今日の『産経新聞』朝刊の、ロシアのメドベージェフ大統領就任を報じる記事が妙だ。
(ウェブ魚拓1)(同2)
《ロシアでは7日、メドベージェフ新大統領(42)の就任式が大々的に行われたが、実態は、8日にも首相に就任するプーチン前大統領(55)が新政権の運営を主導していくものとみられている。国家元首でありながら事実上、実権のない“象徴大統領”に甘んじるメドベージェフ氏の悲哀と苦悩の日々が始まった。「双頭統治体制」は、あくまで一時的な権力構造だとみる向きが強い。》
《プーチン氏は下院(450議席)の7割の議席を占める与党「統一ロシア」の党首として議会からも新大統領を監視・牽制(けんせい)する。政府と議会の両方から監視下に置かれた新大統領は、プーチン氏に従うしかないのだ。》
社説である「主張」も、同じようなことを述べている(ウェブ魚拓)。
《ロシア史上極めて異例な「双頭統治体制」がスタートした。「双頭」の片方は、新大統領に就任したメドベージェフ氏(42)で、もう片方は首相就任を確実視されるプーチン前大統領(55)だが、大統領より首相の影響力の方が強いという何とも奇怪な体制の発足である。
大統領職を退任したプーチン氏が、新大統領の裏切りを恐れて監視するために首相となるのか。あるいは、自分に絶対服従を誓う若く経験の浅い新大統領を手なずけ、「プーチン王朝」と呼ばれる長期の院政体制を敷こうというのか。その理由は推測の域を出ないが、いずれ時とともに明らかになってくるはずだ。
ただ、メドベージェフ新大統領は、旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身のプーチン氏に、治安・保安機関関係者ら「シロビキ(武闘派)」のほか、政府と議会を完全に掌握されており、独自色を出すことは事実上困難だ。若き指導者の苦悩は深まることだろう。》
産経では、大統領、国家元首は首相より強力であり、政治の実権を握っているはずだというのが常識なのか?
ドイツやイタリアの大統領と首相の関係を知らないのか?
ハンガリーやアイスランド、インド、シンガポール………首相が政治の実権を掌握し、大統領は国家元首ではあるが儀礼的な役割に徹している国などいくらでもあるぞ。
ロシアで言うなら、ソ連のレーニン、スターリンの時代もそれに近い。
双頭体制はたしかに世界的にも異例のことだろうが、「大統領より首相の影響力の方が強い」のは「奇怪な体制」でも何でもないがなあ。
もう一点。
「悲哀と苦悩の日々が始まった。」
「新大統領は、プーチン氏に従うしかないのだ。」
「若き指導者の苦悩は深まることだろう。」
といった表現には、揶揄と嘲笑の響きが感じられる。
プーチンは恐るべき指導者だが、その傀儡となりかねない若造など論ずるに足らないということだろうか。
しかし、メドベージェフは事実上プーチンによって後継大統領に任命されたと言っていい。もともとがプーチンチームの一員であり、だからこそ後継に成り得たのだろう。すぐさま独自色を出せないことなど百も承知ではないだろうか。
そしてまた、メドベージェフはプーチンよりはリベラル志向、親西側志向だと聞く。とすれば、ロシアの独裁化を嫌う産経が志向すべきは、むしろメドベージェフを盛り立てることではないだろうか。少なくとも、揶揄することではないように思う。
《前日までの温暖な天候は一転、小雪が舞い冬に逆戻りしたかのような寒さとなり、お祭り気分に水を差した。》
安っぽいプロパガンダのようだ。
産経はロシアを危険視しているのだろう。敵視しているといってもいいかもしれない。
それならそれで、敵の実相を見極めることに心を砕いてもらいたい。
どうも、ロシアの危険を広く訴えるという目的のためなら、オーバーな表現やいいかげんな情報の呈示も許されると考えているように見受けられることがある。
そういう姿勢では、結局のところ、敵に負けてしまうのではないのかな。
(ウェブ魚拓1)(同2)
《ロシアでは7日、メドベージェフ新大統領(42)の就任式が大々的に行われたが、実態は、8日にも首相に就任するプーチン前大統領(55)が新政権の運営を主導していくものとみられている。国家元首でありながら事実上、実権のない“象徴大統領”に甘んじるメドベージェフ氏の悲哀と苦悩の日々が始まった。「双頭統治体制」は、あくまで一時的な権力構造だとみる向きが強い。》
《プーチン氏は下院(450議席)の7割の議席を占める与党「統一ロシア」の党首として議会からも新大統領を監視・牽制(けんせい)する。政府と議会の両方から監視下に置かれた新大統領は、プーチン氏に従うしかないのだ。》
社説である「主張」も、同じようなことを述べている(ウェブ魚拓)。
《ロシア史上極めて異例な「双頭統治体制」がスタートした。「双頭」の片方は、新大統領に就任したメドベージェフ氏(42)で、もう片方は首相就任を確実視されるプーチン前大統領(55)だが、大統領より首相の影響力の方が強いという何とも奇怪な体制の発足である。
大統領職を退任したプーチン氏が、新大統領の裏切りを恐れて監視するために首相となるのか。あるいは、自分に絶対服従を誓う若く経験の浅い新大統領を手なずけ、「プーチン王朝」と呼ばれる長期の院政体制を敷こうというのか。その理由は推測の域を出ないが、いずれ時とともに明らかになってくるはずだ。
ただ、メドベージェフ新大統領は、旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身のプーチン氏に、治安・保安機関関係者ら「シロビキ(武闘派)」のほか、政府と議会を完全に掌握されており、独自色を出すことは事実上困難だ。若き指導者の苦悩は深まることだろう。》
産経では、大統領、国家元首は首相より強力であり、政治の実権を握っているはずだというのが常識なのか?
ドイツやイタリアの大統領と首相の関係を知らないのか?
ハンガリーやアイスランド、インド、シンガポール………首相が政治の実権を掌握し、大統領は国家元首ではあるが儀礼的な役割に徹している国などいくらでもあるぞ。
ロシアで言うなら、ソ連のレーニン、スターリンの時代もそれに近い。
双頭体制はたしかに世界的にも異例のことだろうが、「大統領より首相の影響力の方が強い」のは「奇怪な体制」でも何でもないがなあ。
もう一点。
「悲哀と苦悩の日々が始まった。」
「新大統領は、プーチン氏に従うしかないのだ。」
「若き指導者の苦悩は深まることだろう。」
といった表現には、揶揄と嘲笑の響きが感じられる。
プーチンは恐るべき指導者だが、その傀儡となりかねない若造など論ずるに足らないということだろうか。
しかし、メドベージェフは事実上プーチンによって後継大統領に任命されたと言っていい。もともとがプーチンチームの一員であり、だからこそ後継に成り得たのだろう。すぐさま独自色を出せないことなど百も承知ではないだろうか。
そしてまた、メドベージェフはプーチンよりはリベラル志向、親西側志向だと聞く。とすれば、ロシアの独裁化を嫌う産経が志向すべきは、むしろメドベージェフを盛り立てることではないだろうか。少なくとも、揶揄することではないように思う。
《前日までの温暖な天候は一転、小雪が舞い冬に逆戻りしたかのような寒さとなり、お祭り気分に水を差した。》
安っぽいプロパガンダのようだ。
産経はロシアを危険視しているのだろう。敵視しているといってもいいかもしれない。
それならそれで、敵の実相を見極めることに心を砕いてもらいたい。
どうも、ロシアの危険を広く訴えるという目的のためなら、オーバーな表現やいいかげんな情報の呈示も許されると考えているように見受けられることがある。
そういう姿勢では、結局のところ、敵に負けてしまうのではないのかな。
ブログはいつも拝見しています。
TBありがとうございました。そういえば、以前にも産経の記事を取り上げておられましたね。
MIG21さんのような方から見ればデタラメっぷりがよくわかるのでしょうが、私にわかるのはこの程度のことです。
産経批判としては少し前にこんな記事も見かけました。http://www.amanosaizo.com/amen/2008/04/post_4ddd.html
http://www.amanosaizo.com/amen/2008/04/post_45d6.html
ちなみに、産経ともどもフジテレビも結構評判が悪いようですが、テレビをあまり見ない私には何かどう悪いのかよくわかりません。機会があれば御教示下さい。
言うことは立派なのですが、その実は、単なる通信社配信記事の焼き直しを自己流の妄想で料理したに過ぎず、東スポにも劣る出来栄え。
よくこんなんでマスコミの看板を掲げてるなと呆れかえることが多いです。
右派ブログで、産経新聞は健全と書いていた人がいましたが、この人は、果たして日本語が読めるのだろうか?とすら思うほどロシア報道はメチャクチャです。
一方フジテレビは、もう放送局以前の番組が多く、論外と考えています。おもしろくなきゃテレビじゃないのあの時代からまったく変わらないので、僕もほとんどマトモに見ていません。
もっとも、報道番組やドキュメンタリーそのものが少ないので、その意味ではロシア報道に関しては、デタラメは少ないですが(笑)