2011年4月5日(火)原発事故 海の汚染
◎原発事故の現況
今回の原発事故では、確かなことは不明だが、状況証拠からすると、少なくとも2号機では、地震直後、冷却水が無くなり、暫く、空炊き状態になったと想定される。このことにより、温度が上がり、原子炉や燃料棒保管プールの燃料棒が溶融し、本体容器の一部が破損して、高濃度の放射性物質を含んだ汚染水が流出している、と言うのが、ほぼ確実なようで、極めて危険な状態にある。
炉本体や保管プールを継続的に冷やす冷却系を回復して、何としても、事故を安定させる、と言うのが、当面の目標だが、具体的な見通しが立たない。理由は、建屋内に溜っている、危険な高濃度の汚染水を、除去・保管するためのタンク容量等が足りないことだ。
さらに、まずいことに、ピットという、ケーブル用竪穴に汚染水が溜り、ひび割れた壁から、大量の高濃度の汚染水が、海中に流出していることが判明した。ともかく、これを止めないことには、海中への汚染が拡大するばかりである。高濃度の汚染水が、ピットに集まる経路や、出ていく経路を調べたり、ひび割れた出口を、化学剤で固める等、あれこれ、試みられているが、有効な手だてが、未だに見つかっていない。
原子炉等に外部から注入している水が、何らかの経路で、海に漏れ出している、と推定されることから、原子炉等に注入する水の量を、温度上昇が無い程度に、ぎりぎりまで抑えて、少なくしているようだ。
この1週間程は、
・タービン建屋の地下で高濃度の汚染水が見つかり
・外の、トレンチでも、同様の汚染水が見つかり
・そして、ピットの割れ目から、その汚染水が海中に流出していることが判る
と言うことで、敵の本丸に近づこうとしているのに、その手前で、次々と厳しい抵抗に遭い、前に進めず、中々、作戦が立てられない状況だ。
タービン建屋の地下や、トレンチやピットに溜っている汚染水の、表面での線量は、1000mSv/時以上と言われ、作業員の、1回の緊急作業での被曝上限250mSvを、遥かに越えているので、作業を強行するにしても、15分づつ交代で4回に分けなければならず、極めて危険である。
更に、人命救助を例外とする、500mSv/時という上限もあるようだが、30分づつで交代しても、危険度は最大で、正に、文字通り、命がけの作業となる。
ましてや、現時点で、原子炉のある建屋の中に入るなど、危険極まりない気違い沙汰だ。
ここに至って、大量の汚染水を溜められる、集中廃棄物処理施設を使う案が出て来て、このため、現在、その施設に溜めてある、低レベルの汚染水1万トンを、海に捨てるという、緊急事態の措置を、関係機関で決めたようだ。空になれば、3万トン程度の水が保管できるようだ。ここに、あちこちに溜っている高濃度汚染水(6万トンもあるという!)を移動することで、タービン建屋周辺での修復作業の安全を確保し、何とか、冷却系を回復して、早急に、汚染水の流出を抑え、本丸の原子炉の修復に進んで欲しいものである。
今回の緊急措置とても、時間との勝負で、いずれ満杯になる訳で、事故の処理が長引く場合を想定して、放射能汚染水の本格的な保管設備として、メガフロートや大型船舶などの準備も検討されているのは、当然であろう。
◎原発事故に伴う、放射線被曝の危険性には、幾つかある。
○何といっても、事故の終息のため、事故現場で作業する人たちが
①直接的に放射線を浴びる外部被曝
がある。これは、当事者にとっては、極めて重要な安全事項である。この作業を何とか出来るようにするために、現場では、先述のように、高濃度の汚染水を処理する、様々な試みがなされている訳だ。
○事故原発から、直接的にでてくる放射線の強さは、距離が少し離れれば、急激に少なくなるので、その危険性は低くなる。 でも、事故原発から出てくる細かな粒子状の放射性物質が、空気中に舞い上がり、風や雨と共に、広範囲に飛散することが、問題となる。川等を経由し、この微粒子が水道水に入ったり、降下して微粒子が野菜に被着する。このように
②汚染された水を飲んだり、野菜を食べる事による内部被曝
を引き起こす。これを、仮に1次内部被曝と呼ぼう。
このことから、先だっては、水道水の飲用制限・解除が行われ、現在は、農産物の摂食制限、出荷制限が行われている所だ。これらについては、先日、下記のブログで触れたところである。
原発事故―風評被害 (2011/4/2)
○更に、
③―1 汚染された海水で育った魚を、食べることによる内部被曝
③―2 汚染された土壌で育った野菜等を、食べることによる内部被曝
(仮に2次内部被曝)
がある。今回は、この中の、③-1の、海の汚染について、触れてみたい。
◎昨4日から、原発事故に伴う緊急措置として、低レベルの汚染水を、海に捨てると言う事態になり、海の汚染に対する関心が高まっている。
最近の、原発周辺区域での、海水汚染の報道は、以下のようになっている。
○ピットから流出している高濃度汚染水(東電 取水口付近 4/2、4採取 5日公表)
高濃度汚染水の濃度 測定値Bq/cc 倍率 濃度限度Bq/l
4/2 放射性ヨウ素131 30万 750万倍 40
4/4 放射性ヨウ素131 20万 500万倍 40
4/4 放射性セシウム137 110万倍 90
○放水口南の海水(東電 4/4 採取 4/5公表)
測定値Bq/cc 倍率 濃度限度Bq/l
放射性ヨウ素131 1000倍 40
○原発沖合15km海面付近(東電 4/4採取 4/5公表)
測定値Bq/cc 倍率 濃度限度Bq/l
放射性ヨウ素131 4.8倍 40
○集中廃棄物処理施設内の水を海に放出4/4~(東電 4/4公表)
放出する水の汚染度
測定値Bq/cc 倍率 濃度限度Bq/l
放射性ヨウ素 6.3 157 40
○原発30km沖合い5地点サンプル採取3/1 (文部科学省 4/3公表)
測定値Bq/l 濃度限度Bq/l
海水表層 放射性ヨウ素131 12max 40
放射性セシウム137 15.7 90
水深113ー160m 放射性ヨウ素131 4.8max 40
放射性セシウム137 11.4 90
○原発南50km3/30採取(=いわき市沖合10km)(文部科学省 4/2公表)
測定値Bq/l 濃度限度Bq/l
海面付近 放射性ヨウ素131 79.4 40
放射性セシウム137 15.7 90
○放水口南100m(東電 3/21午後500ml採取 3/22未明公表)
測定値Bq/cc 倍率 濃度限度Bq/l
放射性ヨウ素131 5.066 126.7倍 40
放射性セシウム134 24.8倍 60
放射性セシウム137 16.5倍 90
原発南50km(沿岸沖合10km)3/30採取(文科省 4/1公表)
測定値Bq/l 濃度限度Bq/l
放射性ヨウ素 9.4 40
報道では、よく、「原子炉等規制法が定める濃度限度」と言われて、以下の数値
Bq/cc
放射性ヨウ素I 131 40
放射性ヨウ素Cs137 90
が示されている。この数値が、何処で、どのように規定されているのか、あれこれ調べてもよく分からなかったのだが、今日5日になって、以下が、根拠である事が判明した。
平成12年科学技術庁告示第5号 「放射線を放出する同位元素の数量等」
この中で、大気中や水中に放出してよい、放射性物質の濃度限度が示されている。膨大な量に亘る表の中に、ヨウ素131とセシウム137について、海水濃度限度は、上記の数値(Bq/lで表示)であることを確認出来、セシウム134についても、以下であることがわかった。
Bq/l Bq/cc
放射性ヨウ素Cs134 6×10**(-2) 60
これらの数値は、下記のように、食品安全基準で示されている数値と、いささか異なってる。
原子炉周辺の海水濃度限度 食品安全基準の飲料水指標
(科技庁告示) ( 厚労省通達)
Bq/cc Bq/kg 倍率 Bq/kg
放射性ヨウ素131 40 40000 133 300
放射性セシウム134 60 60000 300 200
放射性セシウム137 90 90000 450 200
単位が異なるので、単純化のため、
飲料水1kg≒海水1kg≒1リットル=1000cc
とすると、科技庁告示を1000倍すれば、厚労省通達と、Bq/kgで単位は揃うこととなり、参考のため、表示してある。
これをみると、海水の基準が、飲料水の基準の、133倍から、300倍、450倍も、緩くなっている。この理由は、未調査だが、海水で育った魚が、人間に摂取されるまでの過程で、放射能の濃度が、かなり薄められることを、考慮しているためと思われる。
ここで、理解に苦しむのだが、半減期の長さ等から、食品安全基準では、セシウムの方が厳しく設定されているのに、規制法の濃度限度では、逆に、ヨウ素の方が厳しくなっているのは、なぜであろうか?
餌や、海水のプランクトン等を通して、牛や鶏や魚に、放射性物質が摂取され、これらが流通して、食べられるまでの期間は長い。半減期が8日と短い放射性ヨウ素については、この期間に毒性がかなり薄まる、と言うことから、食品安全基準では、指標値が示されていない。 一方、半減期が30年と長い放射性セシウムや、毒性の強いその他の核種について、肉、卵、魚等の数値が規定されている。
ところが、北茨城市の平潟漁協は、4/1までに、沖合で試験的に採った5種類の魚について、放射能汚染状況の調査を行った。その中で、イカナゴ(コウナゴ)について、昨4日、測定結果を発表した。
Bq/kg 食品安全基準 Bq/kg
放射性ヨウ素 4080 規定なし
放射性セシウム 447 500
食品安全基準では、放射性セシウムについては、魚介類の規定はないので、根菜類を除く野菜類は、2000 Bq/kg としているので、これと比べると、かなり、高濃度である。 半減期が短い放射性ヨウ素については、魚の流通期間を考えると、2次体内被曝は無く安全だ、という、上述の想定は甘いのでは、という、現実を突きつけられた格好だ。 ただ、コウナゴについては、生で食べるよりも、干物が多いことをから、そう神経質になる必要はないが、魚の好きな日本人には、要注意と言うことである。
こんなことから、昨日の情報では、魚の安全性に関し、放射性ヨウ素についても、基準の見直しを行う、ということであった。また、セシウムについては、基準ぎりぎりである。
所が、今日、同市の大津漁協は、イカナゴから、新たに、基準値を越えるセシウムが、検出されたと発表した。
測定値 Bq/kg 食品安全基準 Bq/kg
放射性セシウム 526 500
このことから、今が旬の、コウナゴ漁の、全面禁漁を決めている。
食物連鎖の中では、コウナゴは、プランクトンの次の位置にあり、今後は、マグロ等の大きな魚類に、時間を掛けて、毒物が蓄積されて行く、前触れのように感じられる。
国の方でも、魚の安全性に関し、放射性ヨウ素について、急遽検討を行い、新たに基準値を設けることとし、野菜類と同じ、2000Bq/kgを、暫定的な指標値とする、と発表された。
先が見えない中で、事態は、海の汚染へと、矢継ぎ早に悪い方へと進んでいくようである。 いよいよ、魚介類についても、野菜と同様、風評被害が、本格化しそうな雲行きが懸念される。
◎原発事故の現況
今回の原発事故では、確かなことは不明だが、状況証拠からすると、少なくとも2号機では、地震直後、冷却水が無くなり、暫く、空炊き状態になったと想定される。このことにより、温度が上がり、原子炉や燃料棒保管プールの燃料棒が溶融し、本体容器の一部が破損して、高濃度の放射性物質を含んだ汚染水が流出している、と言うのが、ほぼ確実なようで、極めて危険な状態にある。
炉本体や保管プールを継続的に冷やす冷却系を回復して、何としても、事故を安定させる、と言うのが、当面の目標だが、具体的な見通しが立たない。理由は、建屋内に溜っている、危険な高濃度の汚染水を、除去・保管するためのタンク容量等が足りないことだ。
さらに、まずいことに、ピットという、ケーブル用竪穴に汚染水が溜り、ひび割れた壁から、大量の高濃度の汚染水が、海中に流出していることが判明した。ともかく、これを止めないことには、海中への汚染が拡大するばかりである。高濃度の汚染水が、ピットに集まる経路や、出ていく経路を調べたり、ひび割れた出口を、化学剤で固める等、あれこれ、試みられているが、有効な手だてが、未だに見つかっていない。
原子炉等に外部から注入している水が、何らかの経路で、海に漏れ出している、と推定されることから、原子炉等に注入する水の量を、温度上昇が無い程度に、ぎりぎりまで抑えて、少なくしているようだ。
この1週間程は、
・タービン建屋の地下で高濃度の汚染水が見つかり
・外の、トレンチでも、同様の汚染水が見つかり
・そして、ピットの割れ目から、その汚染水が海中に流出していることが判る
と言うことで、敵の本丸に近づこうとしているのに、その手前で、次々と厳しい抵抗に遭い、前に進めず、中々、作戦が立てられない状況だ。
タービン建屋の地下や、トレンチやピットに溜っている汚染水の、表面での線量は、1000mSv/時以上と言われ、作業員の、1回の緊急作業での被曝上限250mSvを、遥かに越えているので、作業を強行するにしても、15分づつ交代で4回に分けなければならず、極めて危険である。
更に、人命救助を例外とする、500mSv/時という上限もあるようだが、30分づつで交代しても、危険度は最大で、正に、文字通り、命がけの作業となる。
ましてや、現時点で、原子炉のある建屋の中に入るなど、危険極まりない気違い沙汰だ。
ここに至って、大量の汚染水を溜められる、集中廃棄物処理施設を使う案が出て来て、このため、現在、その施設に溜めてある、低レベルの汚染水1万トンを、海に捨てるという、緊急事態の措置を、関係機関で決めたようだ。空になれば、3万トン程度の水が保管できるようだ。ここに、あちこちに溜っている高濃度汚染水(6万トンもあるという!)を移動することで、タービン建屋周辺での修復作業の安全を確保し、何とか、冷却系を回復して、早急に、汚染水の流出を抑え、本丸の原子炉の修復に進んで欲しいものである。
今回の緊急措置とても、時間との勝負で、いずれ満杯になる訳で、事故の処理が長引く場合を想定して、放射能汚染水の本格的な保管設備として、メガフロートや大型船舶などの準備も検討されているのは、当然であろう。
◎原発事故に伴う、放射線被曝の危険性には、幾つかある。
○何といっても、事故の終息のため、事故現場で作業する人たちが
①直接的に放射線を浴びる外部被曝
がある。これは、当事者にとっては、極めて重要な安全事項である。この作業を何とか出来るようにするために、現場では、先述のように、高濃度の汚染水を処理する、様々な試みがなされている訳だ。
○事故原発から、直接的にでてくる放射線の強さは、距離が少し離れれば、急激に少なくなるので、その危険性は低くなる。 でも、事故原発から出てくる細かな粒子状の放射性物質が、空気中に舞い上がり、風や雨と共に、広範囲に飛散することが、問題となる。川等を経由し、この微粒子が水道水に入ったり、降下して微粒子が野菜に被着する。このように
②汚染された水を飲んだり、野菜を食べる事による内部被曝
を引き起こす。これを、仮に1次内部被曝と呼ぼう。
このことから、先だっては、水道水の飲用制限・解除が行われ、現在は、農産物の摂食制限、出荷制限が行われている所だ。これらについては、先日、下記のブログで触れたところである。
原発事故―風評被害 (2011/4/2)
○更に、
③―1 汚染された海水で育った魚を、食べることによる内部被曝
③―2 汚染された土壌で育った野菜等を、食べることによる内部被曝
(仮に2次内部被曝)
がある。今回は、この中の、③-1の、海の汚染について、触れてみたい。
◎昨4日から、原発事故に伴う緊急措置として、低レベルの汚染水を、海に捨てると言う事態になり、海の汚染に対する関心が高まっている。
最近の、原発周辺区域での、海水汚染の報道は、以下のようになっている。
○ピットから流出している高濃度汚染水(東電 取水口付近 4/2、4採取 5日公表)
高濃度汚染水の濃度 測定値Bq/cc 倍率 濃度限度Bq/l
4/2 放射性ヨウ素131 30万 750万倍 40
4/4 放射性ヨウ素131 20万 500万倍 40
4/4 放射性セシウム137 110万倍 90
○放水口南の海水(東電 4/4 採取 4/5公表)
測定値Bq/cc 倍率 濃度限度Bq/l
放射性ヨウ素131 1000倍 40
○原発沖合15km海面付近(東電 4/4採取 4/5公表)
測定値Bq/cc 倍率 濃度限度Bq/l
放射性ヨウ素131 4.8倍 40
○集中廃棄物処理施設内の水を海に放出4/4~(東電 4/4公表)
放出する水の汚染度
測定値Bq/cc 倍率 濃度限度Bq/l
放射性ヨウ素 6.3 157 40
○原発30km沖合い5地点サンプル採取3/1 (文部科学省 4/3公表)
測定値Bq/l 濃度限度Bq/l
海水表層 放射性ヨウ素131 12max 40
放射性セシウム137 15.7 90
水深113ー160m 放射性ヨウ素131 4.8max 40
放射性セシウム137 11.4 90
○原発南50km3/30採取(=いわき市沖合10km)(文部科学省 4/2公表)
測定値Bq/l 濃度限度Bq/l
海面付近 放射性ヨウ素131 79.4 40
放射性セシウム137 15.7 90
○放水口南100m(東電 3/21午後500ml採取 3/22未明公表)
測定値Bq/cc 倍率 濃度限度Bq/l
放射性ヨウ素131 5.066 126.7倍 40
放射性セシウム134 24.8倍 60
放射性セシウム137 16.5倍 90
原発南50km(沿岸沖合10km)3/30採取(文科省 4/1公表)
測定値Bq/l 濃度限度Bq/l
放射性ヨウ素 9.4 40
報道では、よく、「原子炉等規制法が定める濃度限度」と言われて、以下の数値
Bq/cc
放射性ヨウ素I 131 40
放射性ヨウ素Cs137 90
が示されている。この数値が、何処で、どのように規定されているのか、あれこれ調べてもよく分からなかったのだが、今日5日になって、以下が、根拠である事が判明した。
平成12年科学技術庁告示第5号 「放射線を放出する同位元素の数量等」
この中で、大気中や水中に放出してよい、放射性物質の濃度限度が示されている。膨大な量に亘る表の中に、ヨウ素131とセシウム137について、海水濃度限度は、上記の数値(Bq/lで表示)であることを確認出来、セシウム134についても、以下であることがわかった。
Bq/l Bq/cc
放射性ヨウ素Cs134 6×10**(-2) 60
これらの数値は、下記のように、食品安全基準で示されている数値と、いささか異なってる。
原子炉周辺の海水濃度限度 食品安全基準の飲料水指標
(科技庁告示) ( 厚労省通達)
Bq/cc Bq/kg 倍率 Bq/kg
放射性ヨウ素131 40 40000 133 300
放射性セシウム134 60 60000 300 200
放射性セシウム137 90 90000 450 200
単位が異なるので、単純化のため、
飲料水1kg≒海水1kg≒1リットル=1000cc
とすると、科技庁告示を1000倍すれば、厚労省通達と、Bq/kgで単位は揃うこととなり、参考のため、表示してある。
これをみると、海水の基準が、飲料水の基準の、133倍から、300倍、450倍も、緩くなっている。この理由は、未調査だが、海水で育った魚が、人間に摂取されるまでの過程で、放射能の濃度が、かなり薄められることを、考慮しているためと思われる。
ここで、理解に苦しむのだが、半減期の長さ等から、食品安全基準では、セシウムの方が厳しく設定されているのに、規制法の濃度限度では、逆に、ヨウ素の方が厳しくなっているのは、なぜであろうか?
餌や、海水のプランクトン等を通して、牛や鶏や魚に、放射性物質が摂取され、これらが流通して、食べられるまでの期間は長い。半減期が8日と短い放射性ヨウ素については、この期間に毒性がかなり薄まる、と言うことから、食品安全基準では、指標値が示されていない。 一方、半減期が30年と長い放射性セシウムや、毒性の強いその他の核種について、肉、卵、魚等の数値が規定されている。
ところが、北茨城市の平潟漁協は、4/1までに、沖合で試験的に採った5種類の魚について、放射能汚染状況の調査を行った。その中で、イカナゴ(コウナゴ)について、昨4日、測定結果を発表した。
Bq/kg 食品安全基準 Bq/kg
放射性ヨウ素 4080 規定なし
放射性セシウム 447 500
食品安全基準では、放射性セシウムについては、魚介類の規定はないので、根菜類を除く野菜類は、2000 Bq/kg としているので、これと比べると、かなり、高濃度である。 半減期が短い放射性ヨウ素については、魚の流通期間を考えると、2次体内被曝は無く安全だ、という、上述の想定は甘いのでは、という、現実を突きつけられた格好だ。 ただ、コウナゴについては、生で食べるよりも、干物が多いことをから、そう神経質になる必要はないが、魚の好きな日本人には、要注意と言うことである。
こんなことから、昨日の情報では、魚の安全性に関し、放射性ヨウ素についても、基準の見直しを行う、ということであった。また、セシウムについては、基準ぎりぎりである。
所が、今日、同市の大津漁協は、イカナゴから、新たに、基準値を越えるセシウムが、検出されたと発表した。
測定値 Bq/kg 食品安全基準 Bq/kg
放射性セシウム 526 500
このことから、今が旬の、コウナゴ漁の、全面禁漁を決めている。
食物連鎖の中では、コウナゴは、プランクトンの次の位置にあり、今後は、マグロ等の大きな魚類に、時間を掛けて、毒物が蓄積されて行く、前触れのように感じられる。
国の方でも、魚の安全性に関し、放射性ヨウ素について、急遽検討を行い、新たに基準値を設けることとし、野菜類と同じ、2000Bq/kgを、暫定的な指標値とする、と発表された。
先が見えない中で、事態は、海の汚染へと、矢継ぎ早に悪い方へと進んでいくようである。 いよいよ、魚介類についても、野菜と同様、風評被害が、本格化しそうな雲行きが懸念される。