本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

美術的したため方

2016-06-01 08:55:13 | Weblog
 手元にある大正7年版の『書翰文講話』に面白い内容がある。題して「美術的認め方一覧」という。要るに古来の流儀の手紙の書き方である。 
 
 その1 散らし書き 行は乱れて規則性はない。和歌の散らし様に真似たもの。
 その2 藤花様 頭部分は揃えるが、行の終わり揃えない。これが藤花の咲き乱れと似ている。
 その3 立石様 藤花様とは逆に、頭部分は不同で行の終わりは揃える。「山水の立石の如し」とある。
 その4 小筋書き 二行ずつ間隔を空けて書くもの。
 その5 雁行様 行の頭の部分がだんだん下がる書き方。「雁のつらなり飛ぶ形の如し」とある。
 まことにいろいろな書き方があるものだ。

 新聞に載っていた女流書家の作品を、上記の書き方と参照してみた。
 行の多い作品では流儀にドンピシャリなものはない。書の作品は書翰文ではないにしても「美術的認め方」である。流儀に従ってほしいと思ったことでした。