2017年2月3日(金) アメリカの自然 3 湖と水系
アメリカトランプ大統領の言動のニュースが世界を駆け巡っており、日本国内では、今日は、マティス新防衛長官が来日している。
政治の話題は、この10日と決まった、安部総理の訪米・首脳会談の時に、取り上げることとし、それまでは、しばらく様子見としたい。
当ブログではこれまで、アメリカに関して、シリーズもので、いくつかの記事を投稿してきた。
アメリカ合衆国 1~5 (2016/11/29~2017/1/6)
では、建国から独立戦争までを扱い、一区切りとしている。
続いて、州を覚えるチャレンジとして、
州を覚える 1~3 (2017/1/13~1/21)
で、MLBと4大プロスポーツを話題とし、その延長で
アメリカの自然 1~2 (2017/1/26~1/31)
で、山脈と河川を取り上げている。
引き続いて、今回は、湖と水系をとりあげる。
○ 五大湖
アメリカの湖と言えば、5大湖(Great Lakes)で、どの教科書にも出てくる、基本事項だ。
5大湖は、世界最大の淡水水系で、氷河湖が起源と言われ、相互が水系として繋がっている。下図は、五大湖に関するあるサイトから引用した観光用の図だが、五大湖水系内での船舶の航行から、各々の繋がりがよく分かる。 ヒューロン湖とエリー湖の中間にあるセントクレア湖が水系の繋がりでは重要だ(アメリカ・五大湖クルーズ | ワールド航空サービス)
各湖の前後関係と水位を示したのが下図である。(五大湖 - Wikipedia より)
↑ ↑
スペリオル湖 ↑ セントクレア湖 ↑
ヒューロン湖 ↑ ナイアガラの滝
ミシガン湖 エリー湖 ↑
オンタリオ湖
水の流れは、スペリオル湖が最上流にあり、ヒューロン湖を経て、エリー湖につながっている。途中に、セントクレア湖という小さな湖があり、こことヒューロン湖、エリー湖との間は、運河(上図の、セントクレア川、デトロイト川)が出来ている。
上図では分かりにくいが、ミシガン湖は、ヒューロン湖と水位は同じになっているようで、五大湖の水系としては、盲腸のようになっている。
エリー湖とオンタリオ湖の水位差は80mと大きく、著名なナイアガラの滝がある。
この滝を避けて通行する船舶のために、ウエラント運河(ナイアガラ川)が作られている。
オンタリオ湖から先は、セントローレンス川を使った、セントローレンス海路(いくつかの閘門あり)が、大西洋まで通じており、五大湖周辺と大西洋を結ぶ、太い輸送水路となっている。
一方、ミシガン湖から、ミシシッピ川水系に通じる水路(イリノイ・ミシガン運河とイリノイ川)もできているようで、こちらは、往時に活躍したようだ。
各湖の大きさを下記に示すが、右欄の日本列島と比べると、その巨大さがわかる。
湖名 面積 日本との比較
スペリオル湖 8.2万km2 北海道よりやや大
ヒューロン湖 5.9 九州の約1.6倍
ミシガン湖 5.8 九州の約1.5倍
セントクレア湖 0.1 琵琶湖の約1.6倍
エリー湖 2.5 四国の約1.4倍
オンタリオ湖 1.9 四国よりやや大
琵琶湖 0.067
○ アメリカ・カナダ国境線
北米大陸のアメリカとカナダの国境線は、アラスカを除いても、極めて長いもので、2国間の国境線としては、世界最長という。
国境の西半分は、陸続きで、1846年のオレゴン条約の成立以降、現在まで、北緯49度線が国境線(アメリカとイギリス領カナダ→アメリカとカナダ)で、国境に接している双方の現在の州は、以下である。
(アメリカ側) (カナダ側)
ワシントン州 ブリティッシュコロンビア州
アイダホ州 〃
モンタナ州 〃
アルバータ州
サスカチュワン州
ノースダコタ州 〃
マニトバ州
ミシガン州 〃
オンタリオ州
国境線は、途中から、陸上の湖沼地帯となり、更に、以下の図のように、五大湖が国境線になっている。(五大湖の地図 — ストックベクター )
図では、残念ながら、国境線の赤色が薄い。又、州名の、MICHIGANが抜けていたので、筆者が記入し、主要都市には、筆者が、赤枠を付してある。
五大湖を国境線とした、両国の州の対応は以下で、カナダ側は、オンタリオ州が一元的に管理しているようだ。
アメリカ側 五大湖 カナダ側
ミネソタ州 -スペリオル湖 - オンタリオ州
ウイスコンシン州 -〃 - 〃
ミシガン州 -ヒューロン湖 - 〃
ミシガン州 -セントクレア湖 - 〃
オハイオ州 -エリー湖 - 〃
ペンシルバニア州 -〃 - 〃
ニューヨク州 -〃 -〃
-オンタリオ湖 -〃
ミシガン湖は、国境線が無く、アメリカ国内湖となっている。
オンタリオ湖からセントローレンス川が流れ出るが、しばらく、この川が国境線となり、最後は、陸続きの国境線となっている。
(アメリカ側) (カナダ側)
ニューヨーク州 ケベック州
ヴァーモント州 〃
ニューハンプシャー州 〃
メイン州 〃
○五大湖周辺の都市と産業
五大湖周辺は、北米の経済・産業の一大中心地として繁栄し、多くの都市が形成されていて、先の図にも示されているが、湖によって、大きな差があるようだ。
・最北に位置するスペリオル湖周辺は、西端のダルース周辺(ミネソタ州)以外は、余り発展せず、自然が多いようだ。
・ミシガン湖周辺では、西湖岸の南部には、全米第3位で、五大湖周辺では最大のシカゴ(イリノイ州)があり、人口250万を超える都市圏となっている。特に食品産業の中心のようだ。
ミシガン湖の西岸添いに都市が並び、醸造業の中心地、ミルウォーキー(ウイスコンシン州)がある。一頃、TVコマーシャルで、北緯43度線の近くにある、世界的にビールが美味い地域として、下記のように
“ミュンヘン---サッポロ---ミルウォーキー”
とPRされたものだ。
・ヒューロン湖周辺は、めぼしい都市がなく、レクリエーション地域が多いようだ。
・そして、エリー湖周辺には、自動車産業のデトロイト(ミシガン州)、鉄鋼業のクリ―ブランド(ペンシルバニア州)、ナイヤガラ観光のバッファロー(ニューヨーク州)などが集積している。
・さらに、オンタリオ湖周辺では、南のアメリカ側は、ロチェスター(ニューヨーク州)程度だが、北のガナダ側には、カナダ最大都市のトロントやハミルトン、オシャワ、キングストン(以上 オンタリオ州)などがある。
・オンタリオ湖から流れ出るセントローレンス川の、河口までの流域のカナダ側には、首都オタワ(オンタリオ州)、モントリオール、ケベック(以上 ケベック州)などがある。五大湖周辺とセトローレンス川流域には、なんと、カナダ全人口(約3400万)の半分以上が集中しているという、信じられないような数字である。
・エリー湖、オンタリオ湖岸の100万都市圏である、デトロイト、トロントを中心として、アメリカ、カナダ両国にまたがる地域全体を包括して、五大湖メガロポリスというようだ。
○ グレートソルト湖
ユタ州北部に、グレートソルト湖(Great Salt Lake)がある。
大きさは、琵琶湖の約7倍もあり、呼称の通り、塩湖である(五大湖は淡水湖)。
海水の何倍もある塩分濃度のため、人間も浮くようで、生物は棲めないようだ。
下図に示すように、大古には、コロンビア川支流のスネーク川 につながる広大な淡水湖(ボンネビル湖)があったようだ。 地殻変動で川が堰き止められ、一部残ったのが、現在のグレートソルト湖という。
往時のボンネビル湖 (ネット画像より)
ボンネビル湖が干上がって、現在、グレートソルト湖の西方、ネヴァダ州の州境まで広がる、広大な砂漠地帯になっているようだ。
その中に、塩でできた平坦な、ボンネビルソルトフラッツ(塩原)があるようで、ここを利用した、車のスピードレースが行われているという。
湖の近くにある、州都のソルトレイクシティ一帯に、州の全人口の約8割もが、集中しているという。市内観光の他、州内にあるコロラド川の多くの国立公園観光の、基地になっているようだ。グレートソルト湖やボンネビル塩原自体は、観光地としては、殆ど、知られていないようだ。
以前、オレゴン州のポートランドから、テキサス州のダラスへ飛んだ時、上空から、この周辺を俯瞰した事があり、赤茶色の岩山群と、大きな白い広がりと、湖が見えたのを記憶しており、アメリカの広大さ、多様さに驚かされたことだ。白い広がりは今にして思えば、ボンネビル塩原だったのだろうか。
世界には、中央アジアなどに、塩湖は多いようだが、著名なのは、中東の死海、ボリビア アンデス山中のウユニ塩湖、トルコのトゥズ湖などだろうか。
次回は、平原の話題を取り上げ、アメリカの自然について、一区切りとしたい。