ケイの読書日記

個人が書く書評

今野信雄 「江戸の旅」

2016-09-15 16:43:44 | その他
 「江戸の旅」というと、パッと頭に浮かぶのは、参勤交代とお伊勢参り。
 大名の参勤交代は、旅というより仕事で、参勤交代をしないと、幕府から謀反のおそれ有りと疑われ、お取り潰しになっちゃうだろうから、必死だった。(そういえば、高速・参勤交代とかいう映画があったね)
 大名側にすれば、すっごい出費。例えば、仙台の伊達藩は、江戸から国許まで帰る途中お金が無くなり、野宿したという記録があるそうだ。
 もともと幕府が、諸大名の財政を逼迫させ謀反を計画させないようにと始まったものらしい。
 江戸時代は270年続いたが、家康って本当にアタマ良い! 徳川の世を続かせるために、いろんな手を打っている。もっとも、この参勤交代のおかげで、いろんな街道が整備され、庶民も旅に出かけやすくなったんだ。

 もう一つのお伊勢参りは、現代でも大人気。江戸時代も遷宮の年に合わせて、爆発的に流行したらしい。こういった「おかげ参り」の時は、すべての街道が人々で埋まったという。それが幕末「おかげ踊り」となって京で大流行。
 至る所でたくさんの人々が浮かれ、貴賤の別なく昼夜踊りながら歩き、三井や大丸と言った豪商を襲う。奉行所や関所に押し入って勝手にふるまう。奉行所や関所も、普段は威張りくさっているのに、あまりの数の多さに群衆を鎮めることができず、小銭を握らせ、過ぎ去るのを待つだけ。一揆のようなありさま。
 そして、そういう集団に、街道筋の人々は、喜んで食べ物やお金や衣類を渡し、自分の信心深さを表わそうとした。そういった施しをしなければ、神罰たちどころに下りて…と思われていた時代だったんだ。
 それに、奉公人が無断で「おかげ参り」に参加してもお咎めなし。こういうのを「ぬけ参り」と言うらしい。

 そうそう、この本の終わりの方に、費用の事が書かれてある。米の価格を基準にして考えると、一両はだいたい6万円。そう考えると、江戸後期、一泊二食付きの旅籠だと、上宿で1700円~3000円、中宿で1500円~1700円、下宿で1000円~1400円。思ったより安い! 食費が安くすむからかな? この時代、ほとんどのおかずは野菜だものね。それに部屋にしても、鍵がかかる訳じゃないし、隣室とは襖1枚で隔てられているだけだし、客が立て込んでくれば相部屋も普通だった。そう考えれば、この価格かな?
コメント (2)
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