トラッシュボックス

日々の思いをたまに綴るブログ。

何故、福田康夫なのか

2007-09-15 03:58:17 | 現代日本政治
 自民党では後継総裁に福田康夫を推す声が高まっているという。
 この人物は、ポスト小泉の「麻垣康三」の1人であり、安倍に次ぐ支持を集めていたが、森派の分裂をおそれたのか、結局立候補せず(立候補に向けて明確な意欲を示すこともなかった)、安倍政権下では存在感を失っていた。私は、この人物は本当に首相を狙う気があるのだろうか、次かその次の選挙あたりで引退するのではないだろうかと思っていた。
 何故今、福田康夫なのだろうか。
 麻生では、安倍政治の継続という色合いが強い。それに麻生は、結局は安倍を支えきれなかったという点で、安倍辞任に責任があるとも言える。福田なら、安倍色を否定するイメージを打ち出せそうだ。それに何より、最大派閥の町村派が福田擁立を表明しており、勝ち馬となる可能性が高い――といったところだろうか。
 それにしても、額賀福志郎は、今度こそは出ると思っていたが。ここで出なければ、もうこの人は津島派の総裁候補としての立場を失うのではないか。おそらくは派内をまとめきれなかったのだろうが、津島派――旧竹下・小渕・橋本派――の凋落は本当に著しいなあ。
 
 今回、安倍の首相の資質が問われる結果となったが、では福田には首相の資質があると言えるのだろうか。
 安倍は当選5回、閣僚経験が内閣官房長官のみで、キャリア不足ではないかと評されていた。しかし福田康夫も、当選6回、閣僚経験は内閣官房長官のみで、さして変わらない。安倍は党幹事長や幹事長代理を務めたが、福田は党3役はおろか、その代理職も務めていない。キャリア不足という点では、安倍と同レベルという気はする。
 それに、比較的若く見えるが、もう71歳だ。どうにもフレッシュさに欠ける。国民には、小泉改革より前の、オールド自民党への回帰と映るのではないだろうか。
 年金未納の発覚というつまらない理由で官房長官を辞任したが、地位に恋々とする姿勢はなかったように記憶している。ポスト小泉に擬せられた時も、立候補を明確にしなかった。そういった点で、政治的意欲に欠けるように見える。
 官房長官時代のイメージや、田中真紀子が外相を辞任した後、実質的に外交を取り仕切ったことなどから、安倍よりは政治力はあるのかなとも思うが。
 誤解されているような気がするのだが、この人はハト派でもリベラル派でもない。岸派を継承した福田赳夫元首相の息子であり、同派の流れをくむ町村派に属している。タカ派と言っていいだろう。官房長官時代には、非核3原則も時代に合わせて見直すことはあり得ると、また核兵器の保有は現行憲法上可能だと述べている。
 ただ、安倍との違いは、安倍が、少なくとも首相に就任する前は、『諸君!』『正論』もかくやというような強硬論、原則論を吐いていたのに対して、福田はあくまでリアリストであり続けようとしたことだろう。そこが、拉致問題やアジア外交についての安倍と福田の温度差となっているのだろう。
 
 考えていたら、福田でも、そんなにひどいことにはならないように思えてきた。私は小泉・安倍路線を基本的には支持しているので、麻生が継ぐのが望ましいと考えているのだが、仮に福田になったとしても、路線が急転回するわけではないように思う。
 しかし、福田で次の衆院選に勝てるのかという気もするが、人気先行で安倍を立てて失敗したわけだから、ここは逆を試してみるのもいいのではないか。