2022年円5月4日(水) 愛国行進曲と海ゆかば
♪ 見よ東海の空明けてー――――で始まる歌が、このところ、頭を離れない。
子供の頃に、よく耳にした歌で、諳んじてもいる。ネットで調べたら、「愛国行進曲」ということを知った。
この歌の作成の経緯は次のようだ。(以下、 愛国行進曲 - Wikipedia.html を参照)
まず、時の政府が、歌詞を公募したところ、57000点もの応募があったようだ。
集まった歌詞を、7人(中に、筆者の知っている、佐々木信綱、北原白秋、島崎藤村も)の選考委員で審議して、ほぼ原作を留めない、多くの加筆を行い、歌詞を仕上げたという。
作詞者は、原作者の、山口采希である。
そして、歌詞を元に、曲を公募したら、10000通を超える応募があり、8人の選考委員(中に、筆者の知っている、信時潔、山田耕作、橋本国彦、近衛秀麿も)で審議して、決定したようだ。作曲者として選ばれたのは、軍艦マーチでも著名な、海軍軍楽隊長の、瀬戸口藤吉である。
そして、昭和12年(1937年)、日比谷公会堂で、観客を前に、初めて演奏されている。
この歌が発表されたのは、筆者が生れる2年前のことで、皇紀2600年(昭和15年)の節目を控えて、国内が大きく盛り上がっている時期になる。
この歌は、終戦まで、第2国歌の位置づけだったという。
◇歌詞の引用
歌詞は、1番から3番まであり、以下に、1番を示すが、言葉が難解なところが多い。
(愛国行進曲 - Wikipedia.html から引用)
「見よ東海の空あけて 旭日(きょくじつ)高く輝けば 天地(てんち)の正気(せいき)溌溂(はつらつ)と 希望は躍る大八州(おおやしま)
おお晴朗(せいろう)の朝(あさ)雲(ぐも)に 聳ゆる富士の姿こそ 金(きん)欧無欠(おうむけつ)揺(ゆる)ぎなき わが日本の誇りなれ」
富士の雄姿
・東海は、日本の異称で、東海の君子の国というニュアンスのようだ。
・旭日は、朝日のこと 天地の正気とは、天地の間に広がり森羅万象・万物の根源となる
気のこととある。 大八州とは、日本の古称
・金甌は、黄金の瓶のこと 甌は、漢和辞典 瓦部にあり、小形の「瓶 かめ」のこと
・金甌無欠とは、傷一つない黄金のかめのように完全で欠点のないことで、特に、国家が独立強固なことの意という。
◇楽譜 2/4拍子の力強い曲 (愛国行進曲 - Wikipedia.html より引用)
著作権フリーだったこともあり、各方面で歌われたようで、ネットには、ユーチューブなど、多くのサイトがあり、著名な歌手がカバーしていて、近年にも、時々、演奏されるようだ.
◇もう1曲、 ♪ 海ゆかば で始まる曲も、記憶に残っている。
(準国歌ともいわれた「海ゆかば」を解説。歌詞,現代語訳,意味など【世界の軍歌シリーズ】|こけけんのにっき.html)
Wikipediaによれば、この曲は、昭和12年、日本放送協会(現在のNHK)から、作曲家 信時潔氏に委嘱して出来た曲という。(海行かば - Wikipedia.html)
改めて調べると、以下のように、歌詞が強烈だ。
海ゆかば、水(みず)く屍(かばね) 山ゆかば、草生(む)す屍(かばね)
大君(おおきみ)の辺(へ)にこそ死なめ 顧(か)へりみわせじ
この歌は、万葉集の、大伴家持の歌の様だが、命を擲(なげう)ってまで、大君を守ろうとする覚悟が感じられる。この歌も、準国歌として、よく、歌われたようだ。
前記サイトの著者の意見では、大君という言葉の中には、天皇だけでなく、身辺の関係者(家族、知人、友人、職場の同僚など)も含まれるとしている。
上記楽譜の作歌者のところに、「大友氏言立」とあるのは、原作の万葉歌を作った大伴家持が、天皇への忠誠心をしっかり述べている、という意味のようだ。