
寿司 貫かん
机 卓たく
椅子 脚きゃく
豆腐 丁ちょう
兜 刎はね
三味線 棹さお
・また、動物については、幾つかに分れて居た助数詞ではなく、○匹と言われることが多い。
獣 アリ 蚕 頭 →匹
魚 尾 →匹
イカ タコ 杯 →匹
鳥 兎 羽 →匹
蛇 虫 匹
・更に、共通性が高い単位で数える例として、前出の様に
細長いもの 本 煙突など多数
平たいもの 枚 布団など多数
などがある。
・また、以前の量り売り、バラ売りが少なくなり、袋に小分けした包装や、束にしたものが多く、スーパーでレジがしやすいようになっていることから、纏めた数え方が多い、なども特徴であろう。
・今後は、幾つかの、大きな計数単位に集約されて行く可能性もあろうか。
② 物の名の単数形と複数形
英語では、物を数える時、大抵は
基数詞+物の名の複数形
となり、物の名とは別の単位は不要である。 しかも、複数形は
物の名+s
の形が殆どで、例外的なものとして、
wolfウルフ→wolvesウルブズ
などと、語尾が変わる場合を、覚えたものだ
一方、日本語には複数形が無い代わりに、助数詞が発達した、と言えるのだろうか。
③ 教養の深さか、好事趣味か
普段余り使われない助数詞を知っていることは、或る意味、教養の高さや知識の広さを意味すると言える。特に、歴史的な事物に関しては、そう言うことができよう。でも、殆ど興味が湧かなくなっていることへの、言い訳ではないが、今や、好事趣味(ディレッタンティスム)と言えなくもない。
以前に良く使われた、漢字による植物名(蒲公英 タンポポ)や都市名(聖林 ハリウッド)等の表示に関する知識ついても、同様で、下記のブログでも触れたことがある。
漢字の世界 その2 国名など (2010/11/19)
Ⅲ 結びにかえて
今回、数の数え方に関する一連の記事を、書く切っ掛けとなった孫の事だが、昨年の暮れからこの正月にかけて、里帰りで、子供夫婦ともども上京して来ている。
正月になって、孫に、月日を言わせてみたら
1がつついたち、1がつふつか、1がつみっか、1がつよっか、1がついつか
1がつむいか、1がつなのか、1がつようか、1がつここのか、1がつとおか
と、ちゃんと言えたではないか!
そして、件の、じいじの似顔絵で、誕生日を
3がつ9にち
と、書いてあるのを、改めて聞いて見たところ、
3がつここのか
とちゃんと答えられたのである。
孫が、似顔絵を描いてから2年程経過し、昨春に小1となったのだが、この間に、基数詞と、月日の数え方をちゃんとマスターしていた、ということだ。
数の数え方については、大人になってから覚えるのでは、あれこれ理屈をこねるようになるので、難解に感じるのかも知れないが、子供は、生活の中で、体で覚えて行くものだ、と痛感した次第である。