一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『深川駕籠』と江戸の坂

2006-10-18 | 乱読日記
今日は立てこんでいる外出の用事をまとめて済まそうと行程が「一筆書き」になるように無理やりアポイントを入れてしまったので、昼食は最初からあきらめてゼリー飲料で済ます覚悟でした。

そのかわり、予定が速く終わってちょっとだけ時間の余裕ができ、しかも天気も良かったので、紀尾井町から市ヶ谷まで散歩がてらのんびりと歩いて移動しました。

これはちょうど今読んでいる『損料屋喜八郎始末控え』で気に入った山本一力さんの『深川駕籠』の影響もあります。

この本は深川の裏店に住む若い駕籠かきの2人組が主人公をテーマにした短編の連作です。
人情物としても、エンターテインメント(時代物といいながら現代に通じる着想があります)物としても楽しめるのですが、駕籠かきという職業柄江戸の町並みや沿道、坂の上り下り、川と橋や道標になる建物、祭りの賑わいなどが生き生きと描かれています。

第1話目の「鬼子母神」違いの客を入谷から雑司が谷まで定刻までに送るという話で、最後のクライマックスの大塚仲町の富士見坂から護国寺の「わずか三町(330m)で十丈(30m)も落ち込む急坂」を下るところが、昔実際にその坂を年中目にしていた身にはツボにはまってしまいました(今から三十数年前は、晴れた日には富士見坂から富士山が見えていました)。
実際、原田の耳かきを買いにとげ抜き地蔵に行ったときには、首都高の護国寺出口で降りて、この坂を登って行ったばかりです。
ホントここは急坂で、昔乗っていたボロ車では2速(もちろんマニュアルです)でないと登れなかったんですよね。


昔話はさておき、今日は寄り道するほどの時間はなかったので、麹町から「日テレ通り」(もはや「旧」かな?)を市ヶ谷までの最短距離を歩きました。
本当は半蔵門から三番町、大妻女子大のあたりを迂回していくとお屋敷の名残りに触れることができたのですが、歩いてみるだけでも道の高低差、坂の多さは実感できます。

麹町駅のある新宿通りは尾根筋で、南は紀尾井町から清水谷公園、赤坂見附に向かって下り、北は小さな谷を経て日テレの小高い丘を越えると市谷から外堀までは下りになります。
そして市谷駅から外堀を渡った先には「市谷左内町」「市谷砂土原町」のお屋敷町の小高い丘があり、その奥には「払方町」「納戸町」「箪笥町」など今でも昔の風情を残した町名があります。


昔は麹町から下って市谷見附に至ると、正面に市谷の丘の緑があり、今日のような天気だとお堀の水面に青空がきれいに映っていたりしたんだろうなぁ、などとちょいとのんびり気分にひたってました。


昔の地名を知ろうと調べていたらこんなものを見つけてしまいました。
  江戸・明治・東京 重ね地図(DVD)

18,900円とちょっと値は張ります。

でも、欲しい・・・
(ほとんど買う気になってますw)








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八丈町議会選挙

2006-10-17 | よしなしごと
15日に東京都八丈町議会選挙が行われました。

東京以外の方に説明しますと、八丈町というのは伊豆七島の一番南の島である八丈島とその隣にある八丈小島(無人島(多分)で「七島」にはカウントされない)からなっています。
東京の南300km弱、飛行機で45分、船で12時間かかります。
(地図はこちら

そして八丈町議会選挙結果(2006年10月15日投票)

当 小 沢 一 美 535
当 土 屋   博 529
当 山下 まつくに 470
当 長戸路 義 郎 432
当 伊勢崎 カズエ 430
当 山口 ひではる 414  
当 沖 山 宗 春 409  
当 菊 池 むつお 388  
当 奥山 ひろふみ 374
当 菊 池 孜 行 338
当 田 村 六 郎 322
当 奥 山 さちこ 263
当 菊 池 あやこ 256
当 佐 々 木  治 254
  小宮山 たけし 250
  金 川 みち子 227
  石 井 常 五 10

次点との差が4票ですから白熱した選挙戦が繰り広げられたことがうかがえます(有権者数:7247人 投票者数:5944人 投票率:82.02%でした)。


八丈町のHPから島の現状を見てみると、

人口は8738人(ちなみに石垣島・宮古島は約47000人、西表島が約2000人)
人口の分布を見ると中心はここでもやはり団塊の世代で高齢化が進んでいる(参照)。
人口はご多分にもれず減少傾向にあります。

主な産業は観光(38億円)、花卉園芸を主とした農業(22億円)、漁業(10億円)だが、来島者は減少傾向にある(私は昔、ダイビングに1度だけ行った事があります)(参照)。
町の職員が248名、学校(小学校5、中学校3、高校1)数は179名で、人口の約5%=20人に一人が公務員。
ちなみに町議会議員の定数は14人ですから、八丈町は有権者の500人に一人が町議会議員ということになります。

公立病院1箇所、診療所3箇所、歯科医院は6箇所あります。
裁判所は東京家庭裁判所八丈島出張所と八丈島簡易裁判所はありますが、弁護士はいないようです(参照

現在の地方、しかも交通の便のよくない過疎地域というのは大体こういう感じなんでしょうか(実感がわからないので中途半端なコメントになってすみません)。

でも、選挙の立候補者の顔ぶれを見ても、「71歳 舟大工」「60歳 バスガイド」などと高齢者が現役でがんばっていることがわかります。

まだまだ元気でがんばっていただきたいです。

というか、
リタイヤして年金が少ないなどと文句を言いつつ、なけなしの貯金を取り崩して暮らすよりは「71歳 舟大工」という方が格好いいですよね。

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ムハマド・ユヌス氏にノーベル平和賞

2006-10-16 | あきなひ

ノーベル平和賞のユヌス氏、出発点は74年の大飢饉
(2006年10月13日21時10分 朝日新聞)  

米国で経済学博士号を取得したユヌス氏は72年、前年独立したばかりの母国バングラデシュに。大飢饉を機に向かった農村で出会ったのは、わずか1ドルにも満たない資金に困ったり、高利貸から借りざるを得なかったりする人々の現実だった。  

人口約1億4000万人のバングラデシュは1人当たりの国内総生産が04年現在でも445ドル(約5万3000円)と貧困に苦しむ。貧しい人は返済ができないと信じられ、担保がなければ銀行は融資しなかった。貧しければ貧しいほど、貧困から抜け出す方法がない――。自らの手で、担保なしに村人が連帯責任をとることで融資が受けられる「グラミン銀行」を設立した。  

農村(グラミン)を意味する言葉を冠した銀行は、それまでの「常識」を覆した。人々からの融資回収率は9割を超えた。銀行として採算が取れることも分かった。「融資」という手法をとったことについてユヌス氏は、「返済が伴わない援助は人間の尊厳を傷つけ、人々は自助努力や自己責任を忘れがちになる」と強調した。  

グラミン銀行は現在、バングラデシュの約7万の農村で660万人以上に貸し付けをしている。少額融資の仕組みも世界各地の貧困対策に導入され、対象者は1億人以上と見積もられている。

グラミン銀行やマイクロクレジットについてはろじゃあさん47thさんのところで過去にも触れられているので、詳しくはそちらをご参照ください。
貧困層に対する高金利、頻繁な取り立て、連帯責任制度など、一見貸し手には高リスクで借りてにも負担の大きいしくみがうまく機能しているということは、日本における上限金利問題にも一定の示唆はあると思います。  


グラミン銀行やマイクロファイナンスについての文献を読んだわけではないので誤解しているかもしれませんが、日本の消費者金融との一番の違いは資金使途を確認するかどうかなのではないか、と思います。 

日本の消費者金融は、急な医療費であろうが遊興費であろうが個人の属性と信用履歴を元に貸し出しています。そうすると、貸し手と借り手の間に情報のギャップがあるために、貸し手は「計量できない信用リスク」の分までを金利に上乗せし、借りる方もそういう「定食」のような金利で満足するしかない(きちんと返済していくと低い金利が適用されるようですが)ことになります。 

多分、グラミン銀行の世界では、借り手は資金使途や事業計画を説明し、貸し手はそれに見合った適用金利や返済ルールを説明して、いわば「双方納得ずくの高金利」の融資がされているのではないでしょうか。  
しかし日本の消費者金融のように事業規模が大きくなると、そのような手間をかけていちいち審査していては拡大しませんから、借り手を増やして大数の法則と高金利でリスクヘッジするということになるわけでしょう。  

興味深いのが(マンガの世界ですが)『闇金ウシジマくん』や『ミナミの帝王』の萬田銀次郎のような闇金のほうが融資の前に使途を確認することです。信用情報を聞き出すため、ということもあるのでしょうが、使途によって融資の可否の判断や(ウシジマ君においては)適用する金利を決定しています(事業系融資中心の萬田銀次郎は金利は常にトイチ(10日で1割)なのですが、消費者相手の小口融資オンリーのウシジマ君はトゴ(10日で5割!)が基本ですがパチンコ資金目当ての主婦にはヒサン(1日3割!!)でないと貸しません。しかも利息は先に引いて翌日返済)。  


話が横道にそれてしまいましたが「使途自由・高金利」の融資は「双方納得ずくの高金利」の融資に比べて、自分の返済能力についてやそもそもの資金需要の妥当性について正常な判断力を欠いた借り手に融資しがちなのではないか、逆にいえば、返済の目処のある急場の資金需要に対しては「借り手も納得ずくの高金利」もありうるのではないか、というのが考えたことです。  

後者は「上限金利を引き下げることによる社会的厚生の損失」(要するに「高い金利でも借りたい」人が融資を受ける機会を奪ってしまうこと)などと言われている問題ですね。  

前者、たとえばギャンブル資金の融資を受ける人は、多分金利が30%でも15%でも返済不能になり、多重債務者化する可能性が高いと思われます(借りるときに「ギャンブル資金を貸してくれ」と融資を申し込んだら、大概のところは断られるか、ウシジマ君のように超高金利・超短期間(+いざとなったら・・・のおまけつき)でしか貸してくれませんよね)。  


このような借り手が多重債務者化するのを防ぐにはどうすればいいのでしょうか。  

① 「資金使途不問」と融資のハードルを下げ、債務者を誘い込んでいる消費者金融にコストを負担させる
ただ、上限金利を下げてもこの問題は解決しない(であろう)のと、すべての融資に資金使途の確認を義務付けるのも経済活動を必要以上に阻害してしまうという問題点があります。  

② 遊興費で多重債務者になるのは借り手の自己責任
これは「何の対策もしない」ということです。自業自得なので追い込みをかけられようとも守ってやる必要はない、という考えですね。
これはこれで一定の合理性があって、上限金利や取立て規制も撤廃すれば、「遊興費は手元資金の範囲で賄おう」という判断を促すのではないかと思います。
ただ、依存症のようになって自制が効かない人に対しては効果がないですね。

③ 依存性・習慣性があり、正常な判断ができなくなるような商品・サービスは禁止する
そう考えてみると、「元から絶つ」のが一番効果的かもしれません。
たとえば麻薬などはこの理由で禁止されてます。
でも、依存症になり、健康にも害のある酒やタバコは禁止されてません。
これも依存症が取りざたされるようになったギャンブルも公営とパチンコは認められてます。


この辺は結局は経済合理性と社会の価値判断、というところになるのでしょうか。

①の部分は、上限金利の引き下げだけでなく、返済シミュレーションなどの説明(これは特にクレジット販売などでは重要だと思います)、信用情報の共有化(多重債務化の防止)などが有効だと思います。
また、少額・短期間・使途の明確化による例外的高金利を認めてもいいようにも思います。

つぎに何を③で規制するか、ですね。
これも「なんでもかんでもダメ」というのではかえってアングラ化してしまいますし、「水清ければ魚住まず」という諺もあります。
この辺は国民の価値判断ですね(今のところパチンコ業界の政治力の方が消費者金融業界を上回っている、ということでしょうか・・・)。

また、禁止まではしなくても、射幸心を煽るような勧誘や霊感商法・催眠商法のような正常な判断力を失わせるような販売方法は規制したほうがいいかもしれません。
ただ、エステサロンや英会話学校など、詐欺ではなくても「その気にさせる」のが営業のポイントである商売をどこまで規制するかは難しいですね。
このへんは消費者契約法の世界ですが、クレジット販売とのセット営業などは特別の配慮が必要かもしれません。

で、最後の②ですが、「風俗通い」「ブランド品の購入」などの借金の人でしょうか。
消費者金融・上限金利問題を考える時に、こういう人をイメージする人もいることが、議論が混乱する一因だと思います。
個人的には①と③の規制が合理的なら、あとは自己責任でもいいと思います。


「俺は腎臓よりも金○を選んだんだ」という人生もそれはそれで潔いかと・・・

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外務省、しっかりせい。

2006-10-15 | 余計なひとこと

外交官の手当足りない? 財政審で議論
(2006年10月13日19時31分)

海外の大使館など在外公館に勤める職員の手当を積み増すかどうかについて、13日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で論議された。外務省が「最近の円安で実質給与は下がっている」として大幅増額を求めるのに対し、否定的な意見が相次ぎ、財政審の西室泰三会長は同日の記者会見で「(増額要求は)断るべきだ」と語った。

外務省は、条件が近い大手企業の海外駐在員に比べ給与が2~3割低いデータを提示。「自宅に外国人を招いてのパーティーなど事実上の外交活動に支障が出ている。借金で経費を賄っている職員もいる」(在外公館課)として07年度は10%の手当増額を求める。  

知人の役人で在外公館への出向経験のある人間に聞いたのですが、彼のような他省庁からの人間(書記官クラス)は、赴任前から「外交官の心得」などの研修を配偶者とともに受けさせられ、赴任したらで大使館・領事館に飾る生け花を奥様たちが順番で生けたりと、なにくれと大変だったようですが、キャリアの外交官はけっこう優雅な生活だったようです。

彼が言っていたのは、大使・領事クラスは確かにパーティーが仕事のようなものだけれども、それは全部官費で賄われる。 
問題は1等書記官クラスで、確かに情報交換や人脈を広げるために私費で駐在国の役人や他国の外交官を会食に招く人もいなくはないが、最近は外務省キャリアにも「祖父の頃から外交官」というような人は少なく(まあ、そもそも論としてはそういう世襲制の是非もあるのですが)、結構キャリア同士で結婚して、それぞれ別々の国に単身赴任、という人が増えているそうです。  そうすると「私は単身だから」と自宅でのパーティーなどは開かずに、海外赴任手当てをダブルで享受する、なんて人もいるそうです(そうすると一財産できるらしい)。  

だったら手当てをやめて、自宅だろうと公式だろうとパーティ費用は官費で精算して監査を入れよう、という流れになってしまうのは当然。  

個人的にはそういうインフォーマルな人間関係構築は外交官としては重要だと思うので、透明な「精算」でなく不透明な「手当て」という中で賄うことには反対ではありません。
何でも予算や決裁が必要であとからは監査が入る、というのでは、
ただ、運用する方がサラリーマン根性丸出しで役得としか思っていないのであればダメですよね。  


昔の外交機密費の「上納」問題あたりから、外務省職員は外交官の特権性を自ら貶めているような気がしてなりません。 
自分で自分の首を締めるってやつですね。  

民間企業の海外駐在員との比較を外務省の方から持ち出している時点で既に負けているように思います。 
読売新聞の報道でも  

しかし財務省は「大企業は東京での給与水準も高く、在外公館の給与が低いとはいえない」(主計局)として、手当の削減を求めている。  

と、民間企業との比較を云々されている始末(こっちのタイトルは「やはり高い!ワシントンの大使館給与は国内の1.7倍」ですから、記事のトーンもご想像の通りです)。  

財務省相手でも「算盤勘定だけしている奴に国家を背負った外交活動の現場の何がわかる!」と一喝できるくらいの気概と実績があれば、手当ての増額といっても変な公共工事を数箇所削るくらいの予算は通せると思うのですが。


手当ての多寡より、それを問題にされてしまって言い訳に汲々としている外務省の体質(または「信頼の蓄積」が底をついていること)のほうが国にとっては問題なのではないかと思います。

近場の外交問題もキナ臭さを増している昨今、外務省にはしっかりしてほしいものです。

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天皇家は江戸っ子ではなかったし、その必要もない、というはなし

2006-10-14 | 余計なひとこと
このブログに鋭いコメントを頂戴し、私もよくお邪魔しているbunさんのブログの「英語学習におけるカタカナのたちの悪さについて」というエントリを拝見してなるほどと思いつつ、発音自体が存在しない場合はもっと困るよなぁ(たとえばフランス語では"h"を発音しないので、"monsieur Hayashi"は(カタカナで言うと、ですがw)「ムシュー・アヤシ」になったりします)などと考えていて、

ふと思い至ったのが


  「秋篠宮悠仁親王」


の「ひさひと」の言いにくさ。特に「ひ」と「し」の発音を区別できない生粋の江戸っ子泣かせです。

まあ天皇家は下町育ちではないので生粋の江戸っ子への配慮など命名に際し端っから頭にはなかったでしょう(明治天皇までは京都の生まれなので三代続いて「江戸っ子」と名乗れるのは今上天皇が初めてですし)。
というより、そもそも自分のいるところが都なんだから「江戸っ子」なんてわざわざ名乗りたくもないでしょう。


さて、とても長い枕でしたが、これからが本題


東京一極集中の弊害を避け、地方経済の活性化のために忘れた頃に首都機能移転がとりざたされますが、首都機能を移すとなるとインフラ整備だけでも大変なのでなかなか決まりません。

ならいっそのこと、首都機能を移す代わりに天皇ご一家が御座所を移られたらいかがでしょうか。

特に天皇は行政上の首都を御座所にする必要はないようです(少なくとも皇室典範にも決まりはありません)。
(余談ですが、そもそも明治天皇も大政奉還に伴い京都から江戸に移る必然性はなかったわけですよね。象徴的な意味なら江戸城を開城させてとりつぶしてしまったほうが良かったかもしれないわけで。)


御所は地方中核都市には城址の広い敷地があるのでそこを使えます。
また親王・内親王の教育施設については各地方の名門校があります(学習院がなければいけない、というのじゃ本末転倒ですよね)。
東京でなければできない公務というのは限られてると思います。
国賓を迎えるときは迎賓館または今の皇居をお使いになればいいですし、場合によっては御所にお迎えして郷土料理をふるまう、なんてのもいいんじゃないでしょうか。
大相撲だって今でも名古屋、大阪、九州でもやってるので、観戦に支障はないと思います。
もし〇〇の料理が食べられなければいや、とか××ブティックがなければ困る、というのであれば、店の方から引っ越してくるはずです。学習院だって分校を作っちゃうかもしれませんよね。


そして、首都機能移転ほど費用はかからないので、10年おきに国内で御座所を変えていけば満遍なく地域の活性化につながると思います。

妙案だと思うのですが・・・

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太陽政策

2006-10-13 | 余計なひとこと

今回の北朝鮮の核実験は、中国からも一定の距離を保って自立し、アメリカと対等な立場で対話を迫るという瀬戸際戦略が、結果自らを追い詰めるとともに中国の支持も失いつつあるというように解説されてます。
まあ、実際そんなところなんでしょう。

で、困ったのが「在韓米軍問題などでアメリカとの関係を悪化させながらも太陽政策」を掲げてきた韓国の盧武鉉政権。
韓国国内でも批判が起こって、苦境に立たされているようです。


とまあ、そのへんはニュースとか解説の受け売りなのですが、ひょっとすると太陽政策への(少なくとも今までの)国民の支持は、北朝鮮への同胞意識だけでなく、金正日政権崩壊後をにらんでの選択なのではないか、というのが今日の思いつき。

つまり、遅かれ早かれ金正日政権は崩壊するが、その場合に中国政府の介入を招いて親中国政府ができてしまい、民族統一が遠のいてしまうのを一番おそれているのではないか。
北朝鮮内部でクーデターが起きるとか金正日が死亡するなどで北朝鮮が混乱した場合に、後継の政権(なり、内乱が起きた場合の有力な勢力)が中国でなく韓国政府と連携したほうがメリットがあると思わせることが大切で、長年経済・軍事援助をしてきた中国以上に信頼されるには、多少アメリカや国際社会の批判があっても「親北朝鮮」をアピールしつづけることが必要だ、と考えているのではないか、ということです。

盧武鉉大統領自身は来年の大統領選挙に勝たなければ意味はないので、そこまでの長期的視野に立っているのかわかりませんが、韓国国民はそんなことも考えているんじゃないのかな、とふと思った次第です。

まあホント単なる思いつきなんですけど。


でもこの場合の(特に日本にとって)最悪の展開はミイラ取りがミイラになって、南北揃って国際的に孤立することなんですよね・・・
さすがに韓国国民もそんな選択はしないと思いますが。


ところで切込隊長のところで見つけた記事
中国、東北虎 620頭を中朝国境地帯で放し飼い準備

中国は現在、絶滅の危機に瀕している '東北虎'の個体数保護のため、人工飼育している 620頭余りを野生の状態で生存するように訓練を経て放し飼いにする計画だ。 東北虎人工飼育団地の関係者は “黒龍江省ハルピン市で飼育されている東北虎は、野生生存訓練を受けた後、 中国と北朝鮮の国境地帯 15haの森林に放し飼いにする計画だ” とし (以下略)

不法移民対策としては対人地雷を敷設するより手間がかからないし環境にも優しい、というなかなか笑えない発想だったりするんでしょうか・・・

PS 中国としては、南北統一されてから丸ごとパクっと、という発想だったりして。

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今朝のニュースから

2006-10-12 | よしなしごと
"Yankees pitcher dead in plane crash" (CNN)

NYヤンキースのCory Lidle投手の操縦する自家用機がニューヨークの高層マンションに衝突しました。



9.11を思い起こさせるような絵ですね。
リドル投手は今期途中、フィリーズから移籍してきた選手ですが、ニューヨークの空には慣れていなかったのでしょうか。


'Huge rise' in Iraqi death tolls (BBC News)

アメリカJohn Hopkins Bloomberg School of Public Healthの調査によると、米軍の侵攻により2003年以降で(侵攻がなかったならば生存していたであろう)65万人のイラク人が死亡した、とのことです。


朝のTVでは

  654,965人

と言ってました。

この数字、昨日時点でのgoo blogの数(652,109)とほぼ同じです。
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「亡くなられたお客様、ご遺族の方の状況を十分に考慮し」

2006-10-11 | あきなひ

アイフルも「命担保」の生保打ち切りへ 大手4社そろう
(2006年10月10日(火)19:07 朝日新聞)

これに先立つこと金融庁から 「消費者信用団体生命保険への対応について」 というのも出てました。 
この中で、生命保険会社に対しては次のような要請がなされています。 

社団法人生命保険協会に対し、消費者信用団体生命保険加入時の被保険者同意の取り方、保険金支払時の遺族等への確認の取り方等を内容とする消費者信用団体生命保険に係る業界ガイドラインを策定し、その周知徹底を図ることを要請した。  

特に「保険金支払時の遺族等への確認の取り方」というのは下のような事件への配慮でしょう。 
遺族がアイフル提訴 死体診断書求められ苦痛  
(2006年3月24日 神戸新聞) 

訴状などによると、女性は「アイフル」など消費者金融四社から計約二百万円の借金を抱え、二〇〇四年八月、自宅で首をつって自殺した。  
〇五年六月、アイフルから長女に「ご依頼書」とした書面が送られ、債務の残金など総額約六十三万円を保険で回収するため、手続きに必要な死体診断書などの提出を求められたという。  
長女側は、「利息制限法の上限を超える高金利での貸金を行い、さらに同保険契約は命を担保にするなど公序良俗に違反する」と主張。  
さらに、金銭貸借の契約書と保険加入の同意書が同一であるほか、加入先の保険会社名や内容の説明がなく、契約は無効としている。  
長女は「かさぶたに塩を塗るようなもの。憤りを感じ、黙っていてはいけないと思った」と心境を語った。  

取立て態様が違法だったというのならともかく、「故人が保険に加入しているのを知らなかった、サラ金苦で自殺したのに保険金で回収するために協力せよ」ということ自体で損害賠償、というのが認められるかはわかりませんが相続放棄を前提にして保険契約の無効を訴えるのは意趣返しとしては有効かと思います(でも、原告適格あるのかな?)。

で、そもそもこの保険、グレーゾーン金利までカバーしているのか、そうだとすると、グレーゾーンの部分は遺族は不当利得として返還請求できるのかな、などと思い 「消費者信用団体生命保険 重要事項に関するご説明」(ユニマット・レディズのサイト)を見ると  

2.保障内容について 
(1)保険期間 
信用供与契約締結時から信用供与契約解約時または満71歳に到達するまでの期間 
(2)保険金額 
債務残高に応じて定まり、債務の借入および返済に応じて変動します。詳細はCFJ株式会社にご確認ください。なお、保険金は、債務の元本および所定の利息の一部の合計額と同額が支払われますが、300万円が保険金の上限額となります。したがいまして、債務の元本および所定の利息の一部の合計額が保険金の上限額を超える場合には、超過部分につきましては、保険金は支払われず、債務が残ることになります。 
(3)保険料 
契約者であるCFJ株式会社が負担します。  

微妙な書きぶりですね。
グレーゾーン部分については保険対象外のように読めます(保険会社的にはトラブルを避けるためにはそのほうがいいんでしょう)。 
また、保険期間が71歳までということは、70歳を越えると消費者金融でも借りにくくなるようです。  


ただ、冷静に考えてみると、そもそも保険をかけること自体は債務者に一方的に不利益なんでしょうか。 
保険料はコストとして結局利息の中に入っているので、考えようによっては不慮の事故があったときに保険金が下りたほうが借金を遺族に残すよりいい、ということもあると思います。

親が住宅ローンの団体信用保険に加入しているのを知らなかったといって、保険金支払手続に協力しない子供はいないと思います(そんな事いったら住宅ローンなんてみんな命担保だし、リバース・モーゲージなんかありえない、ということですよね)。 


問題は保険の建て付けが債務者の自殺による回収を働きかけさせるようなものであることにあり、そこをまずは改善すべきなのではないかと思います。 

たとえば保険の条件で自殺の場合は保険金が出ないことにしておけば、消費者金融側も過酷な取立てを控えるのではないでしょうか(偽装事故など、考えればきりがないですが、少なくとも偽装を具体的に示唆すれば取立て側の自殺教唆の立件もしやすくなるかと)。 
また、団体保険であれば、上限71歳というのも撤廃することも可能かと思うのですが(お年寄りの年金払込み前の当座の資金繰りなどに助かりますよね)  


一律やめる、というのは本当に消費者のためになるのか、ちょいと疑問が残ります。  

「命担保」などと煽るマスコミの心性は「目玉売れ、腎臓売れ」と迫る回収担当者とどこか共通のところがあるように思えてしまうのですが・・・


ところで先日いち早くこの保険をやめた武富士のリリース「消費者信用団体生命保険」取り扱い中止のお知らせ (平成18年9月29日)は含蓄があります。 

今後の取り扱いにつきましては、お客様が亡くなられた場合には、お客様、ご遺族の方の状況を十分に考慮し、適法に対応させていただきます。  

亡くなられた「お客様」の状況まで考慮する、というのは死亡理由の如何によって取立て方を変えることを想定しているんでしょうか。 
さらに「適法に」というのは、保険に入ってないんだから、死亡退職金や個人で加入した生命保険金もしっかりいただきますよ、ということでしょうか。   


世間の風向きが厳しいから大人しくしてはいるが、甘く見てはいけないぞ、ということですね。

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「原田の耳かき」

2006-10-10 | よしなしごと
このまえの耳掻きについてのエントリを書いて以来気になっていた「原田の耳かき」を連休中に入手しました。

久しぶりの巣鴨とげ抜き地蔵商店街は「おばあちゃんの原宿」そのものでした。
子どもの頃近くに住んでいて、4の日の縁日には自転車を飛ばして露天を楽しみにしていた身としては、今やどこの商店も露天も衣料品と健康食品だらけという意味で「原宿」化されてしまったとげ抜き地蔵商店街を見るのは寂しくもありました。

昔は子供向けの型抜きとか紙芝居(これは近所の公園にも来ていました)、カラーヒヨコ(雛の鑑別で雄と判定されたヒヨコを愛玩用に売るんだけど、大概すぐ死んでしまう。でも、一羽近所でそのまま立派なオンドリになったのがいて、毎朝ときの声をあげていたのはそれはそれで迷惑でしたw)とかの子供向けだけでなく、マムシの軟膏売り(麻の袋にマムシを入れているかのように語りながら見せない)とか七味唐辛子を調合する店とか、キセル職人とか、あとは露天の代名詞のバナナの叩き売りや蝦蟇の油売りも見たことがあります(あ、これは別の縁日だったかな?)
いやほんと、巣鴨・大塚界隈は、深川とか入谷のような「生粋の江戸っ子」と名乗るにははばかられますが、昔ながらの怪しい下町情緒が溢れてました(いまだに都電が残ってるくらいですからね^^)。


で、本題の「原田の耳かき」。
とげ抜き地蔵尊の境内入って左側にお店を構えています。
先代は最初は境内に入れずに、外の露天から始めたそうです。

今の店主は20代後半の若い人。
接客と調整を一人でして、しかもけっこうお客がいるので、のんびりと待つことになります。

サンプルの耳掻きを試用しつつ、調整中の先客とのやり取りを聞きながら、大きさとか当たりの柔らかさ自分はどういうのがいいのかな、などと考えているうちに順番がきます。

基本的には目の前にあるサンプル(両側に掻き手のあるもの、片側のもの、短いもの、子供用)などから選んだ上で微調整してもらいます。
私は実家用にも1本頼んだので、それは手元の加工用の素材から5分くらいで削りだしてもらいました。

先代の「馬木の耳かき」の頃から量販品より掻く部分が大きいのが特徴だそうです。
一般的にお年よりは大きくて柔らかめ、若者堅めがお勧めだそうです。

素材は普通の竹と煤竹。煤竹の方が持ちがよく、薄く加工出来るので柔らかさを出しやすいとか。

で、購入したのがこれ



ちゃんと「とげ抜き地蔵尊」と書いてあります(東急ハンズにも売ってるみたいですけどw)

能書きはこちらをご参照ください。

今回購入したのは、ちょと小さ目なもの。



「原田の耳かき」という刻印をしてくれます(焼印じゃなくてゴム印なのがちょいと残念)
これがあれば、いつで再調整してくれるそうです。



横から見ると



この、先端部分の薄さがポイントです。


実際に使ってみると、先端部が自然にしなって掻こうとするので、今までの耳かきにはない独特の感触があります。
今までは手先でコントロールしていたものが、耳掻きの先端部分にもう一つ関接があるような感じです。
また、「しなる」ことであたりがやわらかく、細かい動きを伝えてくれるため、壁を無理やりこそげ落としたりせず、耳の中の状態(耳垢の固まり具合、剥がしやすさなど)をきっちりとフィードバックしてくれます。
自動車雑誌で言う「路面の状況がステアリングにダイレクトに伝わってくる」というやつですね。


なかなか満足のいく買い物でした(強いて言えば店主?のお兄さんが昔のとげ抜き地蔵のことを知らなかったのが残念、という程度)。

あとは、しばらく耳垢をためてから耳かきを楽しみたいと思います(汚ねぇ・・・w)
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イグ・ノーベル賞2006 (その2(完))

2006-10-09 | よしなしごと
2006年イグ・ノーベル賞のつづきです
(その1はこちら

文学賞
プリンストン大のDaniel Oppenheimer氏の論文「博識をひけらかすために不必要に長い言葉を使うことの効果について」に。

(論文の概略)
文章の書き方に関するほとんどのテキストは難しい単語を使わないよう勧めている。にもかかわらず、大方の学生は知的な印象を与えるためにわざと用語を複雑にしているという。
本論分はこの戦略の有効性を検証する。
実験1~3は用語の複雑さを変化させることでテキストの複雑さとそれが知的と判断されることに逆相関関係があることを発見した。
この関係はオリジナルの文章の質の高さや被験者の文章の質の高さへの事前の期待に関係なく成立した。また、複雑さの負の影響は文章を読みやすく(※)することによって軽減された。
実験4では、直接読みやすさを操作した。その結果、読みにくいフォントのテキストほど作者が知的でないと判断されることがわかった。
実験5は、読みにくさによるマイナスの影響を探った。文章の内容の判断に関係していると思いつかずに明らかに読みにくい文章に直面したとき、読者は文章の質の低さを読みにくさのせいにしない傾向にある。実際、読みにくさに不当に影響されまいとして、読者は読みにくいことを無視しすぎたり逆にバイアスのかかった判断をする。意味内容や妥当性が疑われるのだ。
(※)ここは「文章のfluency」に、内容でなく見かけ上の読みやすさの意味で「読みやすさ」という訳をあててみました。


もって回って結局何言ってるんだかわからない(わかりたくなくなる)ような文章ってありますよね。特に仕事で過剰に鹿爪らしいe-mailをいただいたときなど。
「結局『自分が賢い』ということが言いたいだけなんじゃねーか、コイツ」などといって無視したりしてしまうことが(ごくごくたまに)あります。

ホント、難しいことをやさしく説明するのが一番難しいんですよね。


医学賞
テネシー薬科大学のFrancis M. Fesmire氏とハイファ(イスラエル)Bnai Zion Medical CenterのMajed Odeh、Harry Bassan、Arie Oliven3氏の、くしくも同じ「止まらないしゃっくりに対する直腸指圧マッサージの有効性について」と題された論文に。


もともとは鼻に栄養チューブを取り付けるとしゃっくりが止まらなくなってしまう、という切実な状況に対応するために投薬などさまざまな方法を試みた末の発見だったようです。
残念ながら具体的な手技の方法は書いてありませんでした。
今度しゃっくりが止まらなくなったとき、トイレで温かめのウォシュレットでもお尻に当ててみますか(先に実験された方がいたらぜひご報告お願いします)。


物理学賞
「乾燥スパゲティを曲げると2つより多く折れてしまうことが多い理由についての考察」パリのピエール&マリー・キュリー大のBasile Audoly氏とSebastien Neukirch氏に

この現象は弾性ロッド(釣りざおみたいなものですね)の力学特性で説明できる。
直感に反して、ロッドは曲げられた状態から解放されるときに負荷が増加する。パスタが折れた瞬間、残りの部分が解放されることで逆に負荷がかかり、別のせん断を起こすことになる。

ここに動画もあります(といってもスパゲッティを折ってるだけですが)。


ダンコンの世代ネタとは違いますからね。「男性ロッド」の話じゃないですからね。


化学賞
バレンシア大のAntonio Mulet氏、José Javier Benedito氏、José Bon氏とthe University of Illes Balears, in Palma de MallorcaのCarmen Rosselló氏の「温度によるチェダーチーズ中の超音波速度への影響」に。

チェダーチーズの工程において中心部の温度管理は重要で、脂肪が溶けたり油になって沁みだしてしまわないようにするために、超音波の伝達速度を使って精密な温度管理をしよう、というもののようです(自信なし)。


食べ物の中身の見えないところの状態を把握するのは何にしろ難しいものですね。
観光地の市場などでは皮の厚い果物や蟹のように甲羅のものなどは店先の人が軽く叩いたり手で重さを量ったりと「さすが専門家」というアクションをしてくれます。まあ、これは店頭のパフォーマンスという部分も大きいのでしょうが、本当の専門家になるとは勘ばかりに頼っているわけにはいかないのかもしれませんね。


生物学賞
オランダのWageningen農業大学の Bart Knols氏とRuurd de Jong氏の「雌のマラリア蚊Anopheles Gambiaeが人間の足の臭い同様limburger cheeseの臭いににひきつけられる」発見に対して。


欧米人は蚊に教わらないとチーズが臭いって気づかないんでしょうかねぇ(と、そういう私は納豆好きの日本人。クサヤだっていけますw)

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イグ・ノーベル賞2006 (その1)

2006-10-08 | よしなしごと
「イグ・ノーベル賞」での検索が急に増えたと思ったら、今年の発表があったんですね。

愉快な研究にイグ・ノーベル賞 日本人受賞は11人
(2006年10月07日 朝日新聞)
ちなみに日本人受賞は過去の累計です。

2005年度についてはこちらをご参照ください(その1その2その3

さて、今年ですが公式HP(?)とリンク先の記事からざっと紹介します(誤訳御免)。


鳥類学賞
「キツツキはなぜ頭痛にならないか」を解明したUC DavisのIvan R. Schwab氏とUCLAの故Philip R.A. May氏に。

キツツキは1秒間に20回(※)、一日12,000回も固い木をつついている。しかも、1回あたり1200gの衝撃を受けている。
(※)ちなみに航空機などに搭載されるM61機関砲(バルカン砲)の発射速度が4000~6000発/分ですから、キツツキの1200回/分がいかに速いかと。

キツツキの頭蓋骨は厚く柔らかい骨でできていて(特に後頭部)、下顎の付け根部分の軟骨も衝撃の吸収に役立っている。
頭蓋骨の中には非常に小さいクモ膜下腔にほとんど脳脊髄液がない。
下顎と頭蓋骨を結ぶ強靭な筋肉はインパクトの数百分の1秒前に収縮し、インパクトの衝撃を吸収するとともに脳をバイパスして下顎の付け根から頭蓋骨の後頭部に伝える役割を果たす。
また、キツツキは完璧に垂直に木をつつくことで脳への衝撃を軽減していると同時に、眼底出血や網膜剥離の防止にも役立っていると思われる。
また、キツツキはインパクトの直前に目瞬きをすることで、木屑の飛散などから目を保護したり、4インチにも伸びる舌を噛まないように目と目の間に収納する構造を持っていたりとつつくことに伴う自傷を避けるさまざまな機能を持っている。


ログハウスの別荘を作った知り合いが、キツツキにつつかれて難儀していたという話を聞いたことがありますが、文句を言う前に尊敬の念を持ってあたらなければいけませんね。


栄養学賞
「フンコロガシも糞を選ぶ」を解明したクウェート大学のWasmia Al-Houty氏とクウェート環境省のFaten Al-Mussalam氏に。

フンコロガシは糞の液状部分を自分で食べ、固形部分を幼虫のために埋める。
草食動物の馬、ラクダ、羊の糞で比較したところ、馬>羊>ラクダとより液状部分の多い糞が好まれた。
肉食動物(犬、キツネ)については、食べなくはないものの、草食動物の糞がより好まれる結果となった。


「蓼食う虫も好き好き」というくらいですから。
やはり肉食動物の糞は固いんですね。日本人の食生活が変って直腸がんがふえた、というのもこの辺に理由があるのでしょうか。


平和賞
ティーンエイジャー撃退電子装置を発明したウェールズのMerthyr Tydfil(会社?)のHoward Stapleton氏に。

子どもには聞き取れるが大人には聞き取れない高周波音を発生する装置。電話の着信音にすれば教師に聞かれることもない。


確かにいろんな(悪)用が考えられそうですね。「聞こえなくなる歳までこんな歌聞いてちゃだめだぜ」とか。
でも、高周波が聞き取りにくいティーンエイジャーは仲間はずれになっちゃうのと、妙に耳がいい大人はうるさくてたまらないですね。


音響学賞
「人間は黒板をつめで引っかく音がなぜ嫌いなの」の実験をしたノースウエスタン大学(などに在籍)のD. Lynn Halpern氏、Randolph Blake氏、James Hillenbrand氏に。

リンク切れのため詳細不明。
フンコロガシにも好き嫌いがあるわけですから、音の好き嫌いにも理由があるかと。


数学賞
「誰も目を閉じていない集合写真を撮るために必要な撮影回数の計算」をした"Australian Commonwealth Scientific and Research Organization"のNic Svenson氏とPiers Barnes氏に。

これは写真を撮るのが毎度うまくいかずにイライラした物理学者が構築したモデルです。
人間は1分間に10回目瞬きをして、瞬きの時間は0.25秒、明るい照明下でのシャッター速度は8/1000秒、被写体の目瞬きはランダムに起きるという前提の計算です。


全員が目のあいた写真を99%の確率で撮れる枚数のグラフ。

モデルがシャッタースピードを変数に入れているので当然と言えば当然なんですが、"Bad Light"と"Good light"の差が人数が増えるに応じて開いていきます。


確かにシャッタースピードを早くできる環境で撮影する、というのがポイントのようですが、目瞬きをランダムにしないように、最初に全員同時に目をつぶらせて目を開けた直後に撮る(「チーズ」の「チ」で目を閉じる)という作戦はダメでしょうか(効果あるならとっくに誰かがやっているかw)。


(その2はこちら
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山本一力『損料屋喜八郎始末控え』

2006-10-07 | 乱読日記

損料屋とは「夏の蚊帳、冬の炬燵から鍋、釜、布団まで賃貸しする」という商売です。
もっとも所帯道具にも事欠く連中相手の小商いなので、年寄りの商売と相場が決まっているのですが、主人公の喜八郎は眼光鋭い28歳です。

喜八郎はもともと北町奉行蔵米方与力の末席同心だったのが、米相場で私腹を肥やそうとした奉行のスキャンダルの責任を押し付けられて野に下ったところを、同じく奉行の損失を被らされた「札差」の米屋(屋号です)が深川の損料屋と家を買い取って与えたものです。
米屋は喜八郎の才覚を見込んで、商才のない自分の総領息子を陰で支えてくれるように頼むとともに、上司であった与力秋山の情報収集活動も行う、というのが陰の仕事です。

先のスキャンダルがあった田沼老中の時代から時代は松平定信が老中になり、年号も寛政に変わる頃が話の舞台です。

札差というのは、もともと旗本・御家人が年に三度支給される棒給の切米を自家用以外の分を市場で売却して現金収入を得る仲立ちをする商売だったものが、法度に縛られた武家は体面保持に蓄えを費やし、先の日限で受け取る切米を担保にして札差から借金をするようになり、札差もこの時代になると金貸し業が商いの大半を占めるようになっていました。
仕組みとしては商品(先物)ブローカーと貸金業が兼業しているようなものですね。

札差は江戸市中で109人しか認められられておらず、当時栄華を誇っていました。

その中で、寛政の改革の一環として出された棄捐令(札差に対する債権放棄の強制)は札差に大打撃を与え、貸し渋りによる武家の困窮や景気の悪化、経営危機になった札差の乗っ取りなど、喜八郎と米屋、与力の秋山の周囲でさまざまな事件が起きます。


この本は江戸の経済事情と深川を中心とした江戸の下町の風俗を、人情噺を交えながら活写しているのですが、最近の貸金業の上限金利引下げ議論や、バブル崩壊局面での銀行の経営危機なども思い出しながら読むのも面白いです。


これを読むと、時代は変っても人の行動は変らないな、とつくづく思います。

札差の金利は年1割8分ですが、当時もより高利で貸す「座頭金」というのがいました。
元は「公儀上納金の一時的運用を官が認める」という建前だったものを、公儀の庇護を売り物に市中の豪商から金を集め、それを度外れた高利と手段を選ばない取り立てで膨らませていたそうです。
座頭金の利息が「日歩4厘」。つまり10日で4%(「トイチ」よりは低いw)=年146%。

また、二年後、三年後の切米まで担保に入れ融資を受けられなくなった旗本は札差を脅して貸金を強要する「蔵宿師」(借りた金の一部が手取りになる)を雇うこともあったそうです。

さらに、札差間で顧客(札旦那)を貸金ごと売買する取引も行われていて、今で言えば事業譲渡や不良債権ビジネスですね。

また(実在したのかは不明ですが)接待で客を口説き落とすために「襦袢茶屋」なるものを経営している札差も出てきます。ちょっと前で言えば「ノーパンしゃぶしゃぶ」みたいなものでしょうか。


作者の山本一力さん自身、さまざまな職を遍歴し、事業で作った借金を他人に頼らず返済しようというのが小説家になった動機だそうで、1994年から時代小説を書き始め、2004年に『あかね空』で直木賞を受賞したときは、会見場まで家族4人で自転車で駆けつけたという異色の経歴の持ち主だそうです(これは別の本の解説にありました)。


その経験が、商売人を語る厳しく、かつ暖かい視線に現れているのかもしれません。


最後に作品中から気に入った一言を。

高利貸しは肝が座っていなければ、客の恨みで、おのれの気が潰される商いだ。

語り口がかっこいいだけでなく、消費者金融問題(上限金利問題)のややこしさは、普通の商売や金融取引と違って感情が大きな要素を占めるところにあることを示唆してもいますね。


 

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ダンコンの世代

2006-10-06 | ネタ

先日会社の団塊ジュニア世代と話していたら、いきなり「ダンコンの世代をターゲットに」云々と言われてしまいました。

小言幸兵衛をもって任じている私、もあまりの自然さに一瞬口を挟むタイミングを逸してしまったくらいだったので、彼は自信を持って「ダンコン」を乱発していたようです。

ということで今日のネタにしようと調べてみるたのですが、実はこの誤読、きわめてポピュラーなことがわかりました。 (うーん、残念。)  

Wikipediaで「団塊の世代」を引いてみても末尾に  

誤読
団塊の「塊」の字が「魂」に似ていることから「だんこん」という誤読が多いことでも知られ、しばしばアナウンサーでさえも「だんこんのせだい」と読んでしまう者がいる。そのため各局特番のNG大賞では頻出のものとなっており、毎回笑いを誘っている。2005年に某局の女性アナウンサーがこの誤読を行ってしまい、数ヵ月レギュラー枠から外されるという謹慎処分に近い対応がなされた。

また「団」でググッたところ、なんと21,500件のヒットがありました。
たとえば

教えて!goo「団魂世代の意味は?」  
Yahoo!知恵袋「最近、団魂世代が2007年にはだいたい退職するとよく言っていますが「団魂」ってなんと読むのですか?」

間違いに気づかず(無視して?)いきなり真面目に回答している人がいるあたりが笑えます。  

そもそも「塊」を「魂」だと思っている人がいかに多いか、ということですね。 

そういえば昔採用面接をしていたときに、履歴書に「○○(学校名)」をアピールしていた「漢字検定2級」の学生がいたなぁ・・・  

まあ、私も高校生のときまで「試行錯誤」をなぜか「しこうごさく」と読んでいたので偉そうな事は言えませんが・・・  


冒頭の団塊ジュニア君には、
「キミは「ダンコン・ジュニア」か、それじゃあ「馬から落ちて落馬した」みたいじゃないかい?」
とまでは突っ込みませんでしたが、上の女子アナのように発言者が女性だと何かと物議をかもすのかもしれません。  


ちなみに村西とおるは1948年生まれだそうです

「わたくし、ダンコンの世代の見事ど真ん中に生まれ、以来ダンコン一筋の人生でございます。」

などというセリフが聞こえてきそうですね。  

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「5倍以内なら合憲」とは言っていないのですが(1票の格差についての最高裁判決)

2006-10-05 | まつりごと

最高裁、5.13倍「合憲」 5判事は「違憲」指摘
(10/04 19:09 産経新聞)   

平成16年7月の参院選で、議員1人当たりの有権者数の格差(1票の格差)が最大5.13倍となった定数配分は違憲だとして、東京、神奈川、千葉の有権者11人が、3都県の選挙管理委員会に選挙の無効(やり直し)を求めた3件の訴訟の上告審判決が4日、最高裁大法廷(裁判長・町田顕長官)であった。町田裁判長は「国会の裁量権を超えたものと断ずることはできず、憲法に違反していない」と述べ、原告側の上告を棄却した。請求を棄却した1審・東京高裁判決が確定した。判決は裁判官15人のうち10人の多数意見。5人は「違憲」の反対意見だった。

 大法廷は16年1月、最大格差が5.06倍だった13年の参院選の定数配分を合憲としていたが、15裁判官のうち6人が「違憲」の反対意見だった。合憲とした9人のうち4人も「次回も現状維持なら違憲の余地あり」と補足意見を述べていた。

 この日の判決理由で町田裁判長はまず、「本件選挙当時の格差は5.13倍であり、前回選挙当時(5.06倍)と大きく異なるものではなかった」と言及。

 さらに、(1)16年の判決から本件選挙までの期間は約6カ月で、不平等を是正する措置を講ずる期間として不十分だった(2)参院では本件選挙後、各種の是正案が具体的に検討され、4増4減案に基づく公選法の改正案が18年6月に成立して格差が縮小した-ことなどを指摘し、「これらの事情を考慮すると、本件選挙までに定数配分を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えたものと断ずることはできない」として合憲と判断した。

 一方、判決理由の中では4増4減の改正について、「評価すべきものであるが、今後も国会においては、これまでの制度の枠組みの見直しをも含め、投票価値の格差をより縮小するための検討を継続することが憲法の趣旨に沿う」と述べ、格差の縮小をさらに促す異例の注文も付けた

最近は関心が薄れてきたのか、新聞やTVを見てもあまり大きくとりあげられておらず、テレビで参議院のなんとか委員の人も「合憲判決と思ってましたよ」などと余裕のコメントをしていました。
そのコメントも「4増4減」で格差が5倍を切ったからいいんじゃないか、という雰囲気だったのですが、(判決文全部を見てはいないのですが)上の記事の最後の段落でも定数是正後の姿も合憲とは言っておらず、また

反対意見の5人中3人は最大格差2倍を違憲判断の目安として明示。泉徳治裁判官(裁判官出身)は議員1人当たりの人口によって1票の価値を比較し「04年選挙当時、1票の価値が東京選挙区の2倍以上の選挙区は31もあり、約4700万人に実質1人2票以上が与えられたことになる」と述べた。
(共同通信)

という報道もあります。

最高裁も「5倍以下なら合憲」とはどこにも言っていないので、あまり安心していられる状況でもないようにも思えるのですが・・・

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拿捕漁船船長の帰国第一声

2006-10-04 | よしなしごと

漁船拿捕 「規則ライン上で銃撃」 船長、1カ月半ぶり帰港
(2006年10月4日(水)03:38 産経新聞社)  

根室市内で記者会見した坂下船長は、銃撃に関し「『パパン』という音だけで、停船命令や照明弾もなかった」などと突然、銃撃を受けたことを強調した。

操業場所についても「納沙布岬から北に約2キロの(ロシア側も日本の領海と認める北海道海面漁業調整)規則ラインの上だった」として、ロシア側裁判で領海侵犯と密漁の罪を認めたのは「早期釈放のためだった」と話し、ロシア側の対応に強い不満を示した。  

根室海上保安部などは船内で事件について坂下船長から事情を聴いたが、吉進丸が調整規則ラインを越えて操業していた疑いもあるため、治療の状況を見ながら再度、事情を聴く方針。  

船長も世間体があって違法操業だったと言いにくいと言うこともあるのかもしれませんし、だからといって海上保安庁も船長の言い分を鵜呑みにせず慎重に事実確認をしようという姿勢でいるようなので安心なのですが。
しかし、漁船が領海内で操業していたとすると、ロシアの警備艇が領海侵犯をした上で発砲・殺害し、生存者を拿捕したということになるので、それこそ重大な外交問題になります。
この場合、国として厳重に抗議するとともに関係者の処罰を求めなければなりません。  

船長の発言はそのへん十分認識しての発言なんでしょうかね。 
また、帰国する船には外務省の職員もいたと思うのですが、そのへんの事情をきちんと理解させての上での発言なんでしょうか。(もし逆に外務省の指示・入れ知恵だとしたらそれはそれですごい踏み込みようだと思いますが)  


船長としては、結局事実関係は「藪の中」ということになるので、言った者勝ち、という判断なのかもしれませんが、 多分そうなった場合には、今後同様のトラブルが起きるのを避けるために全ての漁船に航路を記録する、飛行機におけるフライトレコーダーのようなブラックボックス(海上保安庁でないと開けられないしはずせない)の設置を義務付け、定期的に点検する、ということになるように思います。
そうすると、違法操業もすべて記録されてしまうので、(もし、現在違法操業している漁船があるとすれば、多分あるんだろうなぁ・・・)漁民達は自らの首を絞めることになってしまうのではないでしょうか。

その辺の展開まで意識しないと、自分を守ったと思ったら仲間(と自分の将来)を売っていた、ということになりかねませんよね。


このあたりは、企業不祥事と再発防止のための内部統制制度の充実と似たような話ですね。


帰国第一声として、拿捕の手順やいきなり発砲されたことへの不満を表明するのはいいと思いますが、操業場所については、どこまで考えての発言なのでしょうか。

ちょいと疑問なニュースでした。

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