トラッシュボックス

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安倍首相辞意表明の報を聞いて(2)

2007-09-13 00:37:56 | 現代日本政治
 辞意表明の記者会見をちらりと見たが、納得しがたい。
 テロとの戦いを継続するため、また、改革を進めるため、自分以外の人間を首相とすることにより局面を打開すると述べている。
 テロ特措法延長問題は確かに重要な課題だが、内閣の仕事は何もそれだけではない。
 仮に延長に失敗したとしても、それは内閣総辞職しなければならないほどの問題だろうか。
 また、安倍は十分打てるだけの手を打ったと言えるのか。
 手を尽くして、それでも万事休すとなって、はじめて辞任が説得力をもつのではないか。
 この人は首相職の重みというものを本当にわかっているのだろうか。
 内閣を改造し、国会で所信表面演説をし、代表質問の直前になって、突如辞意を表明するというのは、国政を無用に混乱させるばかりか、国会を、すなわち議員を選出した国民を愚弄していると言える。
 私の知る限り、こんな最悪のタイミングで辞意を表明した首相は過去にない。
 強いて言うならば、「欧州の天地は複雑怪奇」と述べて総辞職した平沼騏一郎内閣に匹敵する無様さだ。

 この辞意表明により、改憲や集団的自衛権容認への動きが低下するのは避けられまい。
 改憲派のガヴァナビリティとはこんなものかと、国民に不信感を植え付ける結果となったことが残念でならない。
 きつい言い方だが、改憲派の面汚しと言っていいように思える。

 次の自民党総裁に誰が選ばれるにしろ、この衆院と参院の勢力差では、首相指名がすんなり進むとは思えないし、その後の法案審議にしても同様だろう。
 かといって、衆院を解散して、仮に自公で過半数を押さえて正統性を証明し得たとしても、参院の議席は変わらないから、状況はさして変わらないことになる。つまり、与党には、衆院を解散するメリットはない。
 となると、自民党としては、かつて小渕首相が自自公連立に踏み切ったように、両院で与党であることを維持するために、自民と民主との大連立を志向せざるを得ないのだろうか。
 しかし、小沢民主党がすんなりそれに応じるだろうか。結局は衆院解散を強いられることになるかもしれない。