17日の朝日新聞朝刊の1面左には
との見出しの記事が載った。
その下にはこんな記事が。
さらに、「デジタル版に米政府当局者のコメントの原文と日本語訳」と付記されていたので、デジタル版も見てみた。
ほぼ紙面で述べられているとおりの、ごく短いものだった。
詐欺か。
米国様が「いら立って」おられるぞーって、どんな事大主義者だ。
このコメントには「戦時中、性的な目的で連れて行かれた女性たちに起きたことは、嘆かわしく、明らかに深刻な人権侵害で、重大な問題だ。」とあるが、前回の拙記事でも述べたように、橋下も当初から
と述べており、深刻な人権侵害でないとも、重大な問題でないともしていないし、慰安婦制度がなかったと主張しているわけでもないので、全く話が噛み合っていない。
この当局者が、橋下の発言それ自体ではなく、報道に載せられた片言隻句だけに基づいてコメントしていることがよくわかる。
それにしても、氏名も地位も明らかにできない「米政府当局者」のコメントが「米政府の公式な立場を示した」ものだと断言するとは不思議だなあと思っていたら、同日の朝日夕刊にやや小さくこんな記事が載った。
このサキ報道官の発言内容は、朝刊の「米政府当局者」によるコメントとほぼ同じであるから、サキ自身か、あるいは彼女に近い国務省職員が、朝日に事前にコメントを寄せたのだろう。
朝日が「米政府の公式な立場を示したもの」と自信たっぷりに述べていたのもうなずける。
今回の件でわかったことがある。
サキ報道官の記者会見に先んじて「米政府当局者」によるコメントを報じていたのは、私の見たところ朝日新聞だけのようである。
つまり、朝日新聞は、米国務省報道官の記者会見に先行して、その内容を知り得る立場にあるということである。
そして、それを報じ得る立場にもあるということである。
これもまた、一種の「対米追従」ではないのか。
朝日はしばしば中韓朝の歴史認識に基づいて、わが国の政府や政治家の諸発言を批判してきたが、第二次世界大戦期に限れば、米国のスピーカーとしての役割も厭わないらしい。
いや、70年近く前の占領期のプレスコードに未だ囚われ続けているというべきか。
こうした橋下の諸発言に何の論評もできないようでは。
風俗発言は「不適切」 橋下氏、撤回は否定
との見出しの記事が載った。
その下にはこんな記事が。
一連の発言「言語道断で侮辱的」
米政府、橋下氏を非難
米政府当局者は16日、戦時中の旧日本軍慰安婦を「必要だった」などとした日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長による一連の発言について、「発言は言語道断で侮辱的なものだ」などと厳しく非難するコメントを朝日新聞に寄せた。
米政府の公式な立場を示したものとみられ、米当局者が同盟国である日本の政治家に対し、こうした態度を示すのは極めて異例だ。
さらに、この当局者は従軍慰安婦について、「戦時中、性的な目的のために連れて行かれた女性たちに起きたことは、嘆かわしく、明らかに深刻な人権侵害で、重大な問題だ」との考えを示し、従来の米政府の立場を改めて強調した。
橋下氏は6月に訪米を予定しているが、当局者は「橋下氏のこうした発言を踏まえると、面会したいと思う人がいるかはわからない」とも述べ、要人と会談はできないとの認識を示した。
今回、当局者がこれまでにない厳しい言葉で非難したことは、橋下市長の発言の推移を見極めたうえで、なお米政府がいら立っていることのあらわれとみられる。
橋下氏は13日、記者団に「銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で、命をかけて走っていくときに、どこかで休息をさせてあげようと思ったら慰安婦制度は必要なのは誰だって分かる」と発言。米軍の司令官と沖縄で面会した際、「もっと風俗業を活用してほしい」と言ったことも明らかにした。
さらに、「デジタル版に米政府当局者のコメントの原文と日本語訳」と付記されていたので、デジタル版も見てみた。
橋下氏発言を非難する米政府当局者のコメント(全文)
米政府当局者のコメントの原文と日本語訳は以下の通り。
〔原文略〕
橋下市長の発言は、言語道断で侮辱的なものだ。米国が以前に述べている通り、戦時中、性的な目的で連れて行かれた女性たちに起きたことは、嘆かわしく、明らかに深刻な人権侵害で、重大な問題だ。橋下市長は米国訪問を計画しているそうだが、こうした発言を踏まえると、面会したいと思う人がいるかどうかはわからない。
ほぼ紙面で述べられているとおりの、ごく短いものだった。
詐欺か。
米国様が「いら立って」おられるぞーって、どんな事大主義者だ。
このコメントには「戦時中、性的な目的で連れて行かれた女性たちに起きたことは、嘆かわしく、明らかに深刻な人権侵害で、重大な問題だ。」とあるが、前回の拙記事でも述べたように、橋下も当初から
僕は、従軍慰安婦問題だってね、慰安婦の方に対しては優しい言葉をしっかりかけなきゃいけないし、優しい気持ちで接しなければいけない。意に反してそういう職業に就いたということであれば、そのことについては配慮しなければいけませんが。
〔中略〕
慰安婦制度が無かったとはいいませんし、軍が管理していたことも間違いないです。
〔中略〕
意に反して慰安婦になってしまった方はね、それは戦争の悲劇の結果でもあるわけで、戦争についての責任はね、我が日本国にもあるわけですから。そのことに関しては、心情をしっかりと理解して、優しく配慮していくことが必要だと思います(SYNODOSによる書き起こし)
と述べており、深刻な人権侵害でないとも、重大な問題でないともしていないし、慰安婦制度がなかったと主張しているわけでもないので、全く話が噛み合っていない。
この当局者が、橋下の発言それ自体ではなく、報道に載せられた片言隻句だけに基づいてコメントしていることがよくわかる。
それにしても、氏名も地位も明らかにできない「米政府当局者」のコメントが「米政府の公式な立場を示した」ものだと断言するとは不思議だなあと思っていたら、同日の朝日夕刊にやや小さくこんな記事が載った。
米、橋下氏発言を非難
米国務省のサキ報道官は16日の記者会見で、戦時中の旧日本軍の慰安婦について「必要だった」などとした日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長について、「発言は言語道断で侮辱的だ」と述べ、オバマ政権として橋下氏の発言を強く非難する立場を正式に表明した。
米政府が記者会見で、日本の政治家の発言にこうした表現を使うのは極めて異例だ。サキ氏は「戦時中に性的な目的で連れて行かれた女性たちに起きたことは嘆かわしく、重大な人権侵害だ。被害者には心からの同情を改めて示す」と述べた。また、国務省高官は「全員が彼のコメントに立腹している」と述べ、ケリー国務長官を含めた国務省全体の見解であることを強調した。(ワシントン=大島隆)
このサキ報道官の発言内容は、朝刊の「米政府当局者」によるコメントとほぼ同じであるから、サキ自身か、あるいは彼女に近い国務省職員が、朝日に事前にコメントを寄せたのだろう。
朝日が「米政府の公式な立場を示したもの」と自信たっぷりに述べていたのもうなずける。
今回の件でわかったことがある。
サキ報道官の記者会見に先んじて「米政府当局者」によるコメントを報じていたのは、私の見たところ朝日新聞だけのようである。
つまり、朝日新聞は、米国務省報道官の記者会見に先行して、その内容を知り得る立場にあるということである。
そして、それを報じ得る立場にもあるということである。
これもまた、一種の「対米追従」ではないのか。
朝日はしばしば中韓朝の歴史認識に基づいて、わが国の政府や政治家の諸発言を批判してきたが、第二次世界大戦期に限れば、米国のスピーカーとしての役割も厭わないらしい。
いや、70年近く前の占領期のプレスコードに未だ囚われ続けているというべきか。
当時の世界の状況としては、軍がそういう制度を持っていたのも厳然たる事実です。だってそれはね、朝鮮戦争の時だって、ベトナム戦争だってそういう制度はあったんですから、第二次世界大戦後。
でもなぜ日本のいわゆる従軍慰安婦問題だけが世界的に取り上げられるかというと、日本は軍を使ってね、国家としてレイプをやっていたんだというところがね、ものすごい批判をうけているわけです。
僕はね、その点については、違うところは違うと言っていかなければならないと思いますね。
〔中略〕
それから戦争責任の問題だって敗戦国だから、やっぱり負けたということで受け止めなきゃいけないことはいっぱいありますけど、その当時ね、世界の状況を見てみれば、アメリカだって欧米各国だって、植民地政策をやっていたんです。
だからといって日本国の行為を正当化しませんけれども、世界もそういう状況だったと。そういう中で日本は戦争に踏み切って負けてしまった。そこは戦勝国としてはぜったい日本のね、負けの事実、悪の事実ということは、戦勝国としては絶対に譲れないところだろうし、負けた以上はそこは受け入れなきゃいけないところもあるでしょうけど。
ただ、違うところは違う。世界の状況は植民地政策をやっていて、日本の行動だけが原因ではないかもしれないけれど、第二次世界大戦がひとつの契機としてアジアのいろんな諸国が独立していったというのも事実なんです。そういうこともしっかり言うべきところは言わなきゃいけないけれども、ただ、負けたという事実だったり、世界全体で見て、侵略と植民政策というものが非難されて、アジアの諸国のみなさんに多大な苦痛と損害を与えて、お詫びと反省をしなければいけない。その事実はしっかりと受け止めなけれないけないと思いますね。(SYNODOSによる書き起こし)
こうした橋下の諸発言に何の論評もできないようでは。
アメリカの国務省までコメントし、
慰安婦問題を考える機会になったのだし
私は肯定的に捉えています。
発言する方は、全体で一つのまとまった見解として発言しているのであり、そのごく一部、ひいては一言を取り上げて極大化して叩くという手法はアンフェアです。
弁護士の仕事にはおっしゃるようにそうした面があります。しかし、弁護士は依頼人の利益に沿うように動くのが仕事ですから、それが社会的に許されているのです。公器であるマスコミは違います。
今回の発言はぶら下がり取材の中で出てきたものであり、念入りに推敲した文章ではありません。
橋下が、それならぶら下がり取材はもうやめだと言い出した心情は私には理解できます。
理屈なんてものは、付けたいほうに付くんですよ。弁護士なんて仕事が大体そうでしょ。これは黒だなと思っても、弁護を受ければ何とかして理屈をこねあげ、自分に都合の良いものにフォーカスして白にする・・という。でもねぇ、これは裁判じゃないから、なかなかねぇ。公式には建前でしか答えられないってのもあるしねぇ。
橋本さんも最初は軽口で言ってしまったものの、大問題になったものだから、その中で都合のいい部分にフォーカスして戦うことにした。それしか、勝ち目はありませんから。
ところが、メディアや女性、慰安婦・・・まあ、橋本さん以外のほとんどは、橋本さんに都合の悪い部分にフォーカスした。罪を認めた発言もしているでしょう・・って言ったって、そこは必要発言や米軍風俗利用発言で吹っ飛んでいるんです。
どっちもどっちなんですよ。橋本さんの言ったことには両方あるんですから。それのどこにフォーカスするかの違いです。それをメディアが都合の悪いところだけ抜き出したと言ってみても仕方ないんですよ。メディアってのは、公人を批判するのが仕事でもあるし。批判されるような発言を軽々とした自分が悪いんで、それに噛み付いてみても仕方ないでしょう。
それと、「意に反して慰安婦になられた」という言い方は何なんですか?良く分からないんですが。強制徴用されたという意味ですか?強制徴用は認めないけど、慰安婦の苦痛は認めるみたいな。他にも昔は必要だったけど、今はダメとか・・何か判然としない言い方ですね。ことほど左様に、橋本さんはどっちにも取れる発言をしていて、それをどっちに受け取るかの違いだけで、どっちもどっちという事ですよ。
欧米に対しては、共犯者だったものだから、お前達もやってたのに、なんで俺だけ言われなきゃいけない?ってな言い方になる。でも、それを言ったら、被害者側からしたら、お前は開き直ってるのか?ってな話になるに決まっている。前段のアメリカ向けと、後段の韓国向けがごっちゃになっているから、聞いているものはややこしい。このややこしさが彼の狙いではあるのだろうが。
どっちにしても、前段は慰安婦肯定で、後段は否定と言う矛盾をしている。だから、誤解?をされる。公式上、絶対に建前を使うしかないアメリカや、被害者である韓国は、後段で何と言おうが、前段を見過ごすわけにはいかない。別に後段を読んでいないわけではない。後段で慰安婦に同情を示したからと言って、前段が帳消しになるわけではないのだ。
アメリカだって、女性の人権とか特に厳しいのだから、建前としても絶対に慰安婦が必要だったなんて発言には、記者から聞かれれば、それは非難するしかない。非難しなければ、自分が火の粉を浴びてしまう。文章の細かいところまで読めと言っても仕方ない。読んだとしても、ああ言うしかなかっただろう。
大体、橋本さんの話は矛盾だらけだ。今はダメだけど、昔は必要だったとか。戦場で走り回るのだから必要だったとか。今はダメだと言っているが、それじゃあ、今だってもしも自衛隊が戦う羽目になったら、必要だと言うことになる。最初、橋本さんは前段に力を込めていたが、いつの間にか、後段が真意なのですよ。・・・と変質させている。でも、前段も捨てる気は無い。
とにかく、日本人は何でもごっちゃに話したがる。だから話がややこしくなる。もっと言いたいことを整理しないと、誤解されてもしょうがない。橋本さんの件は、前段と後段が矛盾しているので、マスコミや政府など、建前を前面に出さないといけないところは、前段を取り上げて非難するしかない。それを、自分に都合の良い後段のほうを希望してもしょうがない。そんなの分かりきったことだ。あれだけ海千山千の人がなぜ分からない?結局、分からないのではなくて、分かっちゃ要るけど、痛いところを突かれまくりなので、論点を前段からそらすために、マスコミが前段しか取り上げないと話をそらしているように思う。後段で慰安婦同情論を言ったからといって、前段が消えるわけではない。
まあ、始めは何も考えずに言った軽口だったのだろう。それがここまで大きくなってしまった。後はお得意の弁護術で、何とか後段の慰安婦同情論を強調して、押し切る気だろう。しかし、理屈で相手はねじ伏せられても、”納得”を得るのは難しいと思う。
それから、日本は戦争に負けたから、悪い国のレッテルを貼られたという言い方をする人が居る。しかし、勝っていても悪い国ではあったのだ。戦前の大日本帝国は、他国のみならず、自国民にも圧制により、多大の苦痛を与え続けた国であったのだから。敗戦は、軍事国家からの開放でもあったのだ。