一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

イグ・ノーベル賞2006 (その2(完))

2006-10-09 | よしなしごと
2006年イグ・ノーベル賞のつづきです
(その1はこちら

文学賞
プリンストン大のDaniel Oppenheimer氏の論文「博識をひけらかすために不必要に長い言葉を使うことの効果について」に。

(論文の概略)
文章の書き方に関するほとんどのテキストは難しい単語を使わないよう勧めている。にもかかわらず、大方の学生は知的な印象を与えるためにわざと用語を複雑にしているという。
本論分はこの戦略の有効性を検証する。
実験1~3は用語の複雑さを変化させることでテキストの複雑さとそれが知的と判断されることに逆相関関係があることを発見した。
この関係はオリジナルの文章の質の高さや被験者の文章の質の高さへの事前の期待に関係なく成立した。また、複雑さの負の影響は文章を読みやすく(※)することによって軽減された。
実験4では、直接読みやすさを操作した。その結果、読みにくいフォントのテキストほど作者が知的でないと判断されることがわかった。
実験5は、読みにくさによるマイナスの影響を探った。文章の内容の判断に関係していると思いつかずに明らかに読みにくい文章に直面したとき、読者は文章の質の低さを読みにくさのせいにしない傾向にある。実際、読みにくさに不当に影響されまいとして、読者は読みにくいことを無視しすぎたり逆にバイアスのかかった判断をする。意味内容や妥当性が疑われるのだ。
(※)ここは「文章のfluency」に、内容でなく見かけ上の読みやすさの意味で「読みやすさ」という訳をあててみました。


もって回って結局何言ってるんだかわからない(わかりたくなくなる)ような文章ってありますよね。特に仕事で過剰に鹿爪らしいe-mailをいただいたときなど。
「結局『自分が賢い』ということが言いたいだけなんじゃねーか、コイツ」などといって無視したりしてしまうことが(ごくごくたまに)あります。

ホント、難しいことをやさしく説明するのが一番難しいんですよね。


医学賞
テネシー薬科大学のFrancis M. Fesmire氏とハイファ(イスラエル)Bnai Zion Medical CenterのMajed Odeh、Harry Bassan、Arie Oliven3氏の、くしくも同じ「止まらないしゃっくりに対する直腸指圧マッサージの有効性について」と題された論文に。


もともとは鼻に栄養チューブを取り付けるとしゃっくりが止まらなくなってしまう、という切実な状況に対応するために投薬などさまざまな方法を試みた末の発見だったようです。
残念ながら具体的な手技の方法は書いてありませんでした。
今度しゃっくりが止まらなくなったとき、トイレで温かめのウォシュレットでもお尻に当ててみますか(先に実験された方がいたらぜひご報告お願いします)。


物理学賞
「乾燥スパゲティを曲げると2つより多く折れてしまうことが多い理由についての考察」パリのピエール&マリー・キュリー大のBasile Audoly氏とSebastien Neukirch氏に

この現象は弾性ロッド(釣りざおみたいなものですね)の力学特性で説明できる。
直感に反して、ロッドは曲げられた状態から解放されるときに負荷が増加する。パスタが折れた瞬間、残りの部分が解放されることで逆に負荷がかかり、別のせん断を起こすことになる。

ここに動画もあります(といってもスパゲッティを折ってるだけですが)。


ダンコンの世代ネタとは違いますからね。「男性ロッド」の話じゃないですからね。


化学賞
バレンシア大のAntonio Mulet氏、José Javier Benedito氏、José Bon氏とthe University of Illes Balears, in Palma de MallorcaのCarmen Rosselló氏の「温度によるチェダーチーズ中の超音波速度への影響」に。

チェダーチーズの工程において中心部の温度管理は重要で、脂肪が溶けたり油になって沁みだしてしまわないようにするために、超音波の伝達速度を使って精密な温度管理をしよう、というもののようです(自信なし)。


食べ物の中身の見えないところの状態を把握するのは何にしろ難しいものですね。
観光地の市場などでは皮の厚い果物や蟹のように甲羅のものなどは店先の人が軽く叩いたり手で重さを量ったりと「さすが専門家」というアクションをしてくれます。まあ、これは店頭のパフォーマンスという部分も大きいのでしょうが、本当の専門家になるとは勘ばかりに頼っているわけにはいかないのかもしれませんね。


生物学賞
オランダのWageningen農業大学の Bart Knols氏とRuurd de Jong氏の「雌のマラリア蚊Anopheles Gambiaeが人間の足の臭い同様limburger cheeseの臭いににひきつけられる」発見に対して。


欧米人は蚊に教わらないとチーズが臭いって気づかないんでしょうかねぇ(と、そういう私は納豆好きの日本人。クサヤだっていけますw)

コメント
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