阪急電車の車両の色は、地下鉄の乗り入れ車両以外は、あずき色(マルーン)の塗装です。
同じ色でも製造された時期や形式が当然違うのですが、その中でも8300系は、阪急電鉄の所有ではないのです。
その車両の所有者は、カリブ海の楽園、英国領ケイマン諸島の会社です。
阪急電鉄8300系電車は1989年から製造され、神戸線と宝塚線が8000系、京都線が8300系です。
阪急 8300系
8300系は阪急電鉄がグループ会社のアルナ工機(現 アルナ車両)に発注され、当初は当然阪急電鉄が所有者でしたが、2002年に阪急電鉄は8300系全84両をケイマン諸島の「S&Hレイルウエイ」に売却しました。
84両の当時の帳簿価格は27億2700万円、その売却価格は102億900万円、その差額を阪急は特別利益で計上しました。
車両を売却した理由は、「資産保有形態を見直し」で、この車両の売却によって一時的に大きな資金を調達し、長期にわたってリース料金として返してゆくということだそうです。
そこで、車両は、阪急の固定資産ではなくなるので、阪急電鉄は減価償却処理は不要となり、リース料金の全額を経費として参入出来ます。
つまり、資金調達と節税が出来るということです。
売却先のケイマン諸島は、英国領ですが、自治権があり、法人税とか所得税などはなく、保険業や投資信託などの金融関連の会社が多くあります。
ちなみの、ここは南国の楽園で、経済の楽園でもあるようです。
観光もスキューバーダイビングの名所でもあるそうです。
鉄道車両をリース契約するのは、なにも阪急8300系だけではありません。
日本では、山形新幹線の初代400系が「山形ジェイアール直行特急保有株式会社」という第3セクターが保有し、JR東日本が借用していました。
その他、相模鉄道も同様な契約をしていますが、まだまだ車両リースは一般化していません。
が、航空会社では機材などのリースは一般化されているそうです。