以前、『朝日新聞』による関西発の関西おとしめ記事を批判したが、今回は同紙で良い新聞記事の見本のような記事を見たので、紹介したい。やはり関西がらみだが。
昨日の同紙夕刊にこんな記事が。
(以下アサヒ・コムの記事からテキスト部分のみ引用。原文の段落間が1行空いているのは詰めた)
約522億円の累積赤字を抱え、経費削減に取り組んでいる大阪市のバス事業で、05年度の市職員の運転手約1200人の平均年収が約803万円と、民営バスの全国平均を約320万円上回っていることが分かった。運転手の約1割が年収1千万円を超えている。これまで民間への事業委託によるコスト削減を目指してきたが、民営化への圧力が一層強まりそうだ。
大阪市バスの運転手の平均年収は03年度が約811万円、04年度が約826万円。「全国の公営バスで最高クラス」と批判を受け、手厚い各種手当の一部を見直した結果、05年度の平均年収は約23万円下がったが、公営バスの全国平均約750万円、民営バスの約479万円(ともに国交省調べ)と比べて依然、高水準だ。
年収1千万円以上の運転手は前年度の4割近くに減ったものの、123人にのぼる。
他の政令指定市では、名古屋市が約802万円(05年度)、横浜市が約750万円(同)。関西では3億円以上の黒字を出している京都市が約740万円(05年)などとなっている。
大阪市交通局は経費削減のため、06年度までに全11営業所のうち4営業所のバス事業を市の第三セクター「大阪運輸振興」に委託。市職員以外に市OBや契約社員の運転手が05年度では460人いるが、彼らの平均年収は職員のほぼ半分の約415万円にとどまっている。
05年度の総人件費は、事業委託によって前年度から約27億円減ったが、いまだ総費用の6割近くを占め、運賃総収入をも上回っている。今年度は特殊勤務手当をさらに見直したが、新規採用のストップで運転手の平均年齢が上がっていることから、平均年収は780万円程度にしか下がらない見込みだ。
市交通局の05年度決算によると、市バス事業の単年度収支は2億6800万円の赤字。1日平均の乗客数約22.5万人は、ピーク時の約119万人(1964年度)の2割程度に過ぎない。12月には市営地下鉄今里筋線(同市東淀川区~東成区、12.1キロ)が開通するが、路線が重なる営業所は来年度、新たに民間に管理委託される。市バス事業は交通ネットワーク維持の観点から、市営地下鉄と一体化した民営化議論が進められている。市監査委員は市バス事業について、人件費の高さが「収支悪化の重大な要因」と指摘している。
(引用終わり。ネットの記事は結構速く消されてしまうことがわかったので、今回は全文引用した)
ネットでの見出しは、
「厚遇の大阪市バス、赤字満載 平均年収800万円超」
だが、紙面では、
「厚遇市バス 赤字満載 年収1000万円超 1割 民間平均は479万円」。
と、紙面の方がインパクトが強い。
他市との比較、赤字の状況など、必要なデータが十分に提供されており、説得力がある。グラフも、新聞記事によくある、目盛りを歪めたものではなく、きちんと均等な目盛りのもので、大変好感が持てる。
ネットの記事の末尾の文、
「市監査委員は市バス事業について、人件費の高さが「収支悪化の重大な要因」と指摘している。 」
は紙面にはない。スペースの都合で省略されたのだろうが、重要な箇所なのにもったいない。
朝日は近年、大きい記事には署名が付くようになった。紙面には「吉浜織恵」とあるが、ネットの記事にはない。この扱いの差は何故だろう。紙面とネットを比較すると、同じ記事でもいろいろ異なる点があり、気付くことは多い。
比較の対象にされている全国民営バスの479万円というのはあまりに安いような気がする。おそらく、市バスのような路線バスでない形態のバスの運転手も含まれているためではないだろうか。とはいえ、公営バスの全国平均約750万円と比べても、大阪市の財政を考慮するとやはり高すぎるように思う。
昨日の同紙夕刊にこんな記事が。
(以下アサヒ・コムの記事からテキスト部分のみ引用。原文の段落間が1行空いているのは詰めた)
約522億円の累積赤字を抱え、経費削減に取り組んでいる大阪市のバス事業で、05年度の市職員の運転手約1200人の平均年収が約803万円と、民営バスの全国平均を約320万円上回っていることが分かった。運転手の約1割が年収1千万円を超えている。これまで民間への事業委託によるコスト削減を目指してきたが、民営化への圧力が一層強まりそうだ。
大阪市バスの運転手の平均年収は03年度が約811万円、04年度が約826万円。「全国の公営バスで最高クラス」と批判を受け、手厚い各種手当の一部を見直した結果、05年度の平均年収は約23万円下がったが、公営バスの全国平均約750万円、民営バスの約479万円(ともに国交省調べ)と比べて依然、高水準だ。
年収1千万円以上の運転手は前年度の4割近くに減ったものの、123人にのぼる。
他の政令指定市では、名古屋市が約802万円(05年度)、横浜市が約750万円(同)。関西では3億円以上の黒字を出している京都市が約740万円(05年)などとなっている。
大阪市交通局は経費削減のため、06年度までに全11営業所のうち4営業所のバス事業を市の第三セクター「大阪運輸振興」に委託。市職員以外に市OBや契約社員の運転手が05年度では460人いるが、彼らの平均年収は職員のほぼ半分の約415万円にとどまっている。
05年度の総人件費は、事業委託によって前年度から約27億円減ったが、いまだ総費用の6割近くを占め、運賃総収入をも上回っている。今年度は特殊勤務手当をさらに見直したが、新規採用のストップで運転手の平均年齢が上がっていることから、平均年収は780万円程度にしか下がらない見込みだ。
市交通局の05年度決算によると、市バス事業の単年度収支は2億6800万円の赤字。1日平均の乗客数約22.5万人は、ピーク時の約119万人(1964年度)の2割程度に過ぎない。12月には市営地下鉄今里筋線(同市東淀川区~東成区、12.1キロ)が開通するが、路線が重なる営業所は来年度、新たに民間に管理委託される。市バス事業は交通ネットワーク維持の観点から、市営地下鉄と一体化した民営化議論が進められている。市監査委員は市バス事業について、人件費の高さが「収支悪化の重大な要因」と指摘している。
(引用終わり。ネットの記事は結構速く消されてしまうことがわかったので、今回は全文引用した)
ネットでの見出しは、
「厚遇の大阪市バス、赤字満載 平均年収800万円超」
だが、紙面では、
「厚遇市バス 赤字満載 年収1000万円超 1割 民間平均は479万円」。
と、紙面の方がインパクトが強い。
他市との比較、赤字の状況など、必要なデータが十分に提供されており、説得力がある。グラフも、新聞記事によくある、目盛りを歪めたものではなく、きちんと均等な目盛りのもので、大変好感が持てる。
ネットの記事の末尾の文、
「市監査委員は市バス事業について、人件費の高さが「収支悪化の重大な要因」と指摘している。 」
は紙面にはない。スペースの都合で省略されたのだろうが、重要な箇所なのにもったいない。
朝日は近年、大きい記事には署名が付くようになった。紙面には「吉浜織恵」とあるが、ネットの記事にはない。この扱いの差は何故だろう。紙面とネットを比較すると、同じ記事でもいろいろ異なる点があり、気付くことは多い。
比較の対象にされている全国民営バスの479万円というのはあまりに安いような気がする。おそらく、市バスのような路線バスでない形態のバスの運転手も含まれているためではないだろうか。とはいえ、公営バスの全国平均約750万円と比べても、大阪市の財政を考慮するとやはり高すぎるように思う。