ケイの読書日記

個人が書く書評

フィルポッツ「赤毛のレドメイン家」

2007-05-17 16:28:01 | Weblog
 かなりの傑作。1922年発表(作品の設定は1919年~1920年)
 高名な作家が、専門外の推理小説を書いている点や、小説の中に恋愛の描写が占める割合が大きいことなど、1ヶ月ほど前に読んだ「トレント最後の事件」とよく似ているが、こっちの方がうんと優れていると思う。


 「トレント~」の方は恋愛心理描写がじゃまでじゃまで、特にマドンナ役の女性があまりにも素晴らしいので、こんな女がいるかよ!! と毒づきながら読んでいたが、この「赤毛のレドメイン家」は、長々と続く恋愛心理の描写が事件解決の鍵を握るということもあり、最後まで飽きない。


 トリックとしては非常に古典的。遺体が見つからないとか、目立つ格好の人物があちらこちらで目撃されているとか、よくあるパターン。
 でも人間の心理描写も見事だし、イギリス・ダートムーア地方やイタリア・コモ湖地方の風景描写が素晴らしい!
 このフィルポッツという人はもともと田園小説の大家なんだってね。さすがだと思う。私もコモ湖を訪れてみたくなったよ。


 これはいい人を見つけた。彼の他の作品「闇からの声」「灰色の部屋」をぜひ読まなくては。
コメント (3)
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